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私は秘密を持っている 第十六話
しおりを挟む涼しい外の空気が自然と鼻孔に入り、気分を落ち着かせてくれた。ようやく、緊張から解き放たれた。とても清々しい表現できないくらいの気持ちだった。今となっては外は別世界であり、いったい、何日間、あの治療室に押し込められていたのかも分からない。復活や再生のためではなく、さらなる沈黙を押しつけるための治療を続けるだけの、人にとって最悪の監獄であった。久しぶりに屋外へと出ることで、ようやく無為乾燥な圧力から解放されて、何も持ち得ない一般人に戻れたような気がする。それはつまり、この国の巨悪から少しずつ距離が離れてきた、ということなのかもしれない。
長時間にわたって、激論を交わした末に、体内の秘密が持つマイナスの効力(それは、感情を自在にコントロールされるほどに強烈なものだが)が、ほんの少しだけ薄れてきたような気がする。それは、自分は本当はただの庶民なのかも知れぬ、という漠とした思いである。市民社会の真実が、ようやく心中に染み渡ってきたのかもしれない。国家の中枢と裏社会と営利目的団体のすべてを無数の網で結び付けている、この恐るべき秘密が、心の内壁に青かびのようにまとわり付いていなければ、あるいは、もう少し、その毒性が弱まれば、この私だって、一般的な会社員のひとりとして、この季節に数回しか訪れない、この貴重な陽気に心浮かれて、鼻唄だって歌えるのだ。
そう気持ちを入れ替えてから、ふと、後ろを振り向くと、先ほどまで自分が隔離されていたはずのビルなど、どこにも存在しなかった。彼に報告へ行くための出入り口は再びかき消されてしまった。行き過ぎる人もマスコミ記者や監視者や管理者ではない。どれも普通の人ばかりであった。しかし、こちらに隙あれば、彼とはいつでも顔を合わされることを知っている。暗い過去と秘密は未だ向こうに握られたままなのだ……。
権力というものに歯向かっても、結局はそれに勝利することは叶わなかった。この機会を上手に利用して、彼らの理不尽なやり方を変えようとしたつもりだったが、やはり、容易にできるものではない。そういう意味での敗北感は、かなり根強かった。またしても、強力な壁に弾かれた形だ。なぜ、あれ以上の反論が口から出なかったのかというと、おそらく、遠い昔にも……、権力者からありがたい説教を受けて……、やがて、言われるままに、何ごとにも口をつぐむことを強要され……、結局は、誰もやりたがらぬことを押し付けられる羽目になり……、その頃に埋め込まれた秘密は、そのまま生きていて、今後も除去することはできず、誰の手助けによっても、この問題は解決しない。皆が皆、自分の体内にだけは、それを移されることを頑なに拒むからだ。これから先も、ずっと自分の体内にのみ存在していくのだろう……。私の身体が死んで腐りきったときに初めて、秘密という存在は、この世から完全に消え去ることになるが……。それでは、奴らの思惑通りだ……。見えもしない、感じることもない爆弾を、常に背負わされているわけだ。このぐずぐずと煮え切らない思いは、やがて深刻なストレスとなり、この気分を少しずつ苛立たせるのだろう。ただ、今回の議論に関していえば、半分くらいは言い返せたような気もする。この国有数の権力者に対して、ある程度の反抗心はみせられたわけだ。とにかく、それだけをプラスに考えよう。今後は無駄なプライドは極力切り離しながら生きていく。そうしないと、とても気持ちが持たない。人生五十が、すべて空回りで終わってしまう。しかし、なんて気持ちが軽いんだろう。どうせ、私は一般人だ。十分後も、十年後も……、この命が徐々に薄れゆき消えるその寸前まで……。完全に消えてようやくゼロに戻る。秘密はリセットされる。一部の人たちの目には、何かを隠し持っているように見られているらしいが、正直に打ち明けてしまえば、自分には何の権限も能力もありはしない。その辺りは官僚も閣僚も同じだが……。親を失くして飛べなくなった小鳥が、都会の片隅の歩道で、どれだけ騒がしくさえずっていても、行き過ぎる誰の耳にも、私の声は届くことはないのだ。
取り合えずは久しぶりの外の空気だ。子供たちは秘密や謎の前に、そもそも、ひとつの行動に対する責任という言葉すら知らずに、無邪気にはしゃぎ回っている。まずは何のストレスも存在しない公園を散歩してみようか。そう思いながら、今まさに慌ただしく変わろうとしている、黄色信号の横断歩道を急ぎ足で渡った。その刹那、私のぎこちない行動を気を留めて、こちらの動きを逐一ささっと追ってくる、一つの足音に気がついた。だが、この間のギャングたちのような、欲情にまみれた冷酷なものではない。その鋭くも暖かい視線には、嫌な雰囲気をいっさい感じることはなかったからだ。
「おはよう、連絡がつかないと、非常事態でも起きたのかと、心配になるでしょう。何もなくとも、二日に一度くらいは、必ず連絡をちょうだい。これは前にも言ったかもしれないけれど」
見ると、二年ほど前から仕事上の付き合いのある、親しい女性の姿が目に入った。前の会社に勤めていたときの同僚でもあり、別に恋人というわけではないが、実に優しく付き添ってくれている。あの頃は、互いに別の恋人がいたから、何をするにもわがままで、単純な思考力を持った娘にしかみえなかった。その雑な生き方を何とか矯正してやりたいと、真剣に思っているうちに、妹のようにも思える愛情が育ってきた。向こうが、こちらに寄ってくることについては、自分のどこにそれほど興味を持ったのかは、実際よく分からないが、私の持つ無数の弱点をよく心得ているからこそ、余計に捨て置けなくなったという心境から派生した付き合いなのだろう。
私たちは互いに恋人を失い、最近になってほんの偶然から再び出会い、仕事終わりに一緒に安い食事をしたり、大ヒット看板を掲げる映画を、さして興味があるわけでもないのに、見に行ったりもした。お互いの傍にいられる理由を何とか作るために。私が秘密を抱え込むようになるずっと以前から、彼女は私のよくない性質を心得ていてくれた。秘密という魅惑的で半透明のベールを素通しして、心のその内部を観察することが出来るのは、実のところ、家族以外では彼女だけなのかもしれない。私はあの書記官からすんでのところで逃げ出してきたとき、正直、この重大事を守っていくことには心が折れそうになっていた。進むも引くもならず、人生は大変歩みづらいものになっていた。発狂や自殺という残酷な運命から逃れるためには、ことの詳細を彼女に話さねばならなかった。本来ならば、自分の背後関係を他人に打ち明けることは、例え冗談であっても許されることではない。こちらの動きは特殊な機関により、常に見張られているし、私が任務に失敗した際には、彼女まで犠牲にしてしまう危険があった。しかし、この権力層の深謀術中を信頼できる人に説明してみなければ、この粘着質な罠から余計に逃れられなくなると思っていた。やけくそになったわけではない。自分の腐ってしまいそうな心境を救ってくれる、いくつかの言葉が必要だったからだ。
「ついさっき、送られてきたメールを見て驚いたわよ。何か、また危ない目に遭ったんですって?」
「ああ、自分でも知らなかった秘密の本領を、まざまざと見せつけられて、また路上で死にかけたらしいんだよ。まったく、よく助かったもんだ……。新聞やテレビであまり報道されないだけで、本来なら歴史的な事件なんだよ。このすべてが他人(ひと)ごとであったとしても、もう一度、思い出して見るだけで恐ろしい……」
彼女に会えたことで少し安堵して、口元には開き直りの笑みを浮かべながら、私はそのように教えてやった。大切なことは何一つ解決していないのに、自分でも驚くほどに口は軽かった。彼女の無邪気な笑顔か、あるいは二人の信頼関係がそうさせているのだろう。体内にある秘密を除けば、他のどんなことにでも、ペラペラ回答してしまいそうになった。
「ギャングに襲われたって……、ねえ、正気でいってるの? ここはシカゴやシチリアじゃないのよ。少し疲れてるんじゃない? 街中を薄着の女性たちが気楽に練り歩き、ここ十年ほどは、ボンナイフ以上の凶悪犯罪なんて一度も起きたことはないの。ポケットからサバイバルナイフでも取り出せば、監視カメラによって、その人物の姿は全国に流される仕組みもあるのよ。決まりごとに刃向かっても、道につんのめってひどい目に遭うだけ。犯罪という概念そのものが存在しない。酔っぱらいの自滅以上のことは起こっていないの。きっと、現実よりもリアルな幻覚に襲われたのね……。仕事の方はどうなってるの? ちゃんと、毎日働けてるの? 上司からきついことを言われてない? そっちの方がよほど重要よ。実際は、気持ちが相当に参っているんじゃない?」
「そうじゃないんだ。本当のことなんだよ……。子供向けの劇画にしょっちゅう出て来るような巨大な怪獣に襲われて、数十メートルも吹っ飛ばされたんだ……。そして、またしても、例の場所……、この国最高の機密機関の内部に運ばれたんだ……。そこの書記官とね、少し話をして来た……。何とか、秘密なしでも輝ける人生にはならないものかってね。でも、血統も才能も学歴も、何の背景もない自分には難しいようだった。数時間に及ぶ話し合いだったんだけれど、結局のところは、今回の対談も平行線に終わったわけさ……」
彼女はすっかり物思いに耽っていた。少し憂いを帯びたその表情からは、私の話を真剣に聴いているようには、とても見えなかった。向こうが何かを言い出すまで、私は黙っていた。そうするしかなかった。今さら、自分の記憶のほとんどは誤りでしたなどと、譲るつもりはいっさいないからだ。
「実はね……、その辺の話は、先週も聴いてるの……。たしか、先々週も……」
「僕が嘘をついていると言うわけかい? あの長大な会話のすべてが記憶の中に収められているというのに……。インチキ臭いやぶの精神科医も突然後ろから襲ってきたマフィアも、すべての視覚と触感とが、この一見平和な空間にも、生々しく蘇ってくるんだよ……」
彼女は黙って首を振った。
「本当にそんな陰謀が存在するのなら、医者やマフィアやマスコミ記者の記憶さえも、権力者の都合でいいように消されてしまうんじゃないの? わざわざ、彼らの遺体を始末する必要なんてないはずでしょ。ねえ、病院に行ったことはある? 小さなところじゃ、ダメよ。都心にある大学病院の精神科に……」
「そんなに立派なところじゃないけど、殺気も説明したけど、猛獣に襲われる直前にも専門医のところに行ったんだ。ちょっと太った先生と精神薄弱で貧血気味の看護師が働いているところさ。だけど、最新の医療機器を使ってみても、まるで効果は出なくてね……」
「ううん、あなたが自分の病気を解決しようと想像に作り上げた病院じゃなくて、私が紹介するところよ。ねえ、今度一緒に行ってみない?」
「僕が精神病患者だから……、そして、何の長所も持たない人間だから……、秘密やら、怪獣やら、権力者やらの妄想に付きまとわれて、かえって苦しんでいると言うのかい?」
彼女は何も答えずに、冷めた目でこちらを見ていた。彼女はこちらと違って優秀な大学を現役で卒業している、冷静で信用のおける人間だ。もしかすると、私が体験したことは幻覚なのかもしれない。でも、逆に彼女が語る方が妄想であったなら、さらに際限のない混乱状態に陥ることにならないだろうか? 我々の周りでは、幸せそうな親子連れが、公園のアスレチックではしゃぎ回っていた。誰もこちらを見ちゃいない。見つめ合いながら固まっているのは僕らだけだった。
「僕が膨張した妄想に頼らないと生きてはいけない、情けない病人だという証拠はあるのかい? もし、それが無いのだったら、二度とそんな申し出はしないで欲しい……」
「いえ、それは別にいいの。もう少し、歩きましょう。この先にイチョウ並木がきれいなところがあるの……。屋台も出ているわ。ひとりが辛いときには、自分から気分の良くなる場所へ出かけないとダメよ……」
街の声はそのほとんどが、楽しそうに笑うカップルや夫婦のそれであふれていた。誰もが自分の幸せを謳歌して、それを周りに見せつけながら、二人だけの世界を楽しんでいる。そこには、これ見よがしの見栄もプライドも、十分に含まれているような気がした。他人に見劣ることのない善人たちがいるからこそ、それを跳ね返そうと悪の道へとひた走る者もいる。二人でいながら、この時間をひとりきりで過ごしているのは、自分だけのように思えた。別の人種だと思われることが急に怖くなってきた。自分の影にさえも笑われているような気がした。
「みんな、どこかに弱みがあるみたいね。でも『自分には心にべったりと染み付いた秘密がある。誰かにこれを見つけてもらって取り除いてもらい、その後で慰めて欲しい』だなんて、口に出したりはしないわ」
「それは、彼らが隠し持っているのが、ごくごくちっぽけな秘密だからさ。自分も知らぬ間にどんどんと肥大化していったなら、そんな悠長なことは言ってられなくなる。僕は秘密のことを、家柄や学歴や名刺代わりなんだろうと、そう甘くみてテキトーに扱っているうちに、とんでもない苦難に立たされてしまったんだ……」
私は不機嫌そうにそう言い返した。彼女は目も合わせず、ただ、ふくれっ面をして見せた。
「それなら聴くけれど、いつまで秘密にすがって生きていくつもりなの? 才能は育ちも廃れもするけれど、長年にわたって秘密だけに頼って生きてしまった肉体は、絶対に元には戻らないの。一攫千金の投資やギャンブルがまさにそれなんだけど、少しの自尊心や突き動かされるような快感を伴う判断とやらには、常に大きなリスクがついて回るだけなの。他人を卑下して、たった少しの優越感をどんなに見せびらかしてみても、秘密はその心を少しずつ滅ぼしていくだけで、あなたが弱れば、細菌のように一緒に消えていく……。どんなに膨らましてみても、決して、あの世までは持っていけないのよ」
彼女は私を非難するように強い口調でそう言った。私は何も答えられないままうつむいていた。ここ数年の間に多くの人から何度となく秘密から手を放せと説得を受けてきたが、それは果たせなかった。でも、彼女の強い台詞が一番胸の奥まで届いているような気がした。
「秘密って、もしかして、恋愛に関わることなの? だって、人間が生きているうちで、一番恐ろしい目に遭う時は、ほとんどの場合、男性側の思い上がった片思いが取り返しのつかな事態を呼び込んで……、そして、自分を身の破滅まで突き動かしていくときですものね。それが載っているのは、別に安っぽい新聞や絵本の中だけじゃないでしょ。魔女も悪魔もどこにだって棲んでいるわ。シェイクスピアだって、そう言っているもの……」
彼女はそう言って無邪気に笑った。これまで出会ってきた多くの人間を見れば、確かに恋を多くする人間ほど、それは幸せには繋がっておらず、結局は危ない橋を渡っているような気もする。だが、この子が見逃しているのは、そのことが必ずしも破滅に繋がるとまでは言い切れない。自分が頼りにしている女性の存在というものは、往々にして、その本人の特性を示すものだ。
「僕にこの秘密を埋め込んだ連中は、ただ、自分たちから秘密を遠ざける目的でそうしたわけじゃなくて別な目的もあったんだ。つまり、こっちにわさわさと近づいてくる不届きな連中を、不純な動機を持った人間として一般と区別して始末するために、秘密をこの脳に埋め込んで野放しにしてあったんだ。ただのゴキブリホイホイのようなもんだったんだ……。自分が秘密を任されたのは、才能や魅力を見込まれたからではなくて、秘密を無理にでも奪い取ろうとする人間を始末するためのシステムに利用されたに過ぎなかったんだ……。俺は権力に騙されていたんだよ……」
彼女は強気な女だった。それはこれまで積み上げてきた自信の表れでもあった。私のそんな泣き言を聴かされても、まったく動じることはなかったし、自分が間違ってもいない議論に対しては、譲ることもなかった。
「仕方ないんじゃないの。多かれ少なかれ人は騙されて生きていくものよ。『自分の意志で生まれてきたわけじゃない』なんて台詞を許すくらいなら、親にだって騙されたことになる。学校に騙されて、友人に騙されて、会社に騙されて、それでもなんとか生きる術を見出だしながら、歩み続けてゆくのよ。だけど、騙され続けているうちに、ひょんなことから手に入れているものだってあるの。あなたはいつもその秘密とやらに踊らされているみたいだけど、それも仕方のないことだわ。秘密を持っていない人だって、心が軽くなるわけじゃない。結局は他の何かに、お金や権力や恋人や親兄弟に踊らされながら、この長い道を生きていくのよ。その点では誰しもが同じ立場なんだと、そう思いなさいな」
彼女は強気な口調でそう言って励ましてくれた。私は返す言葉が無くなって、下を向いた。その間にも、沿道を車が猛スピードで何台も通り過ぎていった。
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