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3章 貴族になる

4話 黒い牛鬼、討伐軍破れる

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 国府を出発した討伐軍は、1日目の夜を迎える。
 討伐軍はかがり火をつけ、野営をする。
 深夜、見張りの兵が大きな牙を生やした大きな犬のような大牙を見つける
 「大牙だ!」
見張りの兵が叫ぶと討伐軍は円形にかたまり、槍を持つ兵が周囲を固める。
 大牙は30匹ほどの群れで討伐軍の周りを回る。
 大牙と兵の根競べになる。
 大牙は、兵が隙を見せると襲い掛かってくる。
 兵は槍を突き出し追い払う。
 大牙の襲撃は何時間も続く。
 ついに1人の兵が大牙に捕まりさらわれる。
 さらにもう1人がさらわれる。
 大牙は2人の兵を引きずって立ち去る。
 四條忠正は兵たちに檄を飛ばす
 「俺たちは今から牛鬼を戦うんだぞ、大牙ごときに後れを取るではない。」
しかし、長時間の襲撃で兵は疲労している。
 2日目の午後、討伐軍は鳴尾村に着く、軍はそのまま村長の家に行く。
 家の敷地は兵で埋め尽くされる。
 忠正は村長に会い話を聞く。
 村長は忠正に黒い牛鬼について話す
 「夕方、池のほとりにいると黒い手で足を掴んで人を引きずり込みます。」
 「そうか、ならおとりがいるな、村人を1人おとり役に使う。」
 「村人を使うのですか。」
 「それから兵に食事を頼む、討伐は明日の夕方に行う。」
村長は頭を痛める。
 おとり役の村人に300人分の食事である。
 村人総出で討伐軍の世話をすることになる。
 翌日の夕方、討伐軍は割目池に牛鬼討伐の配置に着く。
 池のほとりにはおとり役に選ばれた村人が立っている。
 突然、池の水を割って大きな黒い腕が出てくる。
 村人は間一髪で手を避けることに成功する。
 すると池から黒い牛鬼が出てくる。
 そこに矢が雨のように降ってくる。
 弓隊が弓で射掛けたのだ。
 矢は、黒い牛鬼と村人に降り注ぐ。
 矢は村人の体を貫くが牛鬼の体は矢を跳ね返す。
 弓矢の攻撃は黒い牛鬼に傷一つ負わせることはできない。
 弓の効果がないと見た忠正は、槍隊に指示して、牛鬼を3重に取り囲む。
 兵は槍を牛鬼に突き立てるが刺さらない。
 牛鬼は腕を振り回すと兵が殴られ吹き飛ぶ。
 槍隊の3重の囲みは崩れて乱戦になる。
 兵は槍を突き立てようとするが槍が効かない。
 兵は牛鬼に殴られ飛ばされて動ける者がどんどん減っていく。
 忠正には信じられない光景である。
 彼は剣を抜き、槍隊を下がらせる。
 彼は、牛鬼の振り回す腕をかいくぐり胴に切りつける。
 しかし、手ごたえがない。
 彼の刀は牛鬼に傷をつけただけである。
 再度、牛鬼の隙を見て切りかかるが、牛鬼の誘いに乗ってしまっている。
 忠正は、牛鬼に蹴られ吹き飛ぶ。
 彼は立ち上がることが出来なかった。
 兵は動けなくなった者を担いで引き上げる。
 忠正は足の骨を折り起き上がれない状態である
 槍隊は20人の死者を出す。
 討伐軍は引き上げることになる。
 彼らは国府に帰る途中、再び大牙の群れに襲われ犠牲者を出す。
 国府に戻った討伐軍は疲弊しきっていた。
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