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第6章 逃亡の旅

第32話 カロリーネの追及

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 俺たちは、住民が動揺しないようにアルノルトに仮面を付けて、屋敷まで拘束したまま連れて行く。住民たちはそれを見てうわさする。
 「アニエス様たちが犯人を捕まえたぞ。」「アニタ様がいるぞ。」「アネット様が捕まえたんじゃないか。」
 「これで人さらいは起こらなくなるな。」「領主様の話が伝わるまでわからないぞ。」
住民は誰も仮面の男が領主のアルノルトだとは思っていない。屋敷に入るとカロリーネが迎えに出てくる。
 「初日に捕まえるとはさすがですね。」「餌が良かったのよね。アニー。」「ネティー、私はもうごめんよ。」
アニタが仮面を外す。カロリーネはアルノルトを見ると眉をひそめて言う。
 「やはり、あなたでしたか。何か言うことはありますか。」「私を捕えると後悔するぞ。見なかったことにして解放しろ。」
 「アニエス様、アネット様、アニタ嬢、何か言うことはありますか。」「気持ち悪いわ。」「消えて欲しいわ。」「女の敵。」
 「何を言っている。我々にかかったらお前たちなどただの商品なんだぞ。」
カロリーネは驚いたように言う。
 「まあ、人身売買をなさっていたのですか。我々とは組織的に動いているのですね。」「私は知らないぞ。」
 「そうですか。ならばアルノルト様を理解しなければなりませんね。」
カロリーネはパンパンと手を叩く。すると執事が横に現れて、カロリーネに耳打ちをする。
 「そーですか。アルノルト様は幼女に欲情するのですか。」「何のことだ。」
アルノルトは顔を赤くする。さらに執事が耳打ちをする。
 「まあ、成人女性には発情できなくて、結婚できずにいるのですね。」「うそだー」
アネットが思わずこぼす。
 「気持ち悪い。」「アネット様、この方の性癖なんですから悪く言っていけませんわ。」
アルノルトは涙を流し始める。しかし、カロリーネはやめない。執事が耳打ちをする。
 「へえ、あははははー」「カロリーネ様、どうしたのですか。」
俺は突然、彼女が笑い出したので驚いて聞く。
 「だって、赤ちゃんですよ。赤ちゃん。」「頼む。殺してくれ。もう嫌だ。」
アルノルトは涙を流しながら懇願する。
 「では、すべて話してもらえますね。」「それは、その・・・」
 「みなさん聞いてください。アルノルト様は夜な夜な赤ちゃんになって、メイドにおむつをしてもらったり、おっぱいをねだったりするのですよ。」
俺とアネットは吹き出す。アニタは笑いをこらえて痙攣している。
 「話します。何でも聞いてください。」
アルノルトはカロリーネに精神的に殺されて服従させられる。婚約解消王女の名は伊達ではなかった。
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