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第376話
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* * *
「修介。修介、起きて」
身体をユサユサと強く揺さぶられ、目を開けた。
「帰るよ。立てる?」
「あ、うん……」
寝ぼけながら上半身を起こす。
ここは、何処だっけ?
ああ、みんなと飲んでて、ここで寝ちゃったのか。
まだ頭がフラフラとして風景が回る。でも、とってもいい気持ちだ。
周りを見ると、みんな帰り仕度をしていた。
酔い潰れた人を無理やり起こしたりしている。
俺は薄目で景を見つめた。
「……これから、何処行くん?」
「僕の家だよ。しっかりして」
「泊まり?」
「当たり前でしょ。もう、修介が焦らすから我慢出来ないよ。早く家行こう?」
景が俺と視線を合わせて、笑ってくれた。
それが嬉しくて、俺は目を閉じて景の方に唇を突き出した。
「バカ。そんな可愛い事してると、ここで襲っちゃうよ?」
「だめなんー?」
「……覚悟しておいてよね、寝かさないから」
小声でボソリと呟かれ、ほら立って、と腕を引っ張られる。
俺はキスが欲しかったけれど、後でのお楽しみに取っておこうと思った。
「ちょっとトイレ行ってくるー」
「僕もついていくよ。フラフラじゃん」
「へーきへーき。景は外で待っとーてー」
「大丈夫? 転ばないでよね? じゃあ僕、外で煙草吸って待ってるからね」
そう言って景は店の出口へ向かった。
俺はフワフワする頭をフル回転させて、店の奥にある手洗い場のドアを開ける。
するとそこには、俺以上にベロベロに酔っているタケさんがいた。
タケさんは俺の顔を見るなり、すかさず肩に手を回して絡んでくる。
「あ、修介じゃん。これから詩音の家行こうよー。景ちゃんのデビュー当時の映像観たくなーい?」
「えっ! 景の? 観たい!」
「お蔵入りされてる、プレミアつくぐらいのレアな映像らしいぜ。あいつ景ちゃん馬鹿だから、そういうのいっぱい持ってるらしくて。詩音の家にあるから行こうぜ、これから!」
「これから~……何処行くん?」
あれ、なんだっけ?
この台詞、さっきも言ったような気がする。
それでその後、もの凄く嬉しくなったような。
「だーかーらー、詩音の家だよーん」
ユサユサと揺さぶられると、より一層酔いが回って気持ちよくなってくる。
そっか。さっき、景のデビュー当時の映像が観られると思って、嬉しくなったんだっけ。
「行きますっ! 行きますっ! 景、観たい!」
「オッケ。じゃあ行こ~!」
俺はタケさんに手を引かれ、店を出た。
そこには詩音くん、桜理さん、それに他に三人程が談笑していた。
皆顔が赤く、上機嫌で会話している。
「じゃあ、行くかー!」
桜理さんが張り切ってオーと片手をあげる。
誰かが呼んだであろうタクシーに、俺たちはそれぞれ乗り込んだ。
「修介。修介、起きて」
身体をユサユサと強く揺さぶられ、目を開けた。
「帰るよ。立てる?」
「あ、うん……」
寝ぼけながら上半身を起こす。
ここは、何処だっけ?
ああ、みんなと飲んでて、ここで寝ちゃったのか。
まだ頭がフラフラとして風景が回る。でも、とってもいい気持ちだ。
周りを見ると、みんな帰り仕度をしていた。
酔い潰れた人を無理やり起こしたりしている。
俺は薄目で景を見つめた。
「……これから、何処行くん?」
「僕の家だよ。しっかりして」
「泊まり?」
「当たり前でしょ。もう、修介が焦らすから我慢出来ないよ。早く家行こう?」
景が俺と視線を合わせて、笑ってくれた。
それが嬉しくて、俺は目を閉じて景の方に唇を突き出した。
「バカ。そんな可愛い事してると、ここで襲っちゃうよ?」
「だめなんー?」
「……覚悟しておいてよね、寝かさないから」
小声でボソリと呟かれ、ほら立って、と腕を引っ張られる。
俺はキスが欲しかったけれど、後でのお楽しみに取っておこうと思った。
「ちょっとトイレ行ってくるー」
「僕もついていくよ。フラフラじゃん」
「へーきへーき。景は外で待っとーてー」
「大丈夫? 転ばないでよね? じゃあ僕、外で煙草吸って待ってるからね」
そう言って景は店の出口へ向かった。
俺はフワフワする頭をフル回転させて、店の奥にある手洗い場のドアを開ける。
するとそこには、俺以上にベロベロに酔っているタケさんがいた。
タケさんは俺の顔を見るなり、すかさず肩に手を回して絡んでくる。
「あ、修介じゃん。これから詩音の家行こうよー。景ちゃんのデビュー当時の映像観たくなーい?」
「えっ! 景の? 観たい!」
「お蔵入りされてる、プレミアつくぐらいのレアな映像らしいぜ。あいつ景ちゃん馬鹿だから、そういうのいっぱい持ってるらしくて。詩音の家にあるから行こうぜ、これから!」
「これから~……何処行くん?」
あれ、なんだっけ?
この台詞、さっきも言ったような気がする。
それでその後、もの凄く嬉しくなったような。
「だーかーらー、詩音の家だよーん」
ユサユサと揺さぶられると、より一層酔いが回って気持ちよくなってくる。
そっか。さっき、景のデビュー当時の映像が観られると思って、嬉しくなったんだっけ。
「行きますっ! 行きますっ! 景、観たい!」
「オッケ。じゃあ行こ~!」
俺はタケさんに手を引かれ、店を出た。
そこには詩音くん、桜理さん、それに他に三人程が談笑していた。
皆顔が赤く、上機嫌で会話している。
「じゃあ、行くかー!」
桜理さんが張り切ってオーと片手をあげる。
誰かが呼んだであろうタクシーに、俺たちはそれぞれ乗り込んだ。
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