勇者がアレなので小悪党なおじさんが女に転生されられました

第7章 王都への帰還

第21話 嘆きのグリフの最期

　俺は、嘆きのグリフから離れない。ベイキングサンダーボルトは嘆きのグリフの体を高圧電流で焼いて行くが体の再生を続けているため焦げた体がバラバラと落ちながら耐え続けている。
　これは、俺の魔力が持つか、グリフの再生能力が続くかの勝負になる。嘆きのグリフが俺に言う。
　「哀れな子羊よ、抵抗を諦めなさい。あなたの魔法は私に効いていないのですよ。」「嘘をつき、体を再生するだけで精一杯でしょ。」
　「あなたの魔力が尽きた時が、あなたの安らぎと時となるでしょう。」「結構よ。灰にしてあげるわ。」
俺と嘆きのグリフの持久戦となる。広場は高圧電流が暴れ回り、焼き焦がすだけでなく、地面にひび割れを生じさせる。
　ここは城の中の中庭である。地面が崩れれば下の階に崩落するだろう。その時は嘆きのグリフを道連れにするだけだ。
　しかし、最初に俺の魔力が着き始める。わずかだがベイキングサンダーボルトの威力が落ちてきている。嘆きのグリフは気づいただろうか。
　他に俺の限界に気づいた者がいた。アニタは俺に叫ぶ。
　「突入します。魔法を解いて！」
アニタは白い影になって広場に飛び込む。俺はベイキングサンダーボルトを解除する。次の瞬間、嘆きのグリフの首が落ちる。アニタが落ちた首を掴み掲げる。
　観衆から歓声が上がる。しかし、嘆きのグリフの魔力は消えていない。俺はアニタに叫ぶ。
　「まだよ！」
俺は嘆きのグリフの体にパイルサイクロンを放つ。アニタは嘆きのグリフの首を地面にたたきつけるとミスリルの剣でたたき割る。
　嘆きのグリフの体は強烈な風の渦に巻き込まれて細切れになる。そしてようやく嘆きのグリフの魔力の反応が消える。
　俺は両ひざをついて肩で息をする。アニタが安心した顔になって俺に言う。
　「１人で無茶をしないでください。」「アニタ、ありがとう。」
俺は何とか声に出して礼を言う。アネットとローズ、カスパーが俺の所に歩いて来る。彼女らは勝利とは程遠い厳しい顔をしている。