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第6章 逃亡の旅

第19話 おとり作戦

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 俺たちは街を出発する。そして、ゆっくりと進む。
 これには訳がある。カロリーネの指示で情報を集めてきた騎士によるとワーウルフの群れに襲われた商人は街を出た後に被害に遭っていた。
 そこで、俺たちは街から出発してワーウルフの群れが出てくるところを狙うことにした。1日目は空振りに終わった。
 反省検討会をする。アネットがみんなに言う。
 「人数が多いから襲ってこないと思うわ。」「それなら気配を殺して進みましょ。」
俺がアネットに言う。戦い慣れたアネット、アニタ、カスパー、「アニエス様をあがめ隊」は気配を消すことが出来る。これならワーウルフの群れは少人数だと思うかもしれない。
 2日目も街を出発してワーウルフの群れが現れることを待つ。しかし、群れは襲ってこなかった。俺は魔力探知で魔獣の群れが近づいてきたことを知っていた。
 だが、魔獣の群れはある程度近づくと去って行ってしまった。そのことはアネット、カスパーたちも魔力探知で気づいている。
 2回目の反省検討会が行われる。カスパーがみんなに言う。
 「今日の結果で気配を消すだけではだめなことが判りました。しかし、少数ならワーウルフの群れは襲って来るでしょう。」「私がおとりになります。」
 「カロリーネ様、危険です。」「このくらいで危険と言っていては勇者様に同行できません。」
 「分かりました。私たちは先行します。そして、「アニエス様をあがめ隊」には離れてついて来てもらいます。」「私の馬車が襲われたら駆け付けるのですね。」
 「はい、馬車は近衛騎士5人で守ってもらいます。」「良いでしょう。私も久しぶりに剣を振るえそうですわ。」
カロリーネはやる気満々である。俺はカロリーネの件の腕は知らないが彼女は剣に自信を持っているらしい。
 3日目、俺たちは3つに分かれて出発する。俺とアネット、アニタは先行している。俺の魔力探知に魔獣の反応はない。俺は今回も失敗かと思った。
 後方から赤色の信号弾が撃ちあがる。赤色は馬車のグループである。馬車にワーウルフの群れが襲いかかったのだ。
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