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第6章 それぞれの夢へ向かって
第110話 くしゃくしゃの紙*
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秋くんは夕飯後、また来るねと言い残して中田家を後にした。「2人で一緒にいれる時間を大事にしてよ」と、なんとも大人っぽい言い方で言って行ってしまった。
風呂から上がった俺は、迷わず貴臣の部屋へ入った。
ベッドに腰掛けていた貴臣は、俺に向かっておいでおいでをしたので、その体に跨った。
遠慮なく太腿の上に腰を下ろし、向かい合わせでキスをする。
朝の続きをするみたいに、舌と舌を絡ませ、粘膜を擦り上げた。
名残惜しくも顔を離すと、目の前に手を差し出される。その中には、くしゃくしゃになった皺だらけの紙が。
「さっき掃除していたら、机の裏から出てきたんです。なんだと思いますか?」
その紙を受け取ってみる。なんの変哲もない用紙だ。A4サイズくらいの紙を潰して丸めたような。
「ゴミ?」
「開けてみてください」
え、なんか怖いな。見たら呪われる絵とか描いてないよな。
恐る恐るシワを伸ばして開いてみると、答えは分かった。
相良先輩の性癖リスト。
貴臣が自ら書き写し、最初のレッスンを始める際に壁に貼り付けてあった用紙だ。なぜこんな無残な姿に。
「丸めて投げ捨てたんです、俺が」
「え……どうして」
「全てのレッスンを終えた後、兄さんが部屋で先輩と電話していたのを聞いてしまって、やり切れなくなって。自分から2人のことを祝福しておいて、でも諦めきれない自分が嫌で惨めで、情けなくて。カッとなってこうしちゃいました」
今は笑って話しているけど、その時は相当辛かったはずだ。
秋くんと何をして何を話したのか気になるのに教えてもらえない。挙句、恋人の元へ行ってしまう兄。
本当は好きなのに言えなくて、表面上は取り繕わないといけない自分。
俺も同じだったから気持ちが痛いほど分かって、胸がぎゅっとなった。
「ごめんな、貴臣。もうそんな悲しい思いはさせないから」
その紙をポイと投げ捨て、貴臣にもう1度キスをする。
ぴちゃぴちゃと卑猥な音が鳴り、お互いの顔も体も火照ってきた。
自分から仕掛けたキスなのに、いつの間にか立場が逆転していた。舌を絡ませる側から、受けとめる側へ。歯列をなぞられ、濡れた舌先で上顎をこすられるとたまらなくなる。
「……は……っ……」
もぞ、と尻を動かすと玉がきゅっと潰れて切なくなり、吐息が漏れた。
腰を引いて浮かせると、貴臣は自分の体に俺を引き寄せた。
何度か擦り付けるように腰を上下されると、俺のペニスと貴臣とのが刺激され、ジンジンとした甘い痛みが駆け抜ける。
「あ……んん……っ」
意地悪。
俺がそんなんじゃ足りないって分かってて、貴臣はわざとゆっくりと腰を振っているのだ。
もっと上下するスピードをはやく、乱暴でもいいのに。
自分で触りたい気持ちを押し留め、代わりにまた熱い舌を絡ませた。
「ん──……ん、ん……」
ぞくぞくする。ドキドキする。
貴臣という存在が愛しくて。
次に唇を離した時には、ペニスはしっかりと硬くなり、布を押し上げていた。
「はぁ……っ」
「兄さんは本当に、感じやすいですね」
「あっ!」
乳首を爪で引っ掻かれて、びくんと体が跳ね上がる。もう1度されると、また。音で反応する玩具みたいに、される度に何度も喘いだ。
「自分ではいじってないって初めは言ってましたけど……ここもしっかりと性感帯の1つになりましたね」
薄い布の上から親指の腹でぐにぐにと潰されると本当にやばい。
電流が流れる。柔らかさはなくなって、あっという間に芯を持って硬くなった。
風呂から上がった俺は、迷わず貴臣の部屋へ入った。
ベッドに腰掛けていた貴臣は、俺に向かっておいでおいでをしたので、その体に跨った。
遠慮なく太腿の上に腰を下ろし、向かい合わせでキスをする。
朝の続きをするみたいに、舌と舌を絡ませ、粘膜を擦り上げた。
名残惜しくも顔を離すと、目の前に手を差し出される。その中には、くしゃくしゃになった皺だらけの紙が。
「さっき掃除していたら、机の裏から出てきたんです。なんだと思いますか?」
その紙を受け取ってみる。なんの変哲もない用紙だ。A4サイズくらいの紙を潰して丸めたような。
「ゴミ?」
「開けてみてください」
え、なんか怖いな。見たら呪われる絵とか描いてないよな。
恐る恐るシワを伸ばして開いてみると、答えは分かった。
相良先輩の性癖リスト。
貴臣が自ら書き写し、最初のレッスンを始める際に壁に貼り付けてあった用紙だ。なぜこんな無残な姿に。
「丸めて投げ捨てたんです、俺が」
「え……どうして」
「全てのレッスンを終えた後、兄さんが部屋で先輩と電話していたのを聞いてしまって、やり切れなくなって。自分から2人のことを祝福しておいて、でも諦めきれない自分が嫌で惨めで、情けなくて。カッとなってこうしちゃいました」
今は笑って話しているけど、その時は相当辛かったはずだ。
秋くんと何をして何を話したのか気になるのに教えてもらえない。挙句、恋人の元へ行ってしまう兄。
本当は好きなのに言えなくて、表面上は取り繕わないといけない自分。
俺も同じだったから気持ちが痛いほど分かって、胸がぎゅっとなった。
「ごめんな、貴臣。もうそんな悲しい思いはさせないから」
その紙をポイと投げ捨て、貴臣にもう1度キスをする。
ぴちゃぴちゃと卑猥な音が鳴り、お互いの顔も体も火照ってきた。
自分から仕掛けたキスなのに、いつの間にか立場が逆転していた。舌を絡ませる側から、受けとめる側へ。歯列をなぞられ、濡れた舌先で上顎をこすられるとたまらなくなる。
「……は……っ……」
もぞ、と尻を動かすと玉がきゅっと潰れて切なくなり、吐息が漏れた。
腰を引いて浮かせると、貴臣は自分の体に俺を引き寄せた。
何度か擦り付けるように腰を上下されると、俺のペニスと貴臣とのが刺激され、ジンジンとした甘い痛みが駆け抜ける。
「あ……んん……っ」
意地悪。
俺がそんなんじゃ足りないって分かってて、貴臣はわざとゆっくりと腰を振っているのだ。
もっと上下するスピードをはやく、乱暴でもいいのに。
自分で触りたい気持ちを押し留め、代わりにまた熱い舌を絡ませた。
「ん──……ん、ん……」
ぞくぞくする。ドキドキする。
貴臣という存在が愛しくて。
次に唇を離した時には、ペニスはしっかりと硬くなり、布を押し上げていた。
「はぁ……っ」
「兄さんは本当に、感じやすいですね」
「あっ!」
乳首を爪で引っ掻かれて、びくんと体が跳ね上がる。もう1度されると、また。音で反応する玩具みたいに、される度に何度も喘いだ。
「自分ではいじってないって初めは言ってましたけど……ここもしっかりと性感帯の1つになりましたね」
薄い布の上から親指の腹でぐにぐにと潰されると本当にやばい。
電流が流れる。柔らかさはなくなって、あっという間に芯を持って硬くなった。
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