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婚約解消3
しおりを挟む話はまとまりました。
その日のうちに両親は国王様宛てに手紙を差し出していたようで、私は両親、そして妹と共に王宮へ向かいました。
除籍処分になった私が王宮に入れたのは、手を拘束された状態だからで、二人がかりで護衛に体を抑えられています。
そんな私を端に、国王様、殿下、そして両親とカレンは楽しそうに会話しております。
「残念だが、仕方あるまい。儂も馬鹿な契約をしたものだ。妹を虐げる者とせがれを婚約させるなど。……完璧な妹が羨ましかったか、ステラ嬢。しかしここまでしても成長しないとは、本当にそなたは才能がないどころか人としても落ちぶれている」
そう言って私を見下す国王様の目は嬉しそうです。きっとかねてからの願いが叶って、カレンを王族に迎えられるからでしょう。今までは王妃様に止められていたけれども、こんなことになって仕舞えばもう王妃様も口出しはできませんから。
……ごめんなさい、王妃様。
私が王妃様の方を見ると、その顔は苦痛で歪んでいました。私が裏切ったことがショックなのでしょう。しかし王妃様の表情に注意を引きつける者はいません。なぜなら誰もがカレンに注目しているから。
「やっとカレンが婚約者になる!」
殿下は相変わらず嬉しそうにカレンを眺めています。私に怒りをぶつけてこないあたり、これが公爵家の自作自演だと気づいているのでしょう。
「カレン嬢、これから宜しく頼むぞ」
「はい、国王様!」
国王様はカレンが大のお気に入りです。何でも完璧にこなす上に容貌も素晴らしい、その上公爵令嬢という身分にまでなれば、気に入らない理由がありません。
「俺を一番に頼ってくれて良いからな!困ったことがあったら何でも言うんだぞ」
「ありがとうございます、エリック様。よろしくお願いしますね!」
「公爵も夫人も、十日後はパーティーで忙しくなるぞ」
「まぁ、それは楽しみですわ!早速、新しいドレスを仕立てませんと。カレンが殿下にエスコートされる姿が早く見たいですわ」
「カレンならば、私達の自慢の娘ですので、きっと殿下とのダンスも素晴らしいものを見せてくれるでしょう」
完全に蚊帳の外にいる私。ただひたすら無視され続け、わいわいと騒ぐ様子を見せつけられます。
でも、もうこれでおしまいですから。
しばらくすると、国王様の合図で私は連れ出されました。それでも相変わらず家族は無反応。……もう家族ではありませんが。やっぱり縁を切って正解だと私は確信しました。
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