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第127話 マリア・メルル

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 ドニィーシャは自分の娘のことを俺に一切教えてくれない。もちろん俺の娘でもあるので気になる。
 俺はドニィーシャに様子を聞いてみる
 「子供は元気かな。」「ええ、立派な戦士に育ってますわ。」
 「戦士、まだ子供だぞ。」「だから戦士なのです。」
 「どういうこと。」「いずれ、わかりますわ。」
俺は子供のアマゾネスを思い浮かべるがイメージがはっきりしない。やはり10歳になるまで待つしかなさそうだ。

 そして、子供が10歳の誕生日を迎える。ドニィーシャは、子供を玉座に連れてくる。
 赤毛の気の強そうな女の子でドニィーシャに似ている。将来は美人になるだろう。ドニィーシャは俺に紹介する
 「マリア・メルルです。」
俺はマリアに挨拶をする。
 「こんにちはマリア。」
 マリアは、俺を値踏みするような目で足とのつま先から頭まで見ろ。そして、一呼吸おいて言い放つ。
 「こんにちはお父様、私の夫になってください。」
俺は耳を疑ってドニィーシャに聞く。
 「ドニィーシャ、夫になれといわれた気がしたんだけど、君たちの部族の挨拶なの。」「いいえ、マリアは陛下を夫にしたいと言っているんです。」
 「おかしいでしょ、親子だよ。」「ええ、今の社会ではそうですが、強い男を求めるのは当然かと思います。」
ドニィーシャの教育は完全に明後日の方向へ行ってしまっている。これはまずい。
 「マリヤ、親子では夫婦にはなれないんだよ。」「いいえ、そんなことはありません、私が強い男を求めるのは当然のことです。」
 「でも、俺はマリアの夫にはならないよ。」「世継ぎは決まっていますか。」
 「決まっていないが。」「なら、私がいずれ王位を継ぎます、そして陛下を夫に向かえます。」
とんでもない娘に俺は頭が痛くなってくる。
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