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第289話 ヘクターの最期

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 ヘクターのベンノ艦長は、前進を選ぶ。彼はバレルの冷却を急がせ、8機のフレームシリーズを船の守りにつける。
 さらに強化ユニットを装備したクリス4機を発進させる。4機のクリスに進路を切り開かせる。
 ヘクターの後方はムーラーの群れに覆われ退路はない。
 クリスは熱核弾頭ミサイルとSPA砲で前方のムーラーを排除していく。
 「バレルの冷却終了しました」「右舷SPA砲発射用意」「了解」
 「右舷バレル内電子加圧中」「クリスに退避指示」
 「クリス射線から退避」「バレル内圧力規定値に到達」「撃て」
ヘクターの右舷からエネルギーの激流が吐き出され前方のムーラーが消え去る。
 「前進、最大船速」「了解」
ヘクターはムーラーの群れの中から抜け出す。
 「左舷SPA砲発射用意」「左舷バレル内電子加圧中」
 「バレル内圧力規定値に到達」「撃て」
ヘクターの左舷からエネルギーの本流が吐き出され前方のムーラーが消えると共に爆発が起こる。
 ベンノ艦長はセンサー付きミサイルを4発発射する。2発はムーラーにつぶされるが2発が本拠地の姿をとらえる。
 ベンノ艦長はバレルの冷却を急がせるとともにフレームシリーズを本拠地へ向かわせる。ムーラーの数は多くフレームシリーズがムーラーの群れに囲まれる。
 ベンノ艦長はヘクターをムーラーの群れに突っ込ませる。全砲台を展開しフレームシリーズの援護をする。
 ベンノ艦長は乗員に白兵戦の用意をさせる。船体にムーラーが取りつく。
 「右舷バレル冷却完了」「直ちに発射用意」
 「右舷バレル正常に加圧中」「バレル内圧力規定値に到達」
 「撃て」
ヘクターの右舷からエネルギーの激流が吐き出され前方のムーラーが消え、ムーラーの本拠地が燃え上がる
 すでに3機のフレームシリーズがムーラーに捕まり自爆している。船体には3匹のムーラーが取りつき船内に侵入している。
 「左舷バレル冷却終了」「直ちに発射用意」
 「左舷バレル正常に加圧中」「バレル内圧力規定値に到達」
 「撃て」
ヘクターの左舷からエネルギーの本流が吐き出され、ムーラーの本拠地を焼き尽くす。ベンノ艦長は5基目の本拠地の壊滅を報告する。
 しかし、ヘクターにムーラーの群れから抜け出す力は残されていない。
 ヘクターは群れに飲み込まれ自爆する。
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