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侍女たちの正体は、公爵であるお父様をもってすればすぐに判明することが出来た。予想通りといえば予想通りで、あまり驚くようなことはなかったけれど、確実な証拠を掴むために、私とお父様は彼女たちを泳がすことに決めた。
最近の学園は、以前より生徒が寄ってくることが格段と増えた。そのほとんどが私に対して下心を持つ者だと分かっているけれど、なかには純粋に私を好いてくれる者も出てきている。
「クレア様は優しすぎますわ!もっとドミニク様にガツンと仰られても良いのでは?」
マーガレット様なんかがその例の一人だ。
彼女は、以前から私に話しかけようとしてくれていたらしいけれど、なかなか勇気が出なくて厳しかったそうだ。
「ありがとう、マーガレット様。でもおそらく、無関心ほど悲しいものはないです」
「言われてみればそうですよね。ドミニク様は相当こたえているみたいですし。……まぁ私も、クレア様が良い人だって知りながら、周りの視線が怖くて話しかけられなかったただの臆病者ですから、あまり人のことは言えないですね」
「そんなこと言わないで。あなたがそんな風に思い詰める必要はないですよ。むしろ今こうして仲良くして下さってとても嬉しいです」
こうして心を開いて話せる友人なんて私にとっては始めてだ。
私の言葉にマーガレット様は嬉しそうに頷いた。
「ありがとうございます。あの、それで、今日は一つお話ししたいことがあるのですが……」
「何でしょう」
私が首を傾げれば、マーガレット様は言いにくそうに口を籠らせる。
「クレア様が……あの、階段から転落されてしまった時のことを、見ていた令嬢がいるんです」
「まぁ!それは初耳ですね」
まさかあの現場に目撃者がいたとは。
「一応このことは、クレア様の不注意から起こった事故として解決しましたが、そんな訳ないですよね」
「えぇ、私は確かに背中を押されたのです。誰かはわかりませんでしたが」
「そ、その……目撃した本人も怖くてなかなか言い出せなかったらしいですけれど」
マーガレット様は私の耳元である人物の名前を呟いた。
……やっぱり、そうだったのね。
「教えてくれてありがとうございます。それで、あの、その方、いざとなったら証人になってくれそうですか?」
「もちろんです。それを決意して私に話すことにしたそうですから」
「嬉しいです。これで私も安心して犯人と向き合うことが出来そうです」
「これから何を……?」
不思議そうに私を見つめてくるマーガレット様に、私はある作戦を教えた。
最近の学園は、以前より生徒が寄ってくることが格段と増えた。そのほとんどが私に対して下心を持つ者だと分かっているけれど、なかには純粋に私を好いてくれる者も出てきている。
「クレア様は優しすぎますわ!もっとドミニク様にガツンと仰られても良いのでは?」
マーガレット様なんかがその例の一人だ。
彼女は、以前から私に話しかけようとしてくれていたらしいけれど、なかなか勇気が出なくて厳しかったそうだ。
「ありがとう、マーガレット様。でもおそらく、無関心ほど悲しいものはないです」
「言われてみればそうですよね。ドミニク様は相当こたえているみたいですし。……まぁ私も、クレア様が良い人だって知りながら、周りの視線が怖くて話しかけられなかったただの臆病者ですから、あまり人のことは言えないですね」
「そんなこと言わないで。あなたがそんな風に思い詰める必要はないですよ。むしろ今こうして仲良くして下さってとても嬉しいです」
こうして心を開いて話せる友人なんて私にとっては始めてだ。
私の言葉にマーガレット様は嬉しそうに頷いた。
「ありがとうございます。あの、それで、今日は一つお話ししたいことがあるのですが……」
「何でしょう」
私が首を傾げれば、マーガレット様は言いにくそうに口を籠らせる。
「クレア様が……あの、階段から転落されてしまった時のことを、見ていた令嬢がいるんです」
「まぁ!それは初耳ですね」
まさかあの現場に目撃者がいたとは。
「一応このことは、クレア様の不注意から起こった事故として解決しましたが、そんな訳ないですよね」
「えぇ、私は確かに背中を押されたのです。誰かはわかりませんでしたが」
「そ、その……目撃した本人も怖くてなかなか言い出せなかったらしいですけれど」
マーガレット様は私の耳元である人物の名前を呟いた。
……やっぱり、そうだったのね。
「教えてくれてありがとうございます。それで、あの、その方、いざとなったら証人になってくれそうですか?」
「もちろんです。それを決意して私に話すことにしたそうですから」
「嬉しいです。これで私も安心して犯人と向き合うことが出来そうです」
「これから何を……?」
不思議そうに私を見つめてくるマーガレット様に、私はある作戦を教えた。
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