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第1章 二人三脚でエロレッスン
第12話 本日のレッスン
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一日中ずっと、貴臣のことを考えていた。
授業中も部活中も、他人の声は耳からこぼれ落ちていく。
おかげで顧問に名指しで注意されてしまった。
昨日、貴臣と秘密の契約を交わし、好きな先輩の性癖の1つでもあるオナニー披露をした。
貴臣の体に寄りかかり、胸を弄った方がいいとか、気持ちいいオナニーをしましょうとか言われ……
あの時確かに、貴臣の股間も硬度があった。
背中に何かが当たるような気がしたが、位置的に間違いないと今になって思う。
俺の姿を見て、貴臣もちょっとは興奮したのだろうか。
終わった後に部屋に戻って寝ようと思っても、まるで薬でもキメた人みたいに脳からアドレナリンが出ている感じで、全く寝付けなかった挙句にもう1度抜いてしまった。
しかしそれは、貴臣に披露した時の半分ちょっとくらいの気持ちよさで。
ようやく眠りにつけたのは夜中の3時頃なので少々ふらつく。
だがふらついている場合ではない。家に帰れば貴臣と顔を合わせる。そして『次は何にしますか?』と聞かれるだろう。
実はもう決めてある。
本当に恥ずかしくて恥ずかしくて死にそうだけど、これだったらなんとか出来そうなのだ。
昨日の経験を踏まえて、俺は今日、ある物を使ってのオナニーを披露する予定だ。
貴臣もきっと同調してくれるだろうと踏んでいる。
だってそれ以外は……あぁ無理無理。昨日の今日で、他のことを貴臣の前でするだなんて考えられない。
「ただいまー」
「兄さん、お帰りなさい」
学校から帰ると、貴臣はごく普通に、いつも通りに玄関まで出迎えてくれた。
ちょっと照れつつも、わざと明るい調子で振舞った。
「あぁー練習疲れたぁー」
いつもみたいに貴臣が用意してくれた烏龍茶を一気飲みし、夕飯のおかずとしてテーブルの上にあった唐揚げを1つ摘んで口に放り込んだ。
「こら、怜。行儀悪いわね」
キッチンに立つ母から叱責を受ける。
看護師をしている母は今日はおやすみらしい。
「そうですよ兄さん。まずは手を洗って着替えないと」
貴臣も子供に注意するような言い方で困ったように笑い、俺の背中を押して一緒に洗面所に入った。
手を洗っている最中、耳元で囁かれる。
「今日はどうしましょうか」
ほら、やっぱり。
俺はわざと顔を上げずに手を洗うことに集中した。今顔を上げれば、前の鏡に映る貴臣と目が合ってしまう。
こんなところで卑猥な言葉を口にして、母親に会話を絶対に聞かれていないとは言いきれない。それはまた後で……と小さく言った時、貴臣に被せられた。
「俺、もう決めてあるんですよね」
「はっ?」
思いがけなかったので、咄嗟に顔を上げた。
貴臣はやっぱり、不敵な笑みで俺を見つめていた。
「決めてあるってなに? 俺が決めるんじゃなくて?」
「それもいいなと思ったんですけど、どうせ全てのことをクリアする予定なんですから、こちらで決めたとしても同じかなと思いまして」
「ちょっと待て」
なんだ急に、その理屈は。
たしかにそれはそうだけれど、順序ってものがあるだろう。
足し算や引き算が出来ないと、掛け算や割り算は出来ないんだぞ!
そんな風に色々と文句を言ったのだが、貴臣は「大丈夫ですよ」の一点張りだった。
ぐぬぬ、と唸って訊いてみる。
「ちなみに、しようとしてることって何?」
貴臣はまた少し背中を曲げて、ますます俺の耳に唇を近づけた。
「この後、トイレに行くのは禁止ですよ」
授業中も部活中も、他人の声は耳からこぼれ落ちていく。
おかげで顧問に名指しで注意されてしまった。
昨日、貴臣と秘密の契約を交わし、好きな先輩の性癖の1つでもあるオナニー披露をした。
貴臣の体に寄りかかり、胸を弄った方がいいとか、気持ちいいオナニーをしましょうとか言われ……
あの時確かに、貴臣の股間も硬度があった。
背中に何かが当たるような気がしたが、位置的に間違いないと今になって思う。
俺の姿を見て、貴臣もちょっとは興奮したのだろうか。
終わった後に部屋に戻って寝ようと思っても、まるで薬でもキメた人みたいに脳からアドレナリンが出ている感じで、全く寝付けなかった挙句にもう1度抜いてしまった。
しかしそれは、貴臣に披露した時の半分ちょっとくらいの気持ちよさで。
ようやく眠りにつけたのは夜中の3時頃なので少々ふらつく。
だがふらついている場合ではない。家に帰れば貴臣と顔を合わせる。そして『次は何にしますか?』と聞かれるだろう。
実はもう決めてある。
本当に恥ずかしくて恥ずかしくて死にそうだけど、これだったらなんとか出来そうなのだ。
昨日の経験を踏まえて、俺は今日、ある物を使ってのオナニーを披露する予定だ。
貴臣もきっと同調してくれるだろうと踏んでいる。
だってそれ以外は……あぁ無理無理。昨日の今日で、他のことを貴臣の前でするだなんて考えられない。
「ただいまー」
「兄さん、お帰りなさい」
学校から帰ると、貴臣はごく普通に、いつも通りに玄関まで出迎えてくれた。
ちょっと照れつつも、わざと明るい調子で振舞った。
「あぁー練習疲れたぁー」
いつもみたいに貴臣が用意してくれた烏龍茶を一気飲みし、夕飯のおかずとしてテーブルの上にあった唐揚げを1つ摘んで口に放り込んだ。
「こら、怜。行儀悪いわね」
キッチンに立つ母から叱責を受ける。
看護師をしている母は今日はおやすみらしい。
「そうですよ兄さん。まずは手を洗って着替えないと」
貴臣も子供に注意するような言い方で困ったように笑い、俺の背中を押して一緒に洗面所に入った。
手を洗っている最中、耳元で囁かれる。
「今日はどうしましょうか」
ほら、やっぱり。
俺はわざと顔を上げずに手を洗うことに集中した。今顔を上げれば、前の鏡に映る貴臣と目が合ってしまう。
こんなところで卑猥な言葉を口にして、母親に会話を絶対に聞かれていないとは言いきれない。それはまた後で……と小さく言った時、貴臣に被せられた。
「俺、もう決めてあるんですよね」
「はっ?」
思いがけなかったので、咄嗟に顔を上げた。
貴臣はやっぱり、不敵な笑みで俺を見つめていた。
「決めてあるってなに? 俺が決めるんじゃなくて?」
「それもいいなと思ったんですけど、どうせ全てのことをクリアする予定なんですから、こちらで決めたとしても同じかなと思いまして」
「ちょっと待て」
なんだ急に、その理屈は。
たしかにそれはそうだけれど、順序ってものがあるだろう。
足し算や引き算が出来ないと、掛け算や割り算は出来ないんだぞ!
そんな風に色々と文句を言ったのだが、貴臣は「大丈夫ですよ」の一点張りだった。
ぐぬぬ、と唸って訊いてみる。
「ちなみに、しようとしてることって何?」
貴臣はまた少し背中を曲げて、ますます俺の耳に唇を近づけた。
「この後、トイレに行くのは禁止ですよ」
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