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世の中思い通りにならないことが98%なのですよ。

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 「……覚悟を決めねばならぬか。」 
 起きた時、枕にナイフが刺さっていた……顔の数ミリ横の位置だ。
 「カイル、カイルはおらぬかっ!」
 腹心の名を呼ぶが何の反応もない……あの腹心は何時如何なる時でも呼べばすぐ現れたのだが……。
 「カイルも消えたか……。」
 一体何が起きているというのだ……。
 執務室に移動するが、屋敷内は火が消えたように静かだ。
 執務机を前に腰を下ろすと、机の上に1枚の書類が置かれているのを目にする。
 ギルマはその書類を手に取る。
 『降伏勧告書』……その文字が目に入る。
 
 書類と……ナイフ……。
 突き刺さっていたナイフに刻まれた紋章……帝国の紋章だ。
 「全ては帝国の手の内……と言うわけか。」
 書類には、ギルマが帝国に対して行った策謀の数々が事細かに記されている。
 「つまり失敗に終わり、これはその報復という事か……。」
 ギルマは数少なくなった屋敷の者に声をかけ指示を出していく。

 「これで終わると思うなよ、小僧!」

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「シンジ様、言われた通りにしてきました。」 
 「ご苦労。そのまま様子を探っていてくれ。」
 「ハッ!仰せのままに。」
 それだけ言うと、シェラが再び姿を消す。

 「ねぇ、シンジ、シェラにどういう指示を出したの?」
 「あぁ……うん……。」
 俺をエルだけでなく同席している二人の女性……アリーシャとその母親のミーシェさんが見つめてくる。
 二人にとっては大事な旦那と父親のこれからにかかわる事なので気が気でない事だろう。

 実の所、俺の領主に対する印象は最悪だ。
 自分がやったことを後悔させ、精神的に追い詰める事に何の痛痒も感じていない。
 しかしアリーシャと話して少し考えが変わる。
 アリーシャの考え方は立派な為政者そのものだ……これは幼いころからしっかりと教育されていなければ身につかないものだ。
 しかし、誰がその教育をアリーシャにしたのか?
 領主か?母親か?それともあのカイルとかいう側近か?
 興味がわいてきた俺は、猶予を与えることにした。

 「一応、降伏勧告の文書を出しておいた。領主が今までの行いを猛省し、無条件で帝国に従うのであれば、申し開きの場を設けてやるってな。」
 俺の言葉にひきつった表情を見せるアリーシャ親子。
 「かなりの上から発言だけど、要は話し合う場を設ける用意があるって事でいいのよね?」
 「まぁそういう事だ。」
 その言葉を聞いて、ホッと一息をつくアリーシャとミーシェさん。
 「後は短気を起こさずにいてくれればいいんだがなぁ。」
 「陛下、それならば……。」
 ミーシェさんが、一案を出してくる。
 「あの人は元々、立派な理想を持つ人なんです。それはもちろん、小狡い所もありますが基本的に小心者で気が弱く、周りに流されがちで、そこをよく利用されてはバカを見るようなそんな人なんです。帝国に逆らう等と大それた考えを持つような人じゃないんです。だから、ちゃんと説得をすれば……。」

 「小狡い小心者って……禄でもないわね。」
 エルがそう呟く。
 「そう言うなよ……だけど、まともに相手にするのが馬鹿らしくなってきたぞ。」
 「皆さん、酷いですよぉ……パパは優しいんです。」
 アリーシャだけが一生懸命領主をフォローしていた。

 「しかし説得と言っても誰が?悪いけどお前らを帰すわけにはいかないぞ?」
 俺がそう言うと、ミーシェさんはその言葉を予期していたように答える。
 「分かっております。説得にはカイルをお願いします。カイルはあの人の幼馴染で一番信用している腹心です。彼の言う事ならばあの人もきっと聞いてくれると思います。」
 「分かった……じゃぁ、そのカイルを連れて来てくれ……ちゃんと説明してな。」
 俺はミーシェさんにカイルを呼びに行かせる……一応シェラに一緒に行くように申し付けて。
 
 「……はぁ、細かい事は後で詰めるとして、領主の正式な謝罪の後、爵位降格、財産没収、無期限謹慎、アリーシャの帝国任官……そんなところでどうだ?」
 ミーシェさんが出て行ったあと、俺は簡単に譲歩案を口にする。
 「シンジにしてはかなり譲歩したわね。」
 「まぁな、アリーシャに免じて、と言う奴だ。」
 「ふーん、その子の事、よほど気に入ったのね。」
 エルに見つめられたアリーシャが頬を染めて俯く。
 
 「……シンジは優しくしてくれた?」
 エルがアリーシャの顔を覗き込みながらそんな事を聞いている。
 「そんなぁ……。」
 アリーシャが更に顔を赤くする。
 ……手を出していないのに、その反応はどうなんだろう。
 そう思ったが口には出さない……ヘタに口出しするとこちらに飛び火してくるからな。
 ここは黙って嵐が通り過ぎるのを待つのが大人の対応と言うものだ。

 「で、本当の所は?」
 「どういう……事でしょうか?」 
 エルの視線が鋭くなる。
 「私はシンジみたいに甘くないよ。身を挺して領民を庇う?……本当にそれだけ?」
 「……。」
 エルに詰め寄られて、アリーシャは俯きながら黙ってしまう。
 「黙っていると、全部ウソだったって疑われるよ?」
 「ウソじゃ……ないです。私は本当に……領民の安全を……。」
 絞り出すように声を出すアリーシャ。
 「それを嘘だとは言ってないよ。でも……それだけじゃないでしょ?」
 「……はい。帝国の皇帝陛下は少女好きで、少女には甘い……と言う噂でしたので……。」
 ……おいおい、そんな噂が流れているのかよ。
 「私の身体で満足していただけるかどうか分かりませんでしたが、お気に召していただければお父様の助命と、この国を救っていただけるのではないかと……ごめんなさい。」
 「はぁ……シンジがチョロインだと思ってたわけね……だって、どうする?」
 「うーん、とりあえず少女趣味だと言う噂は何とかしないといけないなぁ。」
 「無理だと思うわよ……真実なんだし。幼女趣味で少女趣味のチョロインシンジ……はぁ……。」
 「おまっ、それは無いだろう?」

 「あ、あの……私は……。」
 アリーシャがどうしていいか分からずオロオロしている。
 「アリーシャは気にしなくていいわよ。領民を助けたいと思ったのも事実なんでしょ?」
 「それは……はい、そうです……でも……。」
 「まぁ、アリーシャには、今後帝国任官の際に言う事を聞いてもらえばいいから、気にするな。
 「……はい、ありがとうございます。」
 俺の言葉にアリーシャは頷く。
   
 そんな話をしている間にミーシェさんがカイルを連れて戻ってくる。
 カイルはミーシェさんよりある程度の説明を受けていたらしく、俺からの簡単な説明を受けた後すぐに領主の館へと向かっていった。
 シェラにはそれとなく様子を見ておくように伝えてある。
 俺は、これでこの件は殆ど解決したと、この時点では思っていたのだ……世の中、そんなに甘くはないと、俺は誰より知っていたはずなのに……。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「閣下!」
 「カイルか?無事だったのか?」
 「えぇ、ミーシェ様もアリーシャ様も無事でございます。」
 「そうなのか……良かった……。」
 ギルマはその場に崩れ落ちそうになる身体を気力だけで支える。
 「閣下、私は実は帝国からのメッセンジャーなのです……これを。」
 「メッセンジャー、だと?」
 カイルが差し出す書類を手に取る。
 カイルの手に隠れて見えないようにしながら紙片が手渡される。
 ギルマは書類を目に通す振りをしながら紙片に視線を走らせる。

 『見張られていますので、会話には気を付けて。』

 ギルマは執務机に座り、カイルを呼び寄せる。
 「カイル、この部分はどういう事なのだ?お前は何か聞いているか?」
 カイルは机に近寄り、書類に顔を近づけて覗き込む。

 『すでに兵を集めてある。明日には進軍する。』
 
 「そうですねこの部分は受け入れるのはやめた・・・方がいいかも知れません。」
 「しかし、向こうからの要望だ。すでに動いている・・・・・・・・のだろう?やめることは出来んよ。」
 「今からでも交渉の余地・・・・・はありませんか?」
 「難しいだろうな。」
 「そうですか……。」
 一見、内容の検討についての話し合いに見せているが、実は進軍についての会話だとは誰も気付かないだろう。
 幼少のころから一緒にいる彼等だからこそ、微妙なニュアンスの違いで通じ合えるのだ。
 
 事実、隠れて様子を窺っているシェラも、彼らがシンジからの書状に対して検討しているようにしか見えなかった。
 その後も、ギルマとカイルだけの間で通じる会話が続く。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「……以上です。」
 「そうか、でもそんなに悩むほどの内容だったか?」
 「受け入れるのに感情が納得しないのでしょう……その様な事を言っておりました。」
 シェラの報告によれば、領主とカイルは降伏の条件において連日話し合っているらしい。
 と言っても、カイルが説明し説得しているのを領主は受け入れつつも、最後には「納得がいかない」と白紙に戻すのを繰り返しているようなのだが。

 「余り時間を掛けたくないな……脅しをかけておくか。」 
 アイリスと取り決めた時期まであと10日を切っている。
 そろそろケリを付けたいところだ。
 「シェラ、これ以上時間がかかるとミーシェとアリーシャが無事では済まないというメッセージを送っておいてくれ。」
 俺はシェラにそう指示を出すと、シェラはすぐに飛び出していく。

 「……。」
 「エル、どうした?」
 エルが浮かない顔をしているのでそう声をかける。
 「ン……シェラがドジるわけないと思ってるけど……なんか嫌な予感がするのよ。」
 「嫌な予感か……マズいかな?」
 エルもリディアも『天啓』のスキルを持っている。
 『天啓』スキル持ちの予感・・を、ただの気のせいだと切って捨てる程惚けてはいない。

 「アイリスと連絡を取ってみるか。」
 俺は通信の魔術具の魔力を流す。
 『はい、シンジ様どうされたのですか?定時連絡までにはまだ時間があるかと思いますが?』
 「いや、エルが嫌な予感がするって言うから、そちらに変わりはないかと思ってな。」
 『エル様が……確かにそれは心配ですわね。でも、今のところ此方に異常はありませんわ。すべて順調に……って、ちょっと待ってください。今リディアさんから……はい、はいっ……なんですってっ!』
 「おい、アイリス……どうしたっ!何があった!」
 「シンジ、どうしたの?何かあったの?」
 「分からない、通信中にリディアから連絡があったようなんだが……向こうも混乱しているみたいだ。」
 「飛ぶ?その方が早いよ?」
 「そうだな……転移陣もあるし、すぐ戻ってこれるしな。」
 俺は転移石を取り出す……転移先は執務室のプライベートエリアの設定してある。
 一度使うとマナの補充に時間がかかるのが難点だが、こういう時やいざと言う時の脱出用にはかなり役立つ。
 もっとも、作成するための素材が希少なものが多く、また一つ作るのに時間がかかる為、俺とエル達以外には持っていない……量産できればいいんだけどな。

 「ちょっと行ってくる。エルは念のためにミーシェさんとアリーシャを保護してくれ。」
 「ン、任せて。」
 俺はエルに後を頼み、転移石を起動した。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「……少し待ってください。今リディアさんから連絡が。」
 私はシンジ様からの通信をリディアさんからのに切り替える。
 エル様が嫌な予感がするという事でシンジ様から連絡があった、このタイミングでのリディアさんからの緊急連絡……私も嫌な予感しかしませんわ。」
 「リディアさん、何があったのですか?」
 『アイリスっ!シンジさんに連絡を!敵がサウシュに向かってきてるのっ。』
 焦った声で叫ぶリディアさん。
 「リディアさん、落ち着いて……詳しく話してください。」
 『……ウン、ゴメン。ミランダ領の軍勢が攻めてきたのですよ。そんなそぶりもなかったし、シンジさんが攻略しているからって油断してた。』
 「ミランダ軍が……そうですか。で、今の状況は?」
 リディアさんに聞きながら、情報収集の魔術具アルケニちゃんをミランダ領に向かわせる。

 『ウン、サウシュとミランダの間にあるクレイルの街が堕とされたの……住民を避難させるのが精一杯で……それでも無事なのは半分ぐらい……。』
 リディアさんの押し殺した声が、彼女の心境を物語っていた。

 「分かりました。シンジ様からすぐ連絡が行くと思いますので………。」
 「リディア!サウシュの住民を避難させろ。最悪サウシュが落ちても構わない。住民の安全第一に頼む。」
 「シンジ様!」
 いつの間にかシンジ様が戻ってきていた。
 私に顔を寄せる様にしてリディアさんに指示を出しています……そんな場合ではないというのは分かっていますが……心臓のドキドキを抑えるのは無理ですよ。

 『シンジさん!ごめんなさい、私守れなかった。』
 「謝る必要はない、リディアはよくやってくれたよ。悪いけどもうひと頑張り頼む。皆を無事にクルスの街まで避難させてくれ。」
 『分かったっ、任せるのですよ!』 
 リディアさんの声に従来の明るさが戻る……流石はシンジ様ですわね。

 リディアさんとの通信を終え私から離れたシンジ様は、次々と各地に指示を出しています……やはりシンジ様がいるのといないのでは安心感が違いますわ。
 「アイリス、情報収集の魔術具アルケニちゃんからの情報はどうなっている?」
 「もう少しだけお待ちください、今マザーを向かわせていますので。」
 「流石アイリスだな、話が早くて助かる。」
 そう言いながら、シンジ様は頭を撫でてくれます。
 もう子供じゃないのですが……でも、シンジ様に頭を撫でられるのは好きなので、そのまま黙って受け入れることにします。

 私は撫でられながら、今後の事について思考を巡らせます。
 シンジ様は黙ってやられる人ではないので、この後どう動いてもフォローできるようにするのが私の役目です。

 「まさかミランダ領が攻めて来るとは思いませんでしたわ。」
 会話のきっかけとしてそんな事を言ってみる。
 「そうだな、俺も油断してたよ。」
 そういうシンジ様の顔は最近では殆ど見なかった怒りの表情が伺えます。
 ……ミランダの領主は最悪のカードを引いたようですわね。

 私はミランダ領の行く末に同情するしかありませんでした。

 
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