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64話 キスしたい

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 朝食の時、あやめは九郎に言う。
 「女の子の部屋に入るの楽しかったかしら。」「あの、反省しています。」
あやめは男子部員を見回す。男子部員は一斉にそっぽを向く。玉枝があやめに言う。
 「私がみんな追い出したのだからいいじゃないの。」「玉枝さんがそういうなら。」
あかねは黙ることにする。九郎はあやめの機嫌が悪いようなので落ち込む。
 食後、九郎はあやめに声をかける。
 「あやめ、怒っている。」「もう、怒っていないわよ。」
 「九郎ちゃんは、和歌を覚えるべきね。女性の所にしのぶには歌を詠むのよ。」「現代にそんなことする人はいません。」
九郎が玉枝に言う。あやめは九郎に言う。
 「夜這いも非常識よ。」「歌を詠んだらいいのかな。」
 「ダメです。」「分かった。あやめの嫌がることはしないよ。」
あやめは九郎の服を掴んで上目遣いに見て言う。
 「九郎は、堂々としていた方がかっこいいよ。」
九郎は、あやめの可愛さは反則だと思う。
 午前中、自由時間を過ごして昼食を食べ終わると帰り支度をする。
 帰りのマイクロバスの中は、静かである。昨夜、寝ていないものが多いため、眠り込んでいる。
 九郎に眠ったあやめが寄りかかってくる。九郎はあやめの肩を抱く。九郎はあやめを見る。
 あやめの寝顔もかわいい、桜色の唇が目に付く、九郎は口づけをしたくなる。
 しかし、あやめが寝ているうちにキスをするのは、彼女に悪いと考え我慢する。
 バスは駅のロータリーに到着して、解散する。
 九郎とあやめ、玉枝は、バスに乗る。玉枝は九郎に言う。
 「なぜ、キスしなかったの。」「何のこと。」
 「バスの中であやめちゃん寝ていたでしょ。キスできたでしょ。」「寝ている隙にキスできないよ。」
 「でも、キスしたそうだったわよ。」「見てたんですか。」
 「九郎ちゃんのファーストキス見られると思ったのに。」「見せません。」
あやめが九郎と玉枝に言う。
 「玉枝さんなら見られても平気よ。」「キスしてもよかったの。」
あやめは赤くなりながらうなづく。
 「九郎ちゃんとあやめちゃん、今からしたら。」「出来ません。」「雰囲気が・・・」
 「残念ね。つよしとみこちゃんとは大違いね。」「そういえば、つよし、昨日帰って来なかったけど何していたんですか。」
九郎の質問にあやめは赤くなる。玉枝が答える。
 「2人で布団の中に入っていたわよ。」「添い寝ですか。」
 「やることやっているわよ。」「つよしたちたくましいな。」
九郎は感心する。3人はバスを降りると久沓神明社へ歩いていく。

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