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第347話
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景は、この人──詩音くんと仲良くしてると言っていたけど……
なんで景じゃなくて、この人が出てくるの?
あまりにも不意打ち過ぎて、詩音くんの顔をまじまじと眺めてしまった。
詩音くんも特に何も言わずにいるから、どうしたらいいのか分からない。
詩音くんの後ろを覗きこんで部屋の中を見ようとするけど、リビングへ続くドアは閉められていたから、景が中にいるのかどうかは分からなかった。
詩音くんは、俺が何を考えているのか分かったようで、フッと小さく笑った。
「藤澤さん、今寝てますよ?」
「……え? 寝てる?」
「はい。なんだか最近寝れてなくて、体調万全じゃ無かったみたいだったので。無理言って、寝てもらいました」
「え、あ、そうなん、ですか」
体調が良くないの?
それもとても心配だけど。
さっき、電話に出てくれたのに、寝ちゃったってどういう事だろうか?
待ってるって言ったのに。
中に入って景の元へ行きたかったけど、詩音くんは入れてくれるわけでもなく、そこから動こうとしないから、どう言えばいいのか分からなかった。
すると詩音くんは、急に俺を値踏みするかのようにジロっと全身を見渡した。
「北村 修介さん、ですよね?」
「え?」
なんで俺の名前、と思ったけれど、詩音くんは俺が景の恋人だって事を知っているんだ。
なら話は早い。俺はニコリとして詩音くんに言った。
「あ、はい。そうです。あの、中に入ってもいいですか?」
「え、どうしてですか? だって藤澤さん寝てますよ?」
詩音くんはクスっと笑いながら俺を見下してくる。
その顔には片えくぼができて、景そっくりだったからドキッとしたけど、その少し威圧的な態度と言葉に、目を見開いて固まってしまった。
どうしてって……だって俺は、景の恋人で、景の傍に行ってもおかしくないはずで。
心配だから、顔だけでも見られたら安心なんだけど……
そう言えればいいのに、口からは何も出てこない。
なぜか緊張して、冷や汗が出てきた。
詩音くんも、俺と景がどういう関係なのか知ってるんだったら入れてくれてもいいのに。
予想外の反応で、何て言えばいいのか戸惑ってしまう。
なんで景じゃなくて、この人が出てくるの?
あまりにも不意打ち過ぎて、詩音くんの顔をまじまじと眺めてしまった。
詩音くんも特に何も言わずにいるから、どうしたらいいのか分からない。
詩音くんの後ろを覗きこんで部屋の中を見ようとするけど、リビングへ続くドアは閉められていたから、景が中にいるのかどうかは分からなかった。
詩音くんは、俺が何を考えているのか分かったようで、フッと小さく笑った。
「藤澤さん、今寝てますよ?」
「……え? 寝てる?」
「はい。なんだか最近寝れてなくて、体調万全じゃ無かったみたいだったので。無理言って、寝てもらいました」
「え、あ、そうなん、ですか」
体調が良くないの?
それもとても心配だけど。
さっき、電話に出てくれたのに、寝ちゃったってどういう事だろうか?
待ってるって言ったのに。
中に入って景の元へ行きたかったけど、詩音くんは入れてくれるわけでもなく、そこから動こうとしないから、どう言えばいいのか分からなかった。
すると詩音くんは、急に俺を値踏みするかのようにジロっと全身を見渡した。
「北村 修介さん、ですよね?」
「え?」
なんで俺の名前、と思ったけれど、詩音くんは俺が景の恋人だって事を知っているんだ。
なら話は早い。俺はニコリとして詩音くんに言った。
「あ、はい。そうです。あの、中に入ってもいいですか?」
「え、どうしてですか? だって藤澤さん寝てますよ?」
詩音くんはクスっと笑いながら俺を見下してくる。
その顔には片えくぼができて、景そっくりだったからドキッとしたけど、その少し威圧的な態度と言葉に、目を見開いて固まってしまった。
どうしてって……だって俺は、景の恋人で、景の傍に行ってもおかしくないはずで。
心配だから、顔だけでも見られたら安心なんだけど……
そう言えればいいのに、口からは何も出てこない。
なぜか緊張して、冷や汗が出てきた。
詩音くんも、俺と景がどういう関係なのか知ってるんだったら入れてくれてもいいのに。
予想外の反応で、何て言えばいいのか戸惑ってしまう。
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