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第4章 みんな幸せになればいいのに。

第77話 悲しみのエロレッスン①*

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「……ッ、はぁ……、んっ……」
「ほら、また声が出てる。もしこれが外だったらすぐに通報されてますよ。ちゃんとしてくださいよ」

 そんなことを言われても、鼻にかかった甘ったるい声を抑えることができない。
 だって貴臣の指が、俺の後孔を犯している。
 さっき爪の先だけをゆっくり入れられて、今は細くて長い指が2本、一定のリズムで抽送を繰り返している。

「ちょっときついな……下腹部にそんなに力を入れないで。まだ第二関節の手前までしか入ってないですよ」
「だって、やだ……っ」

 初めて指を入れられて。
 でもその声は冷淡で。
 心は北風が吹いて寒くて寂しいのに、体の方は真夏みたいにどんどん熱くなっていく。
 心と体がバラバラすぎて涙が滲む。

 こんな風にされたくないのに。
 いつもみたいに、俺がうまく出来なくても笑って「大丈夫ですよ」と言って、何でも受け止めてくれる貴臣になってほしいのに。
 今は──

「まだ狭い。ちゃんと練習はしておいたんですか? これだといつまでたっても入りませんよ」

 なかなか力を抜けないことに苛ついたのか、貴臣はさらにオイルを追加した後、ずず、と指を押し進めてきた。

「あっ! や……、やだっ……! おく……っ!」
「あぁ、意外と入りました。嫌じゃないでしょう、そんなに指をきゅうきゅう締め付けて。ここも、自分で見てみて下さいよ。カウパーまみれで、こんなにしちゃって」

 つんつんと、指先でペニスを突かれた。
 反り上がった先端が俺の腹にペチンとくっつく。
 先走りの蜜が竿を伝って滴り落ち、シーツに新たなシミを作った。

 枕は俺の涙と唾液でぐちゃぐちゃになっている。
 拭いたくても、手が使えない。腰も高くあげられてガッチリと支えられているせいで、まったく身動きが取れなかった。

 さっきはきつかった後孔も、貴臣がいやらしく抜き差しをしていくと、どんどん柔らかくなっていった。

「はぁ……っ……や……だぁ……」

 ぐちゅっ…と水っぽい音がする。
 今は3本飲み込んでいるらしい。
 速すぎず、ゆっくりすぎないペースで、じゅ、じゅ、と抜き差しされ、蕩けた最奥まで指が届くと、俺の下半身にビリビリがどんどん広がっていく。

「念の為、もう1度訊きますよ。秋臣とは何を話していたんですか?」

 手の動きを少し緩められたのも束の間、同じことを問われて黙り込む。
 言えない。だって、言ったところで何になる。
 
「……ふ、……っ……ぁ」
「あぁ、そうですか。やっぱり言いませんか」

 すると突然、入り口付近まで引き抜かれていた指を勢いよく奥まで入れられた。
 ぐじゅっと卑猥な音が鳴った後すぐに、俺の嬌声も部屋に響いた。

「っやぁ……!」
「だから、嫌じゃないでしょう? 手を縛られて、腰だけ掲げてうしろをかき混ぜられて、本当は興奮してるんでしょう。兄さんは淫乱ですからね」

 唇の端だけで、ふふっと笑われたけど。
 なんかすっごく、馬鹿にされたような気がする。
 そんな風に冷たく言われて、ちっとも嬉しくない。
 こんなレッスン、マジでいやだ。
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