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第4章 宮廷魔法士

第6話 シルバーグリズリーの群れ

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 マグマウェーブを逃れたシルバーグリズリー5匹が向かってくる。俺はウインドカッターとファイヤーボールを同時に使う。5匹のシルバーグリズリーは風の刃に切られるが効果は薄い。
 ファイヤーボールは4匹のシルバーグリズリーに命中して高温の炎に包まれる。シルバーグリズリーは体を焼かれ、炎に包まれているため窒息する。4匹は黒焦げになって倒れる。
 残った1匹は俺を無視して村へ走って行く。ファイアーランスを撃ち込もうとするがやめる。村の入り口には武器になりそうな農具を持った男たちが集まっていた。
 攻撃すれば男たちを巻き込む恐れがあったのだ。シルバーグリズリーは真直ぐ男たちの前に迫ると立ち上がり、前足を振り回す。
 シルバーグリズリーは前足を振るたびに血しぶきが広がり、人間の体の一部だったものが飛び散る。
 戦闘経験のない男たちは農具を突き出して抵抗するが、シルバーグリズリーを傷つけることもかなわなかった。俺の目の前で一方的な蹂躙が繰り広げられている。
 俺はシルバーグリズリーに接近してサンダーボルトを使おうと考える。その時、アニタの叫び声が聞こえる。
 「伏せて!」
俺は反射的に前に体を投げ出す。俺の頭から背中にかけて重い空気のかたまりが通り過ぎる。シルバーグリズリーが俺を後ろから前足で襲ってのだ。
 俺は男たちに気を取られ隙が出来ていた。シルバーグリズリーは地面に伏した俺に続けて襲い掛かる。俺の上に血のシャワーが降りかかる。
 見るとシルバーグリズリーは背中から剣で心臓を貫かれて胸から血を吹き出している。アニタはシルバーグリズリーを蹴り飛ばす。
 「アニエス様、まだ戦闘中ですよ。」「分かっているわ。村に気をとられただけよ。」「それを油断と言うのです。」
俺とアニタが2人で戦う時、彼女は保護者のように小言を言うことが多い。彼女は再び、シルバーグリズリーの群れへ向かって行く。
 アニタは、人並み外れた力と反応速度で群れの中でも危なげなく戦っている。シルバーグリズリーはアニタを取り囲んで、牙をむき出し向かって行く。
 彼女は、1匹目の顔に掌底を撃ち込みながらかわすと2匹目の首を剣で切り落とす。3匹目をかわすとすれ違いざまに横腹へけりを入れる。
 俺はまずアニタの援護をすることにする。シルバーグリズリーの群れにファイヤーボールを撃ち込む。アニタはファイヤーボールに当たるようなミスはしない。
 ファイヤーボールに当たったシルバーグリズリーが黒焦げになって倒れる。群れは3匹までに減る。アニタは余裕で3匹を狩る。
 「アニタ、村を助けるわよ。」「はい、急ぎましょう。」
アニタは、村の入り口で殺戮を続けているシルバーグリズリーに向かって走る。そして、シルバーグリズリーの横を走り向ける瞬間、剣で一閃する。
 シルバーグリズリーは腹の所で胴体がずれて2つになる。こうして、俺とアニタの魔物退治は終わる。
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