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第65話 ブリュノ団長

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 パリは、100ものエリアを持つ巨大な都市になっている。この都市を管轄するパリ軍は、軍用車両、軍用ヘリの他、10機のウォーカー、5機のガント、1機のマグニを所有している。
 方面軍は南北東西に4つに管轄を分けて管理している。軍は力を持っているため、軍本部でも影響力が大きい。
 パリ軍のジスラン・デュモン司令官は、各エリアに徴税を課している。これに市長は何も言えないでいる。パリではいくつか自警団が作られ軍に抵抗したがいずれも軍につぶされている。
 しかし、住民の反発は強く、エリア79に新たな自警団が出来上がる。団長にはブリュノ・マルローが担ぎ上げられる。
 彼は、自分から人の上に立つような人間ではない。彼は前の自警団で補佐役をしていた。そして、自警団が軍に唾された日、彼は撤退を進言していた。しかし、認められず自警団は軍と衝突する。
 自警団は軍に包囲され全滅を待つ状態に陥る。ブリュノは数人の団員と戦場に孤立してしまう。彼は脱出を試みることにする。
 彼は軍服を2着用意すると後の団員は捕虜と言う形で装甲車の前に出る。軍服を着たブリュノは、兵に言う。
 「捕虜を確保した。これから装甲車で移送する。」「待て、全員射殺の命れ鵜が出ている。」
 「大尉から武器の入手先を知っている者を移送するとの命令だ。」「待っていろ。確認する。」
この瞬間、一斉に兵を襲い装甲車を奪うと、彼らは包囲の外へと逃走する。
 この戦いで自警団は壊滅するが、ブリュノは絶体絶命の窮地から団員を脱出させたとして有名になり、人々の期待を背負うことになる。
 このため、エリア79に自警団が作られた時、ブリュノは団長になってしまったのである。
 自警団が出来てすぐ、北部方面軍は自警団討伐に動き出す。ブリュノはエリア79に通じる峠の細い道で軍を待ち伏せするという情報を流す。
 軍は峠の道を襲撃に備えて慎重に進むが襲撃はない。軍がエリア79に到着した時には、自警団は姿を消していた。
 ブリュノは、自警団が発足したばかりで戦う力が無いため、時間稼ぎをして、周囲のエリアに身を隠していた。

 ブリュノ団長の行動は、トニー・カッターの情報網に引っかかる。トニーはレーガを介して、自警団に装甲車と自走砲の他武器を提供する。
 自警団は武器を手に入れ本格的に動き出す。ブリュノ団長は装甲車1両を無線で動かせるように改造する。
 彼は再びエリア79に通じる峠の道で自警団が軍を待ち伏せするという情報を流す。北部方面軍は再びエリア79に向けて進軍する。
 軍が峠の道に到着すると自警団の装甲車が1両前に出て、ブリュノは無線で呼びかける。
 「戦闘は望まないこのまま引き返してくれ。」「馬鹿にするな。今から叩き潰してやる。」
戦車2両と装甲車5両が峠の道を勢いよく前進する。自警団の装甲車はゆっくり後退する。道は片側が谷底になっている細い道である。
 ブリュノは天を仰ぎ見てから目を閉じる。そして目を開けると、覚悟を決めたように一呼吸すると命令する。
 「爆破。」
峠にいくつもの爆発音が響き、道が崩れ落ちる。軍の戦車2両と装甲車5両も谷底へ落ちていく。自警団の装甲車はかろうじて崩落を逃れる。
 自警団の装甲車は無線で操作されていて人は乗っていない。
 団員は勝利を喜び合う。しかし、ブリュノの顔は喜びに浸ってはいない。これで軍は本気になる。エリア79の自警団をつぶしにかかるはずだ。
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