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第54話 東京湾上に浮かぶ島

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 俺の悪い予感は、当たってしまう。東京の街を神族や魔族が、魔石を求めて徘徊し始める。初めは少数であったがだんだん数を増していく。
 フレイムランドから軍隊を投入すれば混乱は避けられないので手を出すことが出来ず、様子見の状態である。
 神族と魔族は、小競り合いを繰り返した。しかし、ある夜、中位クラスの神族と魔族が衝突する、その力は街を破壊し、空間にも影響を与える。
 一時的に位相面が裂け通常の空間と位相空間がつながる、つまりフレイムランドの浮島が東京湾上に姿を現す。次の瞬間には、位相面は修復され浮島は姿を消す。

 フレイムランドの存在が、多くの人々、神族、魔族に知られてしまったのである。マスコミが、空に浮かぶ島を町の破壊と関連付けて報道したり、幻覚、気象現象といった報道もされる。
 俺はドニィーシャ、マサソイト、サイーシヤ、アピル、アーリィ、アーシャを集めて対策を検討する。しかし、フレイムランドは300年間その存在を隠し、攻めらることはなかった。
 浮島に防御設備はなく、ある戦力も近衛の軍艦2隻とフレームシリーズが24機、戦闘機のシルフ、シルフⅡが30機のみである。
 幸いなのは、ドニィーシャ、マサソイト、サイーシヤをはじめとして強力な騎士、魔術師がいることだ。検討の結果、3つある艦隊のうち1艦隊を防衛に呼び戻すことになった。
 現在、クリストフ提督の艦隊は異世界の惑星ランド2上空に常駐しており、残りの2艦隊は、宇宙軟体生物の捜索に出ている。その捜索艦隊の1つを防衛に使うこととなる。
 国民は、襲撃時、居住階層へ退避することとして、司令部のあるユグドラシルは旗艦として使うことにする。

 事態は早く動いた、10人の魔族によって、位相面を破壊され侵入される、近くを警戒していたウルクが、新装備の盾に内蔵されたビームバルカン砲を掃射する。
 8人の魔族はビームの雨のずたずたに引き裂かれる。残った2人の魔族は街に紛れ込む、ウルクは、町に逃げ込まれ追うことができなかったが、魔族のうち1人は、騎士が発見し、5人がかりで倒した。
 残りの1人は発見できず逃げられてしまう。魔族の目標は位相空間発生装置と考えられたので、警戒を強化する。
 しかし、敵は狡猾だった、装置の管理員の1人となり替わり、破壊を魔力を使わず、爆弾を使ったのだ。
 警戒についていた騎士や魔術師は、魔族の気配を探っていたので、魔族の気配を隠したままの攻撃に後れを取る。魔族を仕留めたのは、装置を爆破された後である。
 とうとうフレイムランドの浮島が東京湾上に浮かび上がる。そして魔族の侵攻が始まり、俺たちの戦闘が始まった。
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