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第109話 そうだ。魔動車を作ろう。(ただし人力
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「まあいいんでないかい」
ティファリーゼが持ち帰ったイアハートの返事がこれだ。
「きゃあ~。あい。やっ」
「よかったわー」
「そうですね」
「家で預かるとはいっても、保護者の方の同意は必要ですものね」
ラウニーが歓声を上げて俺に巻き付き、女性たちがほっと息をついた。
「さて、そうなるとお部屋の支度とか、言葉を教えたりとか、あとご飯も何とかしないといけないですね」
おっ、かわいいだけで騒いでいるかかと思ったが結構しっかり考えているな。
子供を預かる以上教育に責任は持たないといけないし…でも基本が野生児だからな、どんなペースでやっていくかとか考えないと…
「大丈夫、心配ない」
そんなことを考えていたらマーヤさんがそっと教えてくれた。
この世界ははっきり言って覚えることが多くない。
地球のようにいろいろこまごまとしたものがないからだ。
言葉が喋れて、最低限のマナーが分かれば心配ないというわけだ。
確かに言われてみればその通りだな。
「あとは加減算。乗除ができればエリート」
マジか!
驚いてマーヤさんを見る。
どや顔していた。
「そろばん一級」
「マジかー!」
仕事がらそろばんは勉強したが一級はすごい。
そろばんは等級が低くても慣れていれば暗算に随分寄与してくれる。
一級ならばどれほどだろうか。
「でもスキルもある」
あっ、そうね、この世界はスキルがあって暗算とかもできるんだ。
シアさんもそそろばんのせいか『暗算』のスキルは取れたらしい。しかもすごい高レベルで。
しかもものすごい効率で。
今はスキルのおかげで12桁の暗算を100回繰り返しても平気だそうな。
すごいな。
「私が鍛える」
「いやいや、そんな気張らなくていいから」
ネムたちにもみくちゃにされて喜んでいるラウニーをみてマーヤさんがぐっとこぶしを握っていた。
「だからそろばん作って」
どうやって?
■ ■ ■
さてラウニーを預かるにあたって当然いくつかの条件が提示された。
まあ当然だろう。何といっても小さな子供だ。
俺は焼肉をつつきながらそれを考える。
ちなみに焼肉はラウニーの歓迎会。パートツーによるものだ。
ラウニーは手づかみで食べようとして止められている。
ティファリーゼはさすがに手づかみはまずいと思ったのか慣れない手つきでお箸を使っている。
最初頑張っていたラウニーだったが、うまく食べられずに次第に涙目になっていく。
するとネムたちがお肉を取って手ずから食べさせたり、葉物野菜に巻いて口に運んだりしている。
意味があるのだろうか。
ラウニーはご機嫌になった。
「まあ、練習は一日一度ぐらいにして、あとは手でつかんで食べられるものにするか」
ラウニーはまだ幼児ぐらいだから別におかしくはない。
「赤ちゃんでも使える箸がある」
「・・・・・・あー、見たことあるよ。左右が繋がっていてバラけないやつだ。あと指を通す穴とか開いてるやつ」
「そうそう」
「でも詳しい形が…」
「私が分かる」
おっ、とうとうマーヤさんが内政チートに乗り足したか。
後で詳しい図面を起こす約束をしてマーヤさんも焼肉に戻っていった。
でだ。イアハートの付けてきた条件だが、一か月に一回、ラウニーを連れてイアハートの所に顔を出すこと。というのが一つ。
まあ、ここら辺は無理もないところだろう。なんといっても小さい子供だしな。
そして俺が魔力の譲渡をしてやること。
これはラウニーが俺と同じ空間属性を取得してしまったかららしい。
空間属性というのはかなり珍しく、たま有用な属性なので育てるべし。と考えたようだ。
前のように魔石を作って魔力を詰めて渡しておけばいいという話だった。
魔石はよいものを譲ってくれるそうなので今度顔を出したときにもらってこよう。
それまでは俺にへばりついていれば魔力の譲渡はできるみたいだ。
ただ、あの時確か魔石に込めたのは普通の魔力でなく源理力を力いっぱい込めたはず。
普通の魔力ではなくこちらの方だろう。
であればちゃんと魔力譲渡の機会を作った方が無難だろうな。俺もいつもあんなのを垂れ流しているわけではないしね。
そして次の条件。
誰かが不定期に様子を見に行くこと。
誰かといってもティファリーゼしかない。
「はい、焼肉素晴らしいです。ラウニーの独立仕方ないかも」
最初彼女はラウニーを人間の町に置くことに反対だったんだよね。
ひょっとすると焼肉につられたのかもしれない。
でも気持ちはわかる。
いくら見た目が似ていてラミア族などと言われていてもラウニーはラミアではない。
聞いた話では『ナーガ』という種族らしい。
珍しく、そして結構強力な魔族だ。
ティファリーゼはラウニー以外見たことがないらしいが、上半身が人間。下半身が蛇。天候を操る力があるのだとか。
確か地球の仏教でそんなのあったよね。
仏教の護法神だったかな。
釈迦守ったとかそんな感じ。
いや、ただそれだけの話なんだけどね。
「あっきゃ~。ういっ」
うん、子供が楽しそうに笑っているのはいいことだ。
■ ■ ■
翌日早速ラウニーに必要な物を買いに出る。
「うん、この毛皮はいいですよね」
上等で大きな毛皮。かなりふわふわの内張があってまるでマットレスのようだ。
もちろん布団よりもずいぶん高価い。
これを床に敷き詰めてあとは掛け布団があればいいかな。
「この大きさなら三人まとめて寝られますね」
「ああ、そうだね」
「きゅ~い? い・い?」
「ああ、いいね」
ラウニーの頭をなでる。
これは寝室をもう一つ作るということだ。
蛇の下半身というのは幼児でもかなり体積がある。
俺とネムが使っているのはダブルベッドだけれど、ラウニーと三人では難しい。
ラウニーを一人で寝かせるという選択肢もない。
なら部屋ひとつまるごとベッドにしちゃえという感じだ。
今までの寝室は基本的にヤリ部屋になる。
いや、だって夫婦だし、やることはやるよ。
だけど子持ち初心者たからね。
子供の寝ている脇でさっと済ますとか無理。うん。
後小物とかを買ってとりあえず買い物は終了。
この後は…
「大地母神殿に行ってみましょうか」
「ああ、いいね」
「いい。きゃい」
あそこは町中なのに自然がいっぱいであまり余計な人間が入ってこないからラウニーを遊ばせるのにいいのだ。
孤児院の子供達とも仲良くなったしな。
最初ラウニーを見たときの子供達のびっくり顔も面白かった。
だが慣れれば子供だ。気にならなくなるらしい。
まあ、大体は。
特に幼女というのは女の子たちには受けがいい。
だけど…
「ぎゃっ、魔物!」
「ひっ!」
町を歩けば驚く人間は多い。
ラミア族というのも町にやってきたりはしないので魔物に見えるのだ。
いや、実は魔族なんだけどね。
ややこしい。
中には。
「ちっ、なんでこんなところに魔物が!」
なんて攻撃してくるやつもいる。
両脇にいる俺たちが見えないのか?
「ごべっぢゃ」
もちろん速攻でネムに伸されている。
まあ、ラウニーに驚いて剣を抜くような奴はしょせん小物だ。
「少しずつ慣らしていけばと思いますけど、ラウの教育上よろしくないような…」
「そうだね、これもお箸の練習と一緒でいくつかに分けるべきか」
「でも、外に出られないのも…それに、冒険に行っている間をどうするか…」
うむ、数日家を空けるとなるとラウニーをおいて行くわけにはいかないだろう。
家の連中は信用できるとしても、ラウニーが耐えられないとおもう。
なんといってもおれを慕って来てくれたわけだ…し…?
ネムとじゃれ合って楽しそうなラウニーを見る。
「いいのさ別に、父親なんて所詮母親にはかなわないんだから…」
聞いてるやつがいたら笑われるな。
おっと馬車だ。
ぶつかりはしないと思うがシッポとかあるからラウニーを力でくるんでそっとよける。
「魔動車ですね。自力で動くんだからいいですよね」
んで、ぴこっとひらめいた。
「そうだ、魔動車を作ろう」
ただし人力。
「まあいいんでないかい」
ティファリーゼが持ち帰ったイアハートの返事がこれだ。
「きゃあ~。あい。やっ」
「よかったわー」
「そうですね」
「家で預かるとはいっても、保護者の方の同意は必要ですものね」
ラウニーが歓声を上げて俺に巻き付き、女性たちがほっと息をついた。
「さて、そうなるとお部屋の支度とか、言葉を教えたりとか、あとご飯も何とかしないといけないですね」
おっ、かわいいだけで騒いでいるかかと思ったが結構しっかり考えているな。
子供を預かる以上教育に責任は持たないといけないし…でも基本が野生児だからな、どんなペースでやっていくかとか考えないと…
「大丈夫、心配ない」
そんなことを考えていたらマーヤさんがそっと教えてくれた。
この世界ははっきり言って覚えることが多くない。
地球のようにいろいろこまごまとしたものがないからだ。
言葉が喋れて、最低限のマナーが分かれば心配ないというわけだ。
確かに言われてみればその通りだな。
「あとは加減算。乗除ができればエリート」
マジか!
驚いてマーヤさんを見る。
どや顔していた。
「そろばん一級」
「マジかー!」
仕事がらそろばんは勉強したが一級はすごい。
そろばんは等級が低くても慣れていれば暗算に随分寄与してくれる。
一級ならばどれほどだろうか。
「でもスキルもある」
あっ、そうね、この世界はスキルがあって暗算とかもできるんだ。
シアさんもそそろばんのせいか『暗算』のスキルは取れたらしい。しかもすごい高レベルで。
しかもものすごい効率で。
今はスキルのおかげで12桁の暗算を100回繰り返しても平気だそうな。
すごいな。
「私が鍛える」
「いやいや、そんな気張らなくていいから」
ネムたちにもみくちゃにされて喜んでいるラウニーをみてマーヤさんがぐっとこぶしを握っていた。
「だからそろばん作って」
どうやって?
■ ■ ■
さてラウニーを預かるにあたって当然いくつかの条件が提示された。
まあ当然だろう。何といっても小さな子供だ。
俺は焼肉をつつきながらそれを考える。
ちなみに焼肉はラウニーの歓迎会。パートツーによるものだ。
ラウニーは手づかみで食べようとして止められている。
ティファリーゼはさすがに手づかみはまずいと思ったのか慣れない手つきでお箸を使っている。
最初頑張っていたラウニーだったが、うまく食べられずに次第に涙目になっていく。
するとネムたちがお肉を取って手ずから食べさせたり、葉物野菜に巻いて口に運んだりしている。
意味があるのだろうか。
ラウニーはご機嫌になった。
「まあ、練習は一日一度ぐらいにして、あとは手でつかんで食べられるものにするか」
ラウニーはまだ幼児ぐらいだから別におかしくはない。
「赤ちゃんでも使える箸がある」
「・・・・・・あー、見たことあるよ。左右が繋がっていてバラけないやつだ。あと指を通す穴とか開いてるやつ」
「そうそう」
「でも詳しい形が…」
「私が分かる」
おっ、とうとうマーヤさんが内政チートに乗り足したか。
後で詳しい図面を起こす約束をしてマーヤさんも焼肉に戻っていった。
でだ。イアハートの付けてきた条件だが、一か月に一回、ラウニーを連れてイアハートの所に顔を出すこと。というのが一つ。
まあ、ここら辺は無理もないところだろう。なんといっても小さい子供だしな。
そして俺が魔力の譲渡をしてやること。
これはラウニーが俺と同じ空間属性を取得してしまったかららしい。
空間属性というのはかなり珍しく、たま有用な属性なので育てるべし。と考えたようだ。
前のように魔石を作って魔力を詰めて渡しておけばいいという話だった。
魔石はよいものを譲ってくれるそうなので今度顔を出したときにもらってこよう。
それまでは俺にへばりついていれば魔力の譲渡はできるみたいだ。
ただ、あの時確か魔石に込めたのは普通の魔力でなく源理力を力いっぱい込めたはず。
普通の魔力ではなくこちらの方だろう。
であればちゃんと魔力譲渡の機会を作った方が無難だろうな。俺もいつもあんなのを垂れ流しているわけではないしね。
そして次の条件。
誰かが不定期に様子を見に行くこと。
誰かといってもティファリーゼしかない。
「はい、焼肉素晴らしいです。ラウニーの独立仕方ないかも」
最初彼女はラウニーを人間の町に置くことに反対だったんだよね。
ひょっとすると焼肉につられたのかもしれない。
でも気持ちはわかる。
いくら見た目が似ていてラミア族などと言われていてもラウニーはラミアではない。
聞いた話では『ナーガ』という種族らしい。
珍しく、そして結構強力な魔族だ。
ティファリーゼはラウニー以外見たことがないらしいが、上半身が人間。下半身が蛇。天候を操る力があるのだとか。
確か地球の仏教でそんなのあったよね。
仏教の護法神だったかな。
釈迦守ったとかそんな感じ。
いや、ただそれだけの話なんだけどね。
「あっきゃ~。ういっ」
うん、子供が楽しそうに笑っているのはいいことだ。
■ ■ ■
翌日早速ラウニーに必要な物を買いに出る。
「うん、この毛皮はいいですよね」
上等で大きな毛皮。かなりふわふわの内張があってまるでマットレスのようだ。
もちろん布団よりもずいぶん高価い。
これを床に敷き詰めてあとは掛け布団があればいいかな。
「この大きさなら三人まとめて寝られますね」
「ああ、そうだね」
「きゅ~い? い・い?」
「ああ、いいね」
ラウニーの頭をなでる。
これは寝室をもう一つ作るということだ。
蛇の下半身というのは幼児でもかなり体積がある。
俺とネムが使っているのはダブルベッドだけれど、ラウニーと三人では難しい。
ラウニーを一人で寝かせるという選択肢もない。
なら部屋ひとつまるごとベッドにしちゃえという感じだ。
今までの寝室は基本的にヤリ部屋になる。
いや、だって夫婦だし、やることはやるよ。
だけど子持ち初心者たからね。
子供の寝ている脇でさっと済ますとか無理。うん。
後小物とかを買ってとりあえず買い物は終了。
この後は…
「大地母神殿に行ってみましょうか」
「ああ、いいね」
「いい。きゃい」
あそこは町中なのに自然がいっぱいであまり余計な人間が入ってこないからラウニーを遊ばせるのにいいのだ。
孤児院の子供達とも仲良くなったしな。
最初ラウニーを見たときの子供達のびっくり顔も面白かった。
だが慣れれば子供だ。気にならなくなるらしい。
まあ、大体は。
特に幼女というのは女の子たちには受けがいい。
だけど…
「ぎゃっ、魔物!」
「ひっ!」
町を歩けば驚く人間は多い。
ラミア族というのも町にやってきたりはしないので魔物に見えるのだ。
いや、実は魔族なんだけどね。
ややこしい。
中には。
「ちっ、なんでこんなところに魔物が!」
なんて攻撃してくるやつもいる。
両脇にいる俺たちが見えないのか?
「ごべっぢゃ」
もちろん速攻でネムに伸されている。
まあ、ラウニーに驚いて剣を抜くような奴はしょせん小物だ。
「少しずつ慣らしていけばと思いますけど、ラウの教育上よろしくないような…」
「そうだね、これもお箸の練習と一緒でいくつかに分けるべきか」
「でも、外に出られないのも…それに、冒険に行っている間をどうするか…」
うむ、数日家を空けるとなるとラウニーをおいて行くわけにはいかないだろう。
家の連中は信用できるとしても、ラウニーが耐えられないとおもう。
なんといってもおれを慕って来てくれたわけだ…し…?
ネムとじゃれ合って楽しそうなラウニーを見る。
「いいのさ別に、父親なんて所詮母親にはかなわないんだから…」
聞いてるやつがいたら笑われるな。
おっと馬車だ。
ぶつかりはしないと思うがシッポとかあるからラウニーを力でくるんでそっとよける。
「魔動車ですね。自力で動くんだからいいですよね」
んで、ぴこっとひらめいた。
「そうだ、魔動車を作ろう」
ただし人力。
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