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第176話 魔力の纏1

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 俺は午前中、ドニィーシャと剣の訓練をしている。一度はドニィーシャを超えたが彼女は剣の腕を上げてきている。
 そしてアクセルを上回る速さのアクセルを習得する。彼女はセカンドアクセルと名付ける。俺はまだセカンドアクセルを使えずにいる。
 午後はアピルの講義の後、サイーシャと魔術戦闘の訓練をしている。俺はいまだに魔力発動の気配を殺すことが出来ずにいる。
 そして、魔力の上乗せの練習をしていく中で自分の魔力に自分がコントロールしている魔力を全身に上掛けする方法を思いつく。
 これならば最初から発動する魔力の大きさは大きくなり、自分の魔力より大きな力が使えるようになる。そして今日これを試そうと考えている。
 俺はサイーシャに向けて魔弾を撃ち込む、サイーシャは余裕でかわす。その間を利用して右手に魔力の剣を作り、切り込むそれも彼女は動きを呼んでいるようにかわしてしまう。
 俺は魔弾を連発して打ち込み、距離を取る。
 「陛下、うまいですよ。」
サイーシャが褒める
 次に体の魔力を瞬間的に高め切り込む
 「動きが読めていますよ。」
彼女は言う。すれ違いざまに魔力の剣を彼女に向かって投げる。
 サイーシャはシールドを使って防ぎ褒める。
 「いいですね。」
 さらに体の周囲に魔弾を作り出し一度に彼女に撃ち込む
 「これは派手ですけど、後が持ちませんよ。」
彼女から注意が飛ぶ。俺はわざと魔弾を一斉に放ったのだ。これで自分がコントロールしている魔力で全身に上掛けすることが出来る。
 そして、俺は自分のコントロールしている魔力を全身に纏う。サイーシャの顔色が変わる。
 俺は試しに魔弾を撃つことにする。サイーシャが慌てて言う。
 「陛下、待って、ストップ、ストップ!」
俺は魔弾を撃ってしまう。その結果、訓練所の防御魔法陣が壊れ壁にひびが入り、床に穴が開く。
 サイーシャは俺に質問する。
 「何をしたんですか。」「魔弾を撃ったんだけど。」
 「それじゃありません、陛下の魔力が上位の神族や魔族並みに大きくなりました。」「ああ、そちらの方。」
 「やらかしたんですね。」「はい、自分がコントロールしている魔力を全身に上掛けしました。」
これはサイーシャが怒ると俺は考える。しかし、彼女はほめたたえる。
 「素晴らしいです。」「え、素晴らしいの。」
 「そうですよ、これなら上位の神族に対抗できます。」
俺は耳を疑う。これまでまともに戦うことも出来なかった上位の神族に対抗できるのだ。
 俺はこの技を魔力のまといと名付ける。
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