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第5章 義兄弟の運命は。
第94話 伝えたいこと③
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好きだとか、嫌いにはならないだとは前にも言われたけど、今言われたのはそれらの類とは違う好きだと分かった。
抱きしめられながら見上げる。
貴臣が、俺と同じ種類の好き──……。
「え? 好きって……貴臣……」
「分かりませんか? 貴方とキスしたい、抱き合いたい、セックスがしたいって意味合いでの好きですよ」
「なっ」
分かっているけれど。
まさか貴臣からそんな風に言われるだなんて。鼻血を吹き出しそうになる。
「もしかして、今気付いたんですか? 俺は何度も貴方にアピールしていたのに」
「え?!」
「好きじゃなかったら、口移ししたり風呂場で密着したり、レッスンをしましょうだなんて言うわけがないでしょう」
たまに感じていた違和感は正しかったんだ。
兄弟なのに距離が近すぎる気がする。
何度もそう思ったけど、貴臣がごく当たり前だという風に取り繕っていたからそれが普通なんだと思ってた。
「なんだよ……っ、いつからそんな風に」
「明確な時期は分かりません。しかし貴方に友人を紹介された時にはもう、好きでした」
貴臣のパンツに顔を突っ込んで変態なことをしてた日々。
その頃に友人といる所をたまたま見られて、そいつを紹介したんだ。
「『あの男が好きなんですか』と訊いた時の兄さんの顔を、今でもハッキリと覚えています。頬を赤く火照らせて、睫毛を伏せる仕草。嫌悪しました。どうしてそういう顔をさせる相手が、俺ではないんだと。この間、秋臣の前でも貴方はそのような顔をさせていました。だから俺はあんなに、酷いことを……」
ごめんなさい。
そう言って俺の頭を撫でた。
秋くんの時は逃げ出したかっただけだけど、貴臣には違って見えたようだ。
「相良先輩の名前を聞いた時、もしかしたらと思いましたよ。本当は兄さんも俺を好きでいるんじゃないかって。何度も自問自答して、でもきっと、たまたまだって……キスしたり、兄さんに卑猥なことをさせたりしたのも全部、好きだったから。だから俺は、兄さんの幸せを願いました。相良先輩と幸せになって欲しいと、心から」
「……嘘だ」
俺が言うと、貴臣は首を傾げた。
「何が嘘なんですか」
「先輩と幸せになればなんて、本当はそんなこと思ってなかったくせに。俺が欲しくてたまらなかったくせに」
恥ずかしいことを言っている。
でも俺にはよく分かる。
取り繕っているけど、本当の気持ちは違う。
「もうっ、嘘はいいから本当のことを言えよ。俺はお前が悠助くんと幸せになればそれでいいだなんて思ったことはなかったよっ。お前にずっと、好かれたいって思ってた。辛かった、ずっと……でももういいよなっ? もうここまで言っちゃったし、今更取り繕わなくてもいいよなっ?」
同意を求めるように顔を上げると、貴臣の手が後頭部に回された。
額にキスを落とされて、ひくんと体を竦ませる。
あんなに沢山エロいことをされてきたのに、それはやっぱり無駄だったみたいだ。だってこんなにも耐性がない。いつだって初めてやられているみたいに、ドキドキしてしまう。
抱きしめられながら見上げる。
貴臣が、俺と同じ種類の好き──……。
「え? 好きって……貴臣……」
「分かりませんか? 貴方とキスしたい、抱き合いたい、セックスがしたいって意味合いでの好きですよ」
「なっ」
分かっているけれど。
まさか貴臣からそんな風に言われるだなんて。鼻血を吹き出しそうになる。
「もしかして、今気付いたんですか? 俺は何度も貴方にアピールしていたのに」
「え?!」
「好きじゃなかったら、口移ししたり風呂場で密着したり、レッスンをしましょうだなんて言うわけがないでしょう」
たまに感じていた違和感は正しかったんだ。
兄弟なのに距離が近すぎる気がする。
何度もそう思ったけど、貴臣がごく当たり前だという風に取り繕っていたからそれが普通なんだと思ってた。
「なんだよ……っ、いつからそんな風に」
「明確な時期は分かりません。しかし貴方に友人を紹介された時にはもう、好きでした」
貴臣のパンツに顔を突っ込んで変態なことをしてた日々。
その頃に友人といる所をたまたま見られて、そいつを紹介したんだ。
「『あの男が好きなんですか』と訊いた時の兄さんの顔を、今でもハッキリと覚えています。頬を赤く火照らせて、睫毛を伏せる仕草。嫌悪しました。どうしてそういう顔をさせる相手が、俺ではないんだと。この間、秋臣の前でも貴方はそのような顔をさせていました。だから俺はあんなに、酷いことを……」
ごめんなさい。
そう言って俺の頭を撫でた。
秋くんの時は逃げ出したかっただけだけど、貴臣には違って見えたようだ。
「相良先輩の名前を聞いた時、もしかしたらと思いましたよ。本当は兄さんも俺を好きでいるんじゃないかって。何度も自問自答して、でもきっと、たまたまだって……キスしたり、兄さんに卑猥なことをさせたりしたのも全部、好きだったから。だから俺は、兄さんの幸せを願いました。相良先輩と幸せになって欲しいと、心から」
「……嘘だ」
俺が言うと、貴臣は首を傾げた。
「何が嘘なんですか」
「先輩と幸せになればなんて、本当はそんなこと思ってなかったくせに。俺が欲しくてたまらなかったくせに」
恥ずかしいことを言っている。
でも俺にはよく分かる。
取り繕っているけど、本当の気持ちは違う。
「もうっ、嘘はいいから本当のことを言えよ。俺はお前が悠助くんと幸せになればそれでいいだなんて思ったことはなかったよっ。お前にずっと、好かれたいって思ってた。辛かった、ずっと……でももういいよなっ? もうここまで言っちゃったし、今更取り繕わなくてもいいよなっ?」
同意を求めるように顔を上げると、貴臣の手が後頭部に回された。
額にキスを落とされて、ひくんと体を竦ませる。
あんなに沢山エロいことをされてきたのに、それはやっぱり無駄だったみたいだ。だってこんなにも耐性がない。いつだって初めてやられているみたいに、ドキドキしてしまう。
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