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第2章 ほんとの気持ちと隠したい気持ち

第41話 fudezemeプレイ*

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 ロープで手の自由を奪われたら、自分で自分のものをいじれないではないか。
 そんな反論をする間もなく、筆で唇を撫でられた。口紅でも塗るみたいに下唇の上を左右に往復されると鳥肌が立って、口が半開きになってしまう。

「兄さんって、縛られるの好きですよね」
「えっ」
「お漏らしのレッスンをした時にも思ったんです。ネクタイで縛った時もそうやって赤い顔をしていましたよ」

 そんな、顔に出ていたなんて。
 確かに俺は、公言していなかったけど好きかもしれない。縛られることなんて人生で滅多にないし(というかない人の方がほとんどだろうけど)、そういう動画はいくつも見てきたせいで、いつからか自分もされてみたいと思うようになっていた。
 貴臣にやられてるっていうので興奮している節もあるんだけど。

 ふいに背中に手を回され、ゆっくりと倒された。
 仰向けになった状態になると、いよいよ息が荒くなってくる。
 耳に意識を集中させると、ベッドが軋む音と、衣ずれの音がはっきり聴こえて感じてしまった。

 性器はもう、ズボンの中でしっかり天を向いている。きついから脱がせてほしい。そんな思いが通じたのか、ネクタイを外され、俺の制服のシャツのボタンが上から外されていった。

「何脱がせてんの?」
「期待してるくせに」
「……!」
「触ってほしいんでしょう?」
「……ぁっ」

 シャツを思い切り左右に開かれて、胸元を露出された。
 二つの突起が外気に触れてスースーして、それだけでも気持ちいいのに、さらに柔らかい筆先で擦られるとたまらなくなる。

 乳輪の脇辺りをくるくると回し撫でられ、くすぐったいとかよりも完全に感じ始めていた。
 筆の動きに合わせて、面白いほどにびくんびくんと体が打ちあげられた魚みたいに跳ね上がる。

「んっ、ぅ、あ……っ」
「ここ、どんどん腫れてきてますよ。可愛い。もっとたくさん、感じてください」

 貴臣ってなんでこんなに、色っぽくて優しい声を出せるのだろう。
 勘違いしちゃうじゃないか。
 いまのこの行為は挿入前の愛撫で、俺の準備が整ったら一つになれるんじゃないかと。

 緩急をつけながら筆でこすられ、また変な声を漏らしながら考えた。
 この際もう、勘違いしよう。
 ちょうど目隠しもされている。貴臣とセックスしてるんだってことにして、この状況を楽しんでしまえばいい。

 そうと決まったら、もう羞恥とか理性とかは吹っ飛んだ。
 俺もお前も、いつかは他人のものになるんだ。だったらこの瞬間、貴臣の存在を心に刻んでおこうではないか。
 
 快感からか、それとも他の何かか分からないけど、眦に涙が溜まる。ちょうどアイマスクが雫を吸い取ってくれて助かった。
 今度は胸の尖りを重点的に責められる。
 また体を震わせていると、貴臣の低音ボイスが耳元で鳴り響いた。

「今度はうつ伏せになってください」

 言われるがまま、体を反転させてうつ伏せた。
 手を縛られているので、ひじから下で上半身を支える形になる。

 ギッとベッドが鳴り、貴臣が俺の体を跨いだ。
 まだ何にもされていないのに、貴臣の視線が背中に突き刺さっているのを想像すると、勝手に肩が跳ね上がる。体を動かすたびに、ペニスも衣類とベッドにこすれて新たな快感を生み出している。

「兄さんの背中って綺麗ですよね。シミも出来物も一切なくて、白くて弾力のある、みずみずしい肌」

 筆で撫でられるかと思っていたのに、貴臣の手によって背中から下半身に向けてなぞるようにされた。
 指の腹でつつ、と撫でられると悶絶したくなる。

 本当は大好きだよ、貴臣。って言いたくなる。
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