同棲しているけど彼女じゃない～怨霊は恋のキューピット

123話 美琴が家出した朝

　朝になり、九郎は目を覚ます。玉枝はすでに起きていて朝食を作っている。彼女はテーブルに朝食を並べていく。
　チーズトーストとオムレツである。九郎は「いただきます」をして食べ始める。チーズトーストにはメイプルシロップがかかっている。
　玉枝は九郎に料理の出来栄えを聞く。
　「お味はどお。」「おいしいよ。オムレツはふわふわだし、チーズにシロップは意外に合うね。」
　「そう、良かった。おかわりの私も食べる。」「おかわりは結構です。」
いつものお色気攻撃に九郎の感謝の気持ちが削れる。
　食事が終わると九郎は着替える。玉枝もネグリジェ姿から服を変える。
　黒のＴシャツにデニムのジャケットとデニムのスカート、網目ストッキングである。九郎は玉枝の足を見ないようにする。彼女はからかうように言う。
　「私の足見たいんでしょ。よく見て。」「きれいですよ。」
九郎は頭の中でこれは怨霊、これは怨霊、これは怨霊・・・と唱える。玉枝の色香は九郎にとって劇薬である。
　すると玄関のインターフォンが鳴る。九郎はいつもより早いなと思いながら玄関ドアを開ける。するとつよしが立っている。
　「九郎、おはよう。」「どうしたんだ。」
九郎は驚き。つよしは玉枝に気づく。
　「玉枝さんどうしているんだ。」「昨日、泊まったんだよ。」
　「うらやましい。」「姉さんだよ。」
　「でも美人だろ。」「それは否定しない。」
するとつよしの後ろから声がかかる。
　「つよし、何がうらやましいの。」「みこ、社本さん、おはよう。九郎の所に玉枝さんがいるんだ。」
　「本当、会いたい。」「姉さんは昨日、泊まったんだ。」
　「玉枝さん、おはようございます。すごい網目ストッキングはいている。」「みこちゃん、目立つかしら」
　「玉枝さん、スタイルいいから似合っていますよ。」「ありがとう。」
あやめが話に割って入る。
　「そろそろ、大学に行くわよ。」
九郎たち４人は玉枝を残してアパートを出る。玉枝は戸締りをした後、気配を小さくして見えなくなり、４人の後を追いかける。