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第二章 勇者のスローライフ??
古代遺跡の謎-前編ー
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「ふぅ……ようやく戻ってきたよぉ。」
フラフラしながら、やっと見覚えのある広間に戻って来た私を出迎えたのは……。
「何で私を差し置いて、そんな羨まけしからん事をしてるのよっ!」
そう、私の眼前に広がっていたのは、複数の幼女……しかもケモミミ付き……にお世話されているミュウ達の姿だった。
「あら、ミカゲ遅かったわね。」
ミュウがキツネミミの幼女にあーんをしてもらいながらそんな事を言ってくる。
「何が遅かった、よっ!私が………って、えっ………?」
ミュウに文句を言い掛けたとき、袖が引っ張られる感覚がしたのでそちらを見てみると………。
そこに天使がいた……。
いや、正確には三人のケモミミ幼女がミカゲに抱き着くようにして立っていた。
「えっと……。」
私は訳わからないまま、取りあえず、ネコミミの幼女を抱き上げる……袖を引っ張っていた子だ。
「どこから来たの?さっきまでいなかったよね?」
「……。」
「えっと……。」
返事のない幼女の反応を見て、少し困る。
(無駄じゃ、そいつらは人の言語中枢を持っておらん故、喋れぬのじゃ。)
私の傍に来た妖精がそう教えてくれる。
いつの間にかマリアちゃんの傍にいた妖精だ。
エストリーファと似ているって事は……。
(察しがいいのぅ。我はユースティア、叡智と深淵の女神じゃ。宜しく頼むぞよ。)
妖精はユースティアと名乗る。
状況からして、マリアちゃんも加護を得たって事でいいのかな?
「ウン、分かった。宜しくね、ユースティア。」
私はユースティアと挨拶を躱す。
「何でそう簡単に受け入れられるのよ……。」
ミュウが何かを呟いていたけど、気にしないことにする。
「それで、ユースティア。この子達の事なんだけど、何か知ってるの?」
私はネコミミの幼女にスープをフーフーしてもらいながら、妖精に訊ねる。
今の私は三人のケモミミ幼女に囲まれているのでご機嫌なのよ。
(うむ、こやつらはエレメンタルじゃ。精霊の分御霊と言った方が分かりやすいかのぅ。)
……いや、そっちの方が分かりにくいから。
(簡単に言えば、精霊の一部じゃ。ほら、お前さんもエレメンタルゴーレムを倒したときに宝珠を手に入れたじゃろ?)
「あぁ、あれね。何に使うか分からなかったけど。」
(その宝珠が、こやつらの核じゃ。今はお主の思念を基に形作っておる。)
その言葉を聞いた時、ミュウの耳がピクッと震える。
「へぇー、何でいきなり幼女かと思ってたけど、そう言う訳だったんだ。」
「うぅ……ミカ姉、不潔ですっ!」
どうやら、私の願望がエレメンタルの姿をケモミミ幼女にしたという事らしい。
……私GJ!
「なんで?ケモミミ幼女最高じゃない。」
私はそう言いながらイタチ?ミミの幼女にスリスリする。
ユースティアに聞いたところによると、ミュウの傍から離れないキツネミミ幼女は炎のエレメンタルの『ホムラ』、クーちゃんの傍にいるのは大地のエレメンタルの『デメテル』クマミミ幼女だ。
マリアちゃんに引っ付いてるのはタヌキ?ミミの幼女の姿をしたシャドウエレメンタルの『ヤミー』。
そして私にご奉仕してくれてるのは、光のエレメンタルの『ヒカリ』、水のエレメンタルの『アリエル』風のエレメンタルの『エアリス』。
其々、ネコミミ幼女、ウサギミミ幼女、イタチ幼女の姿をしている。
私は、ご満悦と言った感じでケモミミ幼女を愛でていると、ユースティアから声がかかる。
(お楽しみのところ申し訳ないんじゃが、そろそろ先に進まぬか?我もそろそろ限界でのぅ。)
ユースティアの話によれば、この奥に古代遺跡とターミナルがあるという。
そこにユースティアの本体があるんだって。
今のユースティアは分体みたいなもので、わけていたエネルギーがそろそろ尽きるから、本体に合流したいって話なんだけど、その為には私達が封印を解く必要があって、私が合流するのを待っていたって話なのよ。
「で、具体的にはどうしたらいいわけ?」
(あそこに祭壇があるの見えるじゃろ?あそこの魔法陣にエレメンタルの宝玉を設置し、中央にお主の手をかざすんじゃ。それでマスター登録がなされターミナルはお主達を受け入れるじゃろう。)
「ふぅーん……、じゃぁちょっとやってみるね。」
私はみんなから宝玉を預かると、ユースティアに言われた通りに魔法陣を起動させ、宝玉を設置していく。
「増幅結界の六芒星ね………。」
魔法陣が起動した処で、私は手をかざす。
すると、魔法陣を中心に広場が光に包まれる。
「この感覚は……。」
鉱山に入ってから、幾度となく体験した感覚……転移だ。
光が収まり、周りを見回しても何の変化も感じられない……違った……今までにない扉がいつの間にか出現している。
そして、魔法陣にセットした宝玉は、いつの間にか私の手の中に戻ってきている。
「あそこが入口みたいね。」
みんなが集まるのを確認してから、私は入り口の前まで移動する。
「えっと、どうすればいいのかな?」
扉には取っ手もボタンもなく、どうすれば開くのかが分からない。
(そこの魔法陣に手をかざしてみるのじゃ。)
ユースティアの言う通りに手をかざすと、ゴゴゴ……と、地響きを立てながら扉がゆっくりと開いていった。
(ようこそ、主たちよ!我は長きの間待ちわびていたのじゃ。)
先に中に入ったユースティアが振り返り、笑いながらそう言って私達を招いてくれる。
奥まで進むと、そこには初めてみる……そしてどこか見慣れた感じの装置……ターミナルが鎮座していた。
私は以前と同じようにターミナルの前に行くと、そこに手を置いてみる。
『……起動シークエンス……開始。……オートチェックサム起動……。フィールドチェック起動……パーソナライズセッティング確認……ミストレス・ミカゲ……確認……。』
しばらく装置がチカチカと明滅を繰り返し、そして、静かになる。
『ミストレス・ミカゲ、この私、人工精霊SN251700800135515AISYSTEMVer.3.02は、以後あなたの指揮下に入ります……。』
「そうなの?」
『ハイ、間違いありません。何かご要望は有りますか?』
「えっと、アイちゃん2号、じゃぁねぇ……。」
私が言いかけるとアイちゃん2号が割込んでくる。
『イイエ、チガイマス。私は”人工精霊SN25……。』
「うるさい!長くて面倒だから、あなたはこれから『アイちゃん2号』これは命令よ!」
『…………イエス、マム。』
私とアイちゃん2号のやり取りを聞いていたミュウ達は大きくため息を吐いていた。
なんか、失礼じゃない?
「まぁ、いいや、えっと、アイちゃん2号、まずはターミナルをアイちゃんの所とつなぐ事が出来るかな?」
『イエス、マム……作業完了マデ43,500Scond程カカリマス。』
「いいわ。それを最優先でやって頂戴。」
大体半日ほどかかるのね、じゃぁその間は休憩かな?
「えっとね、半日ほどかかるみたいなの、だから……。」
私は振り返って皆に説明をしようとしたのだけど、そこには困った顔をしたクーちゃんが佇んでいるだけだった。
どうやら、勝手に探索に行ってしまったらしい。
「あはは……。」
クーちゃんは困りながらも笑顔を私に向けていた……クーちゃんは良い子ね。
◇
「で、それがユースティアの本体なわけ?」
ミュウがマリアちゃんの腕にある装飾過多なブレスレットに目をやる。
「そうみたいですわ。」
マリアちゃんは優しくブレスレットを撫でながら答える。
「はぁ……なんか私だけ仲間外れっぽいわね。」
ミュウが少し自嘲気味に、そう呟く。
(ミュウよ、安心するがよい。)
「何をよ?」
(我ら女神は各ターミナルの守護を任されておるのじゃ。つまり、お主等が今後もターミナルを見つけていけば、そのうち、お主に力を貸そうという女神と会えるかも知れぬぞ。)
「そうなんだ。まぁ、あまり期待しないでいるわ。」
ミュウはどうでもいいと言う感じで話を打ち切る。
「そんな事より、この後どうするのよ?」
「うーん、どうしようか?」
ミュウに答える私の声は、少し困惑していたと思う。
実際に困惑してるから仕方が無いと思うのよ。
セルアン族の依頼は、この鉱山を調べて来ること、なんだけどね………。
奥が古代遺跡だって事は分かっていた感じだし、調べてほしいと言うより、私がここに辿り着くことを願ってた感じなのよね。
どういう思惑があるのかまではわかんないんだけどね。
「とりあえず、先ずはアイちゃん2号の話を聞いて、鉱山からここに来るまでのルートを封鎖、鉱山内のゴーレムの稼働停止。後は地上に拠点を作って、ここと繋ぐぐらいかな?」
「まぁ、そうね、取りあえず話を聞かない事には、何もできないか。」
ミュウが仕方がないという表情を向ける。
そのミュウの顔……正確にはそのミミを見て思い出したことがあった。
「そうだ、問題が一つあったのよね。」
私が呟くと、ミュウが、何?と目を向けてくる。
「この子達、どうしよっか?」
私は宝玉を取り出して、ミュウに見せる。
宝玉は力なく明滅していた。
「私としては、さっきのに戻って欲しいんだけどね。」
「それならばお任せください。」
突然聞こえてきた声に振り向く。
そこには見覚えのない幼女が立っていた。
クーちゃんより一回り小さい身体に、ゆるふわウェーブのかかった、きめ細やかな金色の髪。
紅い瞳が私の顔をじっと見つめている……。
「えっと……誰?」
「この姿では初めましてですね。私は人工精霊SN25170……いえ、アイちゃん2号です。」
長い名前を言いかけた少女は、私の視線に耐えきれず、自ら『アイちゃん2号』を名乗る。
「……あのぉ、自ら『アイちゃん2号』というのはとても恥ずかしいのですが、何とかなりませんか?」
アイちゃん2号が、モジモジしながらそんな事を言ってくる。
「そんなこと言ってもねぇ……2号がダメならコピー?」
「ニコちゃんはどうかな?」
困っている私とアイちゃん2号に、クーちゃんが助け舟を出してくれる。
「二号さんだから、ちょっとかわいくしてニコちゃん……ダメかな?」
「いえ!素晴らしいです!!以後、私の事は『ニコ』とお呼びください。」
アイちゃん2号改めニコちゃんが、クーちゃんの手を取ってブンブンとふる。
余程気にいったみたい。
「えっと、それで、ニコちゃんは何しに来たんだっけ?」
「ハイ、本体のアイちゃんとの接続が終わるまで、時間を持て余しているマスターのお相手を……と思いまして。」
「えっ、相手って……。」
私は思わず頬を赤らめる。
「何馬鹿な事考えてんのよ!」
私の考えを読み取ったかのように、ミュウから激しいツッコミが入る。
「そうですわ。大体、お相手なら私がいるじゃありませんか。」
マリアちゃんからもツッコミが入るけど……ちょっと違うよね?
「いえ、あの、そう言う意味ではなかったのですが……お望みならご奉仕もやぶさかではありません。」
ニコちゃんはそう言うと徐に服を脱ぎだす。
むぅ……、幼女スタイルのくせに、意外と膨らみがあるじゃないのよ。
「わわわっ……ダメだよ、こんなところで脱いじゃ。」
クーちゃんが慌てて服を着せる。
「でも、ご奉仕をお望みなのでは?」
「違うからっ!」
不思議そうな顔をしているニコちゃんに、クーちゃんが顔を赤くしながら否定する。
◇
「じゃぁ、色々と質問させてね。」
結局、あの後、ニコちゃんにクーちゃんがお説教をするという、珍しい光景を10分ほど堪能した後、改めて、話を聞くことになったんだけど……。
「ハイ、何でも聞いてください。」
「えっと、まずは……何でクーちゃんの膝の上に?」
そう、何故かに子ちゃんはクーちゃんの膝の上に座っていた。
当のクーちゃんが、困った表情をしながらも、何か嬉しそうだったのが、ちょっと複雑な気分なのよ。
「ニコはクミンお姉様のものですから。」
しれっと答えるニコちゃん。
「……私がマスターだって言ってなかったっけ?」
「はい、そうですよ?でもマスターはミカゲですが、私はクミンの姉様の僕なのです。」
「……じゃぁね、私とクーちゃんが、同時に「あそこの瓶を取ってきて」って言ったら、あなたはその瓶を誰に渡すの?」
「いやですねぇ、クミンお姉さまに決まってるじゃないですか。」
何馬鹿な事聞いてるの?というような表情で私を見るニコちゃん。
「……諦めなよ。」
額を抑える私の肩に、ミュウが優しく手を乗せる。
「うん……私にはミュウがいるからいいの。」
私はその手をギュっと握りしめる。
「あのぉ……ミカ姉、そろそろ本題に入った方が……。」
逃れようとするミュウを抑え込みながら、ネコミミを甘噛みする私に、クーちゃんが恐る恐る、と言った感じで声をかけてくる。
「そうね、ニコちゃん、洗いざらい話してもらうわよ!」
私はミュウを離すと、ニコちゃんに向かってそう宣言するのだった。
フラフラしながら、やっと見覚えのある広間に戻って来た私を出迎えたのは……。
「何で私を差し置いて、そんな羨まけしからん事をしてるのよっ!」
そう、私の眼前に広がっていたのは、複数の幼女……しかもケモミミ付き……にお世話されているミュウ達の姿だった。
「あら、ミカゲ遅かったわね。」
ミュウがキツネミミの幼女にあーんをしてもらいながらそんな事を言ってくる。
「何が遅かった、よっ!私が………って、えっ………?」
ミュウに文句を言い掛けたとき、袖が引っ張られる感覚がしたのでそちらを見てみると………。
そこに天使がいた……。
いや、正確には三人のケモミミ幼女がミカゲに抱き着くようにして立っていた。
「えっと……。」
私は訳わからないまま、取りあえず、ネコミミの幼女を抱き上げる……袖を引っ張っていた子だ。
「どこから来たの?さっきまでいなかったよね?」
「……。」
「えっと……。」
返事のない幼女の反応を見て、少し困る。
(無駄じゃ、そいつらは人の言語中枢を持っておらん故、喋れぬのじゃ。)
私の傍に来た妖精がそう教えてくれる。
いつの間にかマリアちゃんの傍にいた妖精だ。
エストリーファと似ているって事は……。
(察しがいいのぅ。我はユースティア、叡智と深淵の女神じゃ。宜しく頼むぞよ。)
妖精はユースティアと名乗る。
状況からして、マリアちゃんも加護を得たって事でいいのかな?
「ウン、分かった。宜しくね、ユースティア。」
私はユースティアと挨拶を躱す。
「何でそう簡単に受け入れられるのよ……。」
ミュウが何かを呟いていたけど、気にしないことにする。
「それで、ユースティア。この子達の事なんだけど、何か知ってるの?」
私はネコミミの幼女にスープをフーフーしてもらいながら、妖精に訊ねる。
今の私は三人のケモミミ幼女に囲まれているのでご機嫌なのよ。
(うむ、こやつらはエレメンタルじゃ。精霊の分御霊と言った方が分かりやすいかのぅ。)
……いや、そっちの方が分かりにくいから。
(簡単に言えば、精霊の一部じゃ。ほら、お前さんもエレメンタルゴーレムを倒したときに宝珠を手に入れたじゃろ?)
「あぁ、あれね。何に使うか分からなかったけど。」
(その宝珠が、こやつらの核じゃ。今はお主の思念を基に形作っておる。)
その言葉を聞いた時、ミュウの耳がピクッと震える。
「へぇー、何でいきなり幼女かと思ってたけど、そう言う訳だったんだ。」
「うぅ……ミカ姉、不潔ですっ!」
どうやら、私の願望がエレメンタルの姿をケモミミ幼女にしたという事らしい。
……私GJ!
「なんで?ケモミミ幼女最高じゃない。」
私はそう言いながらイタチ?ミミの幼女にスリスリする。
ユースティアに聞いたところによると、ミュウの傍から離れないキツネミミ幼女は炎のエレメンタルの『ホムラ』、クーちゃんの傍にいるのは大地のエレメンタルの『デメテル』クマミミ幼女だ。
マリアちゃんに引っ付いてるのはタヌキ?ミミの幼女の姿をしたシャドウエレメンタルの『ヤミー』。
そして私にご奉仕してくれてるのは、光のエレメンタルの『ヒカリ』、水のエレメンタルの『アリエル』風のエレメンタルの『エアリス』。
其々、ネコミミ幼女、ウサギミミ幼女、イタチ幼女の姿をしている。
私は、ご満悦と言った感じでケモミミ幼女を愛でていると、ユースティアから声がかかる。
(お楽しみのところ申し訳ないんじゃが、そろそろ先に進まぬか?我もそろそろ限界でのぅ。)
ユースティアの話によれば、この奥に古代遺跡とターミナルがあるという。
そこにユースティアの本体があるんだって。
今のユースティアは分体みたいなもので、わけていたエネルギーがそろそろ尽きるから、本体に合流したいって話なんだけど、その為には私達が封印を解く必要があって、私が合流するのを待っていたって話なのよ。
「で、具体的にはどうしたらいいわけ?」
(あそこに祭壇があるの見えるじゃろ?あそこの魔法陣にエレメンタルの宝玉を設置し、中央にお主の手をかざすんじゃ。それでマスター登録がなされターミナルはお主達を受け入れるじゃろう。)
「ふぅーん……、じゃぁちょっとやってみるね。」
私はみんなから宝玉を預かると、ユースティアに言われた通りに魔法陣を起動させ、宝玉を設置していく。
「増幅結界の六芒星ね………。」
魔法陣が起動した処で、私は手をかざす。
すると、魔法陣を中心に広場が光に包まれる。
「この感覚は……。」
鉱山に入ってから、幾度となく体験した感覚……転移だ。
光が収まり、周りを見回しても何の変化も感じられない……違った……今までにない扉がいつの間にか出現している。
そして、魔法陣にセットした宝玉は、いつの間にか私の手の中に戻ってきている。
「あそこが入口みたいね。」
みんなが集まるのを確認してから、私は入り口の前まで移動する。
「えっと、どうすればいいのかな?」
扉には取っ手もボタンもなく、どうすれば開くのかが分からない。
(そこの魔法陣に手をかざしてみるのじゃ。)
ユースティアの言う通りに手をかざすと、ゴゴゴ……と、地響きを立てながら扉がゆっくりと開いていった。
(ようこそ、主たちよ!我は長きの間待ちわびていたのじゃ。)
先に中に入ったユースティアが振り返り、笑いながらそう言って私達を招いてくれる。
奥まで進むと、そこには初めてみる……そしてどこか見慣れた感じの装置……ターミナルが鎮座していた。
私は以前と同じようにターミナルの前に行くと、そこに手を置いてみる。
『……起動シークエンス……開始。……オートチェックサム起動……。フィールドチェック起動……パーソナライズセッティング確認……ミストレス・ミカゲ……確認……。』
しばらく装置がチカチカと明滅を繰り返し、そして、静かになる。
『ミストレス・ミカゲ、この私、人工精霊SN251700800135515AISYSTEMVer.3.02は、以後あなたの指揮下に入ります……。』
「そうなの?」
『ハイ、間違いありません。何かご要望は有りますか?』
「えっと、アイちゃん2号、じゃぁねぇ……。」
私が言いかけるとアイちゃん2号が割込んでくる。
『イイエ、チガイマス。私は”人工精霊SN25……。』
「うるさい!長くて面倒だから、あなたはこれから『アイちゃん2号』これは命令よ!」
『…………イエス、マム。』
私とアイちゃん2号のやり取りを聞いていたミュウ達は大きくため息を吐いていた。
なんか、失礼じゃない?
「まぁ、いいや、えっと、アイちゃん2号、まずはターミナルをアイちゃんの所とつなぐ事が出来るかな?」
『イエス、マム……作業完了マデ43,500Scond程カカリマス。』
「いいわ。それを最優先でやって頂戴。」
大体半日ほどかかるのね、じゃぁその間は休憩かな?
「えっとね、半日ほどかかるみたいなの、だから……。」
私は振り返って皆に説明をしようとしたのだけど、そこには困った顔をしたクーちゃんが佇んでいるだけだった。
どうやら、勝手に探索に行ってしまったらしい。
「あはは……。」
クーちゃんは困りながらも笑顔を私に向けていた……クーちゃんは良い子ね。
◇
「で、それがユースティアの本体なわけ?」
ミュウがマリアちゃんの腕にある装飾過多なブレスレットに目をやる。
「そうみたいですわ。」
マリアちゃんは優しくブレスレットを撫でながら答える。
「はぁ……なんか私だけ仲間外れっぽいわね。」
ミュウが少し自嘲気味に、そう呟く。
(ミュウよ、安心するがよい。)
「何をよ?」
(我ら女神は各ターミナルの守護を任されておるのじゃ。つまり、お主等が今後もターミナルを見つけていけば、そのうち、お主に力を貸そうという女神と会えるかも知れぬぞ。)
「そうなんだ。まぁ、あまり期待しないでいるわ。」
ミュウはどうでもいいと言う感じで話を打ち切る。
「そんな事より、この後どうするのよ?」
「うーん、どうしようか?」
ミュウに答える私の声は、少し困惑していたと思う。
実際に困惑してるから仕方が無いと思うのよ。
セルアン族の依頼は、この鉱山を調べて来ること、なんだけどね………。
奥が古代遺跡だって事は分かっていた感じだし、調べてほしいと言うより、私がここに辿り着くことを願ってた感じなのよね。
どういう思惑があるのかまではわかんないんだけどね。
「とりあえず、先ずはアイちゃん2号の話を聞いて、鉱山からここに来るまでのルートを封鎖、鉱山内のゴーレムの稼働停止。後は地上に拠点を作って、ここと繋ぐぐらいかな?」
「まぁ、そうね、取りあえず話を聞かない事には、何もできないか。」
ミュウが仕方がないという表情を向ける。
そのミュウの顔……正確にはそのミミを見て思い出したことがあった。
「そうだ、問題が一つあったのよね。」
私が呟くと、ミュウが、何?と目を向けてくる。
「この子達、どうしよっか?」
私は宝玉を取り出して、ミュウに見せる。
宝玉は力なく明滅していた。
「私としては、さっきのに戻って欲しいんだけどね。」
「それならばお任せください。」
突然聞こえてきた声に振り向く。
そこには見覚えのない幼女が立っていた。
クーちゃんより一回り小さい身体に、ゆるふわウェーブのかかった、きめ細やかな金色の髪。
紅い瞳が私の顔をじっと見つめている……。
「えっと……誰?」
「この姿では初めましてですね。私は人工精霊SN25170……いえ、アイちゃん2号です。」
長い名前を言いかけた少女は、私の視線に耐えきれず、自ら『アイちゃん2号』を名乗る。
「……あのぉ、自ら『アイちゃん2号』というのはとても恥ずかしいのですが、何とかなりませんか?」
アイちゃん2号が、モジモジしながらそんな事を言ってくる。
「そんなこと言ってもねぇ……2号がダメならコピー?」
「ニコちゃんはどうかな?」
困っている私とアイちゃん2号に、クーちゃんが助け舟を出してくれる。
「二号さんだから、ちょっとかわいくしてニコちゃん……ダメかな?」
「いえ!素晴らしいです!!以後、私の事は『ニコ』とお呼びください。」
アイちゃん2号改めニコちゃんが、クーちゃんの手を取ってブンブンとふる。
余程気にいったみたい。
「えっと、それで、ニコちゃんは何しに来たんだっけ?」
「ハイ、本体のアイちゃんとの接続が終わるまで、時間を持て余しているマスターのお相手を……と思いまして。」
「えっ、相手って……。」
私は思わず頬を赤らめる。
「何馬鹿な事考えてんのよ!」
私の考えを読み取ったかのように、ミュウから激しいツッコミが入る。
「そうですわ。大体、お相手なら私がいるじゃありませんか。」
マリアちゃんからもツッコミが入るけど……ちょっと違うよね?
「いえ、あの、そう言う意味ではなかったのですが……お望みならご奉仕もやぶさかではありません。」
ニコちゃんはそう言うと徐に服を脱ぎだす。
むぅ……、幼女スタイルのくせに、意外と膨らみがあるじゃないのよ。
「わわわっ……ダメだよ、こんなところで脱いじゃ。」
クーちゃんが慌てて服を着せる。
「でも、ご奉仕をお望みなのでは?」
「違うからっ!」
不思議そうな顔をしているニコちゃんに、クーちゃんが顔を赤くしながら否定する。
◇
「じゃぁ、色々と質問させてね。」
結局、あの後、ニコちゃんにクーちゃんがお説教をするという、珍しい光景を10分ほど堪能した後、改めて、話を聞くことになったんだけど……。
「ハイ、何でも聞いてください。」
「えっと、まずは……何でクーちゃんの膝の上に?」
そう、何故かに子ちゃんはクーちゃんの膝の上に座っていた。
当のクーちゃんが、困った表情をしながらも、何か嬉しそうだったのが、ちょっと複雑な気分なのよ。
「ニコはクミンお姉様のものですから。」
しれっと答えるニコちゃん。
「……私がマスターだって言ってなかったっけ?」
「はい、そうですよ?でもマスターはミカゲですが、私はクミンの姉様の僕なのです。」
「……じゃぁね、私とクーちゃんが、同時に「あそこの瓶を取ってきて」って言ったら、あなたはその瓶を誰に渡すの?」
「いやですねぇ、クミンお姉さまに決まってるじゃないですか。」
何馬鹿な事聞いてるの?というような表情で私を見るニコちゃん。
「……諦めなよ。」
額を抑える私の肩に、ミュウが優しく手を乗せる。
「うん……私にはミュウがいるからいいの。」
私はその手をギュっと握りしめる。
「あのぉ……ミカ姉、そろそろ本題に入った方が……。」
逃れようとするミュウを抑え込みながら、ネコミミを甘噛みする私に、クーちゃんが恐る恐る、と言った感じで声をかけてくる。
「そうね、ニコちゃん、洗いざらい話してもらうわよ!」
私はミュウを離すと、ニコちゃんに向かってそう宣言するのだった。
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そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
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