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第1章 二人三脚でエロレッスン

第22話 rotorプレイ*

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 なるべく不自然にならないように歩いた。
 やっぱり落ち着かない。ジンベエザメの程よい柔らかさだけが俺を安心させてくれる。

「絶対に急にスイッチ入れるなよ」
「はい、分かりました」
「あぁっ……!」

 言ったそばからリモコンのスイッチを押され、すぐに電源を落とされた。
 一瞬にして振動が体の粘膜を擦って伝わり、初めての感覚に上擦った声が出てしまった。
 たまたま近くに人がいなかったから良かったようなものの……やばい。一瞬入れられただけなのに、快感が頭のてっぺんから爪先まで駆け抜けたぞ。

「入れるなって言っただろっ」
「絶対やるなと言われたらやるに決まってるでしょう。それより声、ちゃんと我慢して下さいよ。先輩の性癖を忘れたんですか」
「わ、分かってるし」

 性癖うんぬんの前に、こんな外で喘ぐわけにはいかない。
 しかしまた、ローターが振動を始める。
 それもさっきよりも大きく。太ももまでもが勝手にブルブル震えだしてとても歩ける状況じゃないので、貴臣の腕にしがみついた。

「もう無理ぃ……っ! 抜いてっ」

 内股になりそうなのを堪え、奥歯を噛み締めながら必死でポーカーフェイスを貫く。

「そんな弱音でどうするんですか。せめてあと100メートルは頑張ってくださいよ」

 カチッとスイッチを切った貴臣を睨む。
 やっぱりジンベエザメがあって良かった。刺激で形が変わってしまったであろう足の間をうまく隠すことができる。

 抜いてくれる気配もなく、そもそもトイレがないので仕方なく歩いた。走ったわけでもないのに息が上がってくる。家までがこんなにも遠いだなんて。
 いつスイッチを入れられるか分からない恐怖でいっぱいになっていると、貴臣は急に「あぁ、なんだか喉乾いたなぁ」とコンビニを見ながら呟いたので白目を剥いた。

「行かないぞ! 絶対に俺を連れて行くなよ!」
「ですから、絶対やるなは絶対やれと同意語です」

 ふふ、と楽しそうに笑っている貴臣に強引に手を引かれ入店してしまった。

「っしゃっせー」とレジにいる店員に挨拶をされ、そいつと目が合った瞬間にまずい、と思った。

「あれー、中田兄弟じゃないすかー」

 他に客がいなくて暇そうにしていたそいつ、伊岡いおかはレジから出てきた。
 伊岡は俺の中学の頃のサッカー部の後輩で、高校は違うがこのコンビニでずっとアルバイトをしているのでたまに話す。そんなド金髪でよく面接受かったよなぁといつも思う。

「ていうか中田先輩、なんですかこれ! 超でかくないですか?」

 伊岡はジンベエザメをツンツンと突きながら笑う。
 いつもなら世間話くらいはするのだが、今は何も口から出てこない。隣の貴臣が微笑しているのが怖い。

「どっか買い物に行ってたの?」
「うん、隣町にオープンしたディスカウントストアーまで」
「あぁ、そういえばできてたねぇ。そこで買ったの? このイルカ」
「ジンベエザメだよ」

 貴臣と伊岡は同い年なのでタメ語で話すし、わりと仲が良い。見た目がちょっと似ているから気が合うのかもな。
 2人が話している隙に店から出ようとしたら、また強い力で貴臣に引っ張られた。

「兄さんも飲み物買いましょうよ」
「ぜ……絶対に……」

 スイッチを入れるなよ、と目力だけで訴える。伊岡はキョトンとしてこっちを見ているので、そそくさと立ち去ってドリンクコーナーに移動した。
 冷蔵庫からサイダーのペットボトルを取りだした時、ローターが微弱に震え出したので、取っ手を握ったまま固まってしまう。
 振り返ると、貴臣はまだ談笑していた。しかしポケットに手を突っ込んでいる。
 きっとあの中で……!

 前に向き直り、目を閉じて深呼吸をする。
 さっきとは震え方が違う。常に微弱なのだが、3秒に1度くらいの感覚で急に強くなる。そのリズムを意識すると、どんどん変な気分になってきた。
 
 正直、気持ちが良かった。
 俺は今、こんな真っ昼間から1人で感じてる。しかも、知り合いが働いている店の中で。

「はぁっ……」

 大きく息を吐いた後、より快感をひろうように、後孔をぎゅっと締めていた。
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