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義妹の訪れ

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 無言のまま立っているエミーヌが反省していると捉えたからなのか、父親は「もう良い」と言ってすぐにエミーヌを部屋から追い払った。
 
 久しぶりの呼び出し。
 エミーヌは自分の部屋へと続く廊下を歩きながら、ぼんやりと家族のことについて考えを巡らせた。 
 私はいつまでこの現状に付き合わなければいけないのだろう……。
 家族ごっこなら勝手にやってほしい。確かにエミーヌを悪者にすれば、それはもうドラマチックなものに仕上がるのだろうけれど、こっちからすれば迷惑以外のなにものでもない。
 もう疲れた……。
 本当は心の中でずっと思っていたこと。心の奥底に留めて、無視していた本音。
 ずっとこの人たちに付き合ってきたけれど、エミーヌの気持ちや権利はどこに行ったのだろう。まぁ、そんなもの初めからないに等しいが。
 きっとこれを父に言っても、きっと「大金をかけて育ててやってるだけありがたく思え」と睨まれるだけだろう。
  でも、確かにその通りよね……。
 これ以上なにかを嘆いても虚しくなるだけだと思って、エミーヌは考えるのをやめた。


 


「お姉様っ、お話があるの!」

 エミーヌが眠りにつく一刻半前、自室で扉の向こうからヴィヴィの明るい声が聞こえた。
 私が返事を返す以前に控えていた侍女によって扉が開かれ、寝間着姿のヴィヴィが姿を現す。

「お話って何かしら?」

 心配からなのか、いつもは中に入ってこない侍女が、中に控えて話を聞くことにしたようだ。
 それを気にとめることもなく、ヴィヴィは落ち込んだ様子で口を開く。

「あの、私、ロバート様に何かしてしまったの?」
「どうして?」
「だって明らかに私のことを避けているし、嫌われているんじゃないかって怖くて……」
「それはロバートでなければ分からないわ」
「そんなことないっ!お姉様はロバート様とあんなに仲良しなのに。お姉様の婚約者ってことは、私の義兄になる人でしょう?なら仲良くならないといけないって思って……」
「無理して仲良くなることないわよ。ロバートがこの家に婿入りする訳ではないのだし。それに貴方には第二王子のエドモン様もいらっしゃるし、他にも慕ってくれる方が沢山いるでしょう?そちらの方々にもっと目を向けた方が……」

 そこまで言ってエミーヌは後悔した。
 何故ならヴィヴィが唇をギュッと強く噛み締めたからで、これはアレが始まる合図だ。
 
「やっぱり私が平民だから、ロバート様とは仲良くなれないって言うんですか?だからいっつも無視してくるんですかっ!」

 声を荒げるヴィヴィ。今日はいつもより感情が昂ぶっていた。
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