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幕間 魔王からは逃げられない。
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なんでこうなった?
俺、春日恭一郎は目の前の光景に呆然とする。
俺は今、全裸に剥かれている。
恥ずかしいことは恥ずかしいが、問題はそこじゃない。
俺は今、全裸の女の子に囲まれているのだ。
左右から挟み込むように摺り寄せられるおっぱい。
俺の耳元で甘い吐息を漏らしながら、時々、クチュッと湿った音を立てながら耳を舐めてくる。
俺の唇は、代わる代わる、女の子に奪われ、息を吐く間もない。
俺の手は、女の子の胸や大事な所を弄ることを望まれ、そのようにしている。
こんなことをされていては、当然、俺の下半身は元気になるのだが、そこも二人がかりでご奉仕され、すでに3回果てている。
「あの、そろそろ……。」
俺は、この天国のような地獄に終わりを告げるべく、女の子が唇を離した隙に声を上げる。
「えー、もう一回いいじゃない。」
俺の下半身を可愛がっていた女の子が不満の声を上げる。
「ここもそう言ってるよ。」
そう言って俺の元気なものを咥える女の子。
「おふっぅ……これで最後だぞ。」
俺はあっさりと陥落される。
「なんでこうなった?」
与えられる刺激と快感に流されそうになりながら呟き、こうなった原因へと思考を遡らせる……。
◇
「よしっ!異世界だっ!俺は勇者だっ!」
見たこともない街並みの中で、俺は嬉しさのあまり大声で叫ぶ。
思い返してみれば、俺の人生ろくなものではなかった。
小学校半ばまではまだよかった。周りとも馴染めていたし、俺の事を迫害するような奴もいなかった。
しかし、高学年にもなると、それぞれに個性というものが目立ち始め、それぞれ勝手なランク付けがされる。
テストでいつも100点を取る頭のいい奴、足が速い、サッカーが上手いなど、運動能力に秀でた奴、おしゃべりが上手く、いつもみんなを笑わせている、コミュニケーション能力の高い奴などなど……。
そして、どの能力でも目立たない奴は、望む望まないにかかわらず「底辺」という位置づけをされる。
上位にいる奴らは「底辺」にいる奴らをバカにし、そこまでの能力のない奴らも、「底辺」を見下すことで自分の地位を守っている。
底辺にいる奴らは次第に卑屈になり、上位の者に媚を売るようになる。
中学に上がることになると、その図式はもっと明確化されていく。
そして、その階位に反論を唱え立ち向かうものは……他の者から激しい抵抗に遭い、叩き潰され、底辺の更に下「最底辺」へと突き落とされる。
まぁ、簡単に言えば苛めの対象にされるってわけだ。
そんな風になりたくないので、誰もが見て見ぬ振りをして、その場を無難に乗り切る……俺もその中の一人だった。
俺に転機が訪れたのは高校に入学してからだった。
入学して早々に、仲のいい友達が出来た。
奴とは趣味が合い、休み時間の度に、そのことで話が盛り上がっていた。
俺としてはそれなりに楽しい学校生活を送っていたと思う。
そして夏休みが近づいてきたある日、それは起きた。
人気のない空き教室で、その友達が虐められている現場に遭遇したのだ。
俺にはその時二つの選択肢があった。
見なかったことにして、回れ右をする選択……。
こちらを選べば、少なくとも、しばらくの間は、平穏な学園生活が遅れていただろう。
そして、もう一つの選択肢……愚者の選択。
俺はおろかにもそれを選んで、その渦中へ飛び込んでいったのだ。
その結果、友達は虐められることはなくなった。
……その代わりに俺が苛めの対象になったからだ。
そして、苛め集団の中に、友達の姿があるのは仕方がないのだろう。
それが賢い選択なのだから……。
それでも俺は頑張り耐え抜いた。
耐えに耐えていたのだが、終わりのない苛めに、とうとう心が折れ、学校に行かなくなった……12月に入る前の事だった。
それから2年半、俺は登校拒否を続けていた。
ずっと学校に行っていなかったのになぜか中学を卒業できたのは不思議だ。
そして形だけの受験をして無事高校に入学できたことも……。
高校には1週間だけ通った。
環境が変われば、違う景色が見えるのではないかと期待したからだ。
しかし、その期待も無残に敗れ、俺は相変わらず引き籠り生活を続けていた。
そんな俺だが、何もしてなかったわけではない。
ネットゲームやラノベに触れ、その中で見出した一つの光明……異世界転移。
異世界に行って新しく人生をやり直す。
いつ召喚されてもいい様に、入念な準備も怠らなかった。
勿論、向こうでのアドバンテージを取るために、必要と思われる知識も習得していった。
そんな生活を続けて2年……俺は18になり、異世界召喚はやはり無理なのだろうかと諦めかけていたところで、突然周りの景色が変わったのだ。
ずっと憧れ望んでいた異世界召喚、これが声を上げずにいられようか!
思わず叫んだ俺の周りから、波が引くように人々が離れていく。
そして、武装した兵士たちがやってきて俺を取り囲む。
えっ、どういうこと?
兵士に捕らえられた俺は、そのまま貴族の屋敷らしいところへ連行され、激しい取り調べを受けた。
勿論、逆らわなかったよ?
知ってることはべらべらと喋りましたよ?
だって、兵隊さん怖いし、持ってるこん棒痛いんだもん。
で、結局、王様の前に連れていかれて、王様から直々に「真の勇者というのであれば、魔王を打倒してまいれ!」と勅命を受け、装備を受け取って旅だったんだよ。
ん?どんな装備かって?
それはもちろん、勇者にふさわしい、由緒正しき武器「ひのきの棒」だよ。
後、お鍋のフタももらったけど、それが何か?
だけどなぁ、「魔王を倒す」って言ったって、どこに行けばいいの?ってなるだろ?
半年ほど、あてもなく旅して、ようやくたどり着いたのがここなんだよ、わかった?
◇
「……一つだけ聞かせろ。」
俺がここにいる経緯を長々と語ると、目の前の「魔王」が口を開く。
そう、俺は何の偶然か、迷って迷って迷った挙句に偶々見つけたダンジョンで、お宝がないかと探していたら、色々なトラップに引っかかり、跳ばされて、迷った挙句に出た場所が、偶然にもこの魔王の間だったのだ。
魔王はいきなり攻撃してくることもなく、俺が誰で、どのような目的で来たのかを問いかけてくるので、べらべらと喋ったというわけだ。
だって、横にいる悪魔みたいな人が怖いんだもん。
魔王が近づいてくる。
そして、目の前に立つと厳かに言ってくる。
「余の仲間にならぬか?さすれば世界の半分をやろう。」
「なります。」
俺は即答した。
だって、この人と敵対するなんてありえないでしょ?
俺の返答に、魔王は一瞬黙り込み、次の瞬間には大爆笑したのだった。
◇
魔王様は実は俺と同じ転移者で、色々あって抗っていたら、いつの間にか魔王と呼ばれるようになっただけで、実は魔王でも何でもないこと。
だけど、人間、魔族ともに敵対勢力があるから、力あるものを仲間にしたいと思っていたことなどを話してくれた。
そして、「詳しいことは、また明日な。今夜はゆっくりしろよ。」と言って部屋を用意してくれたのだ。
俺はあてがわれた部屋で、これでよかったのか?などと考えていたら、部屋の中に女の子たちが入ってきて、そして……今に至るのだ。
……うん、俺は悪くない……筈。
俺はすでに何度目になるかわからない絶頂を迎えて果てる。
果てた後、女の子が回復の魔法をかけてくれるので全く疲れない……体力的には。
俺はそのまま、快楽の波に押し流されて意識を失うのだった。
◇
「昨夜はお楽しみでしたね。」
魔王の横にいる女の子が、俺の顔を見た途端、そんなことを言う。
「なぁ、このネタ教えたの魔王様だろ?」
「はっはっつ、鉄板ネタだろ?それより、その「魔王様」ってのはやめてくれ。同郷の奴に言われるとむず痒いって言うかバカにされてる気分になる。」
「まぁ……気持ちはわかるけど……じゃぁ何て呼べば?」
「ユウジだ、ユウジと呼んでくれ、キョウ。」
「OK。それでユウジ、俺は何すればいいんだ?仲間になると言っても、正直俺は弱いぞ?」
俺はまだ、この世界に来て3か月もたっていない。
旅の間に魔物に襲われることもあったが、殆ど逃げ回っていたので、レベルとかも上がってないだろう。
って言うか、あんな魔物倒せないだろう。無理無理っ!
「そうだな、まぁ、最初は訓練かな?死なない程度には強くなってもらわないと、こっちも寝ざめが悪いしな。後は、その訓練の間に、お前の持つ独自のスキルを鍛え上げるってところだな。」
「独自のスキル?」
「あぁ、後で詳しく聞かせてもらうが、何かあるんだろ?自覚がないなら、適当に何かやってれば、そのうちわかるだろうけどな。」
「わかった。訓練すればいいんだな。」
俺にスキルがあるのかどうかは分からないが、あるなら使いこなしてみたい。
異世界に来たんだから「俺THUEEE~」をやるのは当然だよな?
「そうだな、後は追々、こっちに慣れてもらって、いずれは1軍を率いてもらうことになるから頼んだぜ。」
「1軍を率いるって……戦争でもするのか?」
「んー今は専守防衛ってところだな。魔族にも人族にも狙われてるからなぁ。幸いにも、一部の「魔王」と呼ばれる奴らとはある程度話がついてるが、人間はダメだな。話にもならん。」
「そ、そうか……。まぁ、頑張るよ。」
「頑張れよ。あ、そうそう、ネタついでにこの言葉を送っておくぜ。『魔王からは逃げられない』ってな。」
大声で笑うユウジ。
「……ネタ……だよな?」
俺は案内をしてくれている綺麗なお姉さんに聞いてみる。
「ネタであることを願ってますよ?」
「あぁ、そうだな……って、お姉さん、肩を掴む手の力……入り過ぎじゃないですか?」
「あっと失礼……逃げ出すこと……できませんよ?」
お姉さんは小声で囁く。
はい、逃げません。逃げられません。
逃げないけど……どうしてこうなった!と心の中でつぶやくぐらいは許してほしい。
俺、春日恭一郎は目の前の光景に呆然とする。
俺は今、全裸に剥かれている。
恥ずかしいことは恥ずかしいが、問題はそこじゃない。
俺は今、全裸の女の子に囲まれているのだ。
左右から挟み込むように摺り寄せられるおっぱい。
俺の耳元で甘い吐息を漏らしながら、時々、クチュッと湿った音を立てながら耳を舐めてくる。
俺の唇は、代わる代わる、女の子に奪われ、息を吐く間もない。
俺の手は、女の子の胸や大事な所を弄ることを望まれ、そのようにしている。
こんなことをされていては、当然、俺の下半身は元気になるのだが、そこも二人がかりでご奉仕され、すでに3回果てている。
「あの、そろそろ……。」
俺は、この天国のような地獄に終わりを告げるべく、女の子が唇を離した隙に声を上げる。
「えー、もう一回いいじゃない。」
俺の下半身を可愛がっていた女の子が不満の声を上げる。
「ここもそう言ってるよ。」
そう言って俺の元気なものを咥える女の子。
「おふっぅ……これで最後だぞ。」
俺はあっさりと陥落される。
「なんでこうなった?」
与えられる刺激と快感に流されそうになりながら呟き、こうなった原因へと思考を遡らせる……。
◇
「よしっ!異世界だっ!俺は勇者だっ!」
見たこともない街並みの中で、俺は嬉しさのあまり大声で叫ぶ。
思い返してみれば、俺の人生ろくなものではなかった。
小学校半ばまではまだよかった。周りとも馴染めていたし、俺の事を迫害するような奴もいなかった。
しかし、高学年にもなると、それぞれに個性というものが目立ち始め、それぞれ勝手なランク付けがされる。
テストでいつも100点を取る頭のいい奴、足が速い、サッカーが上手いなど、運動能力に秀でた奴、おしゃべりが上手く、いつもみんなを笑わせている、コミュニケーション能力の高い奴などなど……。
そして、どの能力でも目立たない奴は、望む望まないにかかわらず「底辺」という位置づけをされる。
上位にいる奴らは「底辺」にいる奴らをバカにし、そこまでの能力のない奴らも、「底辺」を見下すことで自分の地位を守っている。
底辺にいる奴らは次第に卑屈になり、上位の者に媚を売るようになる。
中学に上がることになると、その図式はもっと明確化されていく。
そして、その階位に反論を唱え立ち向かうものは……他の者から激しい抵抗に遭い、叩き潰され、底辺の更に下「最底辺」へと突き落とされる。
まぁ、簡単に言えば苛めの対象にされるってわけだ。
そんな風になりたくないので、誰もが見て見ぬ振りをして、その場を無難に乗り切る……俺もその中の一人だった。
俺に転機が訪れたのは高校に入学してからだった。
入学して早々に、仲のいい友達が出来た。
奴とは趣味が合い、休み時間の度に、そのことで話が盛り上がっていた。
俺としてはそれなりに楽しい学校生活を送っていたと思う。
そして夏休みが近づいてきたある日、それは起きた。
人気のない空き教室で、その友達が虐められている現場に遭遇したのだ。
俺にはその時二つの選択肢があった。
見なかったことにして、回れ右をする選択……。
こちらを選べば、少なくとも、しばらくの間は、平穏な学園生活が遅れていただろう。
そして、もう一つの選択肢……愚者の選択。
俺はおろかにもそれを選んで、その渦中へ飛び込んでいったのだ。
その結果、友達は虐められることはなくなった。
……その代わりに俺が苛めの対象になったからだ。
そして、苛め集団の中に、友達の姿があるのは仕方がないのだろう。
それが賢い選択なのだから……。
それでも俺は頑張り耐え抜いた。
耐えに耐えていたのだが、終わりのない苛めに、とうとう心が折れ、学校に行かなくなった……12月に入る前の事だった。
それから2年半、俺は登校拒否を続けていた。
ずっと学校に行っていなかったのになぜか中学を卒業できたのは不思議だ。
そして形だけの受験をして無事高校に入学できたことも……。
高校には1週間だけ通った。
環境が変われば、違う景色が見えるのではないかと期待したからだ。
しかし、その期待も無残に敗れ、俺は相変わらず引き籠り生活を続けていた。
そんな俺だが、何もしてなかったわけではない。
ネットゲームやラノベに触れ、その中で見出した一つの光明……異世界転移。
異世界に行って新しく人生をやり直す。
いつ召喚されてもいい様に、入念な準備も怠らなかった。
勿論、向こうでのアドバンテージを取るために、必要と思われる知識も習得していった。
そんな生活を続けて2年……俺は18になり、異世界召喚はやはり無理なのだろうかと諦めかけていたところで、突然周りの景色が変わったのだ。
ずっと憧れ望んでいた異世界召喚、これが声を上げずにいられようか!
思わず叫んだ俺の周りから、波が引くように人々が離れていく。
そして、武装した兵士たちがやってきて俺を取り囲む。
えっ、どういうこと?
兵士に捕らえられた俺は、そのまま貴族の屋敷らしいところへ連行され、激しい取り調べを受けた。
勿論、逆らわなかったよ?
知ってることはべらべらと喋りましたよ?
だって、兵隊さん怖いし、持ってるこん棒痛いんだもん。
で、結局、王様の前に連れていかれて、王様から直々に「真の勇者というのであれば、魔王を打倒してまいれ!」と勅命を受け、装備を受け取って旅だったんだよ。
ん?どんな装備かって?
それはもちろん、勇者にふさわしい、由緒正しき武器「ひのきの棒」だよ。
後、お鍋のフタももらったけど、それが何か?
だけどなぁ、「魔王を倒す」って言ったって、どこに行けばいいの?ってなるだろ?
半年ほど、あてもなく旅して、ようやくたどり着いたのがここなんだよ、わかった?
◇
「……一つだけ聞かせろ。」
俺がここにいる経緯を長々と語ると、目の前の「魔王」が口を開く。
そう、俺は何の偶然か、迷って迷って迷った挙句に偶々見つけたダンジョンで、お宝がないかと探していたら、色々なトラップに引っかかり、跳ばされて、迷った挙句に出た場所が、偶然にもこの魔王の間だったのだ。
魔王はいきなり攻撃してくることもなく、俺が誰で、どのような目的で来たのかを問いかけてくるので、べらべらと喋ったというわけだ。
だって、横にいる悪魔みたいな人が怖いんだもん。
魔王が近づいてくる。
そして、目の前に立つと厳かに言ってくる。
「余の仲間にならぬか?さすれば世界の半分をやろう。」
「なります。」
俺は即答した。
だって、この人と敵対するなんてありえないでしょ?
俺の返答に、魔王は一瞬黙り込み、次の瞬間には大爆笑したのだった。
◇
魔王様は実は俺と同じ転移者で、色々あって抗っていたら、いつの間にか魔王と呼ばれるようになっただけで、実は魔王でも何でもないこと。
だけど、人間、魔族ともに敵対勢力があるから、力あるものを仲間にしたいと思っていたことなどを話してくれた。
そして、「詳しいことは、また明日な。今夜はゆっくりしろよ。」と言って部屋を用意してくれたのだ。
俺はあてがわれた部屋で、これでよかったのか?などと考えていたら、部屋の中に女の子たちが入ってきて、そして……今に至るのだ。
……うん、俺は悪くない……筈。
俺はすでに何度目になるかわからない絶頂を迎えて果てる。
果てた後、女の子が回復の魔法をかけてくれるので全く疲れない……体力的には。
俺はそのまま、快楽の波に押し流されて意識を失うのだった。
◇
「昨夜はお楽しみでしたね。」
魔王の横にいる女の子が、俺の顔を見た途端、そんなことを言う。
「なぁ、このネタ教えたの魔王様だろ?」
「はっはっつ、鉄板ネタだろ?それより、その「魔王様」ってのはやめてくれ。同郷の奴に言われるとむず痒いって言うかバカにされてる気分になる。」
「まぁ……気持ちはわかるけど……じゃぁ何て呼べば?」
「ユウジだ、ユウジと呼んでくれ、キョウ。」
「OK。それでユウジ、俺は何すればいいんだ?仲間になると言っても、正直俺は弱いぞ?」
俺はまだ、この世界に来て3か月もたっていない。
旅の間に魔物に襲われることもあったが、殆ど逃げ回っていたので、レベルとかも上がってないだろう。
って言うか、あんな魔物倒せないだろう。無理無理っ!
「そうだな、まぁ、最初は訓練かな?死なない程度には強くなってもらわないと、こっちも寝ざめが悪いしな。後は、その訓練の間に、お前の持つ独自のスキルを鍛え上げるってところだな。」
「独自のスキル?」
「あぁ、後で詳しく聞かせてもらうが、何かあるんだろ?自覚がないなら、適当に何かやってれば、そのうちわかるだろうけどな。」
「わかった。訓練すればいいんだな。」
俺にスキルがあるのかどうかは分からないが、あるなら使いこなしてみたい。
異世界に来たんだから「俺THUEEE~」をやるのは当然だよな?
「そうだな、後は追々、こっちに慣れてもらって、いずれは1軍を率いてもらうことになるから頼んだぜ。」
「1軍を率いるって……戦争でもするのか?」
「んー今は専守防衛ってところだな。魔族にも人族にも狙われてるからなぁ。幸いにも、一部の「魔王」と呼ばれる奴らとはある程度話がついてるが、人間はダメだな。話にもならん。」
「そ、そうか……。まぁ、頑張るよ。」
「頑張れよ。あ、そうそう、ネタついでにこの言葉を送っておくぜ。『魔王からは逃げられない』ってな。」
大声で笑うユウジ。
「……ネタ……だよな?」
俺は案内をしてくれている綺麗なお姉さんに聞いてみる。
「ネタであることを願ってますよ?」
「あぁ、そうだな……って、お姉さん、肩を掴む手の力……入り過ぎじゃないですか?」
「あっと失礼……逃げ出すこと……できませんよ?」
お姉さんは小声で囁く。
はい、逃げません。逃げられません。
逃げないけど……どうしてこうなった!と心の中でつぶやくぐらいは許してほしい。
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