314 / 454
第313話 side景
しおりを挟む
ぱたん、とドアが閉まったのを確認して、溜息を吐いた。
修介からの贈り物を凝視して、指先で表面をなぞる。
黒のレザー。このブランド。
ポケットからライターを取り出す。
詩音からプレゼントされたこれと全く一緒だ。こんな事ってあるか?
違った物だったらリアクションに困らなかった。
素直に喜べたはずなのに。
詩音からもらったライターは、すでに僕の手のひらに馴染んで来て、レザーの匂いや堅さもだいぶ変わってきている。
正直に言おうか。後輩から全く一緒の物をプレゼントされて、今使っているんだって。
修介はそれを聞いたらどう思うだろう。
僕の為に選んでくれたのに、きっと落ち込んでしまうんじゃないか?
詩音には悪いけど、これは家用にして、持ち歩くのは修介から貰ったこっちにしようか……
そんなことをぐるぐると考えていた矢先、テーブルの上に置かれていた修介のスマホの画面が光って、振動を始めた。
何気なくふと見ると、知らない女の子の名前だったからドキッとした。
(高宮、莉奈)
大学の友達だろうか。
その文字を見つめてからドアに視線を送り、電話が来ている事を伝えた方がいいか迷った。
随分と、長い着信だ。まだ鳴り止まない。
修介に何の用事だろうか。
仲良くしてる女の子がいるなんて、修介の口から聞いた事は無い。
誰なんだろう、この子。
修介がリビングのドアを開けたタイミングでようやく静かになった。
テーブルの上にプレゼントされた箱を置き、スマホに視線を送って合図した。
「鳴ってたみたいだよ、電話」
「え?」
ペタペタとスリッパの底を鳴らしてスマホを手に取って確認している。
僕は修介に視線を送った。どんな表情をしているのか、確認するかのように。
……何故こんな事している? 自分の行動に恥ずかしくなって、僕はわざと視線を逸らした。
修介からの贈り物を凝視して、指先で表面をなぞる。
黒のレザー。このブランド。
ポケットからライターを取り出す。
詩音からプレゼントされたこれと全く一緒だ。こんな事ってあるか?
違った物だったらリアクションに困らなかった。
素直に喜べたはずなのに。
詩音からもらったライターは、すでに僕の手のひらに馴染んで来て、レザーの匂いや堅さもだいぶ変わってきている。
正直に言おうか。後輩から全く一緒の物をプレゼントされて、今使っているんだって。
修介はそれを聞いたらどう思うだろう。
僕の為に選んでくれたのに、きっと落ち込んでしまうんじゃないか?
詩音には悪いけど、これは家用にして、持ち歩くのは修介から貰ったこっちにしようか……
そんなことをぐるぐると考えていた矢先、テーブルの上に置かれていた修介のスマホの画面が光って、振動を始めた。
何気なくふと見ると、知らない女の子の名前だったからドキッとした。
(高宮、莉奈)
大学の友達だろうか。
その文字を見つめてからドアに視線を送り、電話が来ている事を伝えた方がいいか迷った。
随分と、長い着信だ。まだ鳴り止まない。
修介に何の用事だろうか。
仲良くしてる女の子がいるなんて、修介の口から聞いた事は無い。
誰なんだろう、この子。
修介がリビングのドアを開けたタイミングでようやく静かになった。
テーブルの上にプレゼントされた箱を置き、スマホに視線を送って合図した。
「鳴ってたみたいだよ、電話」
「え?」
ペタペタとスリッパの底を鳴らしてスマホを手に取って確認している。
僕は修介に視線を送った。どんな表情をしているのか、確認するかのように。
……何故こんな事している? 自分の行動に恥ずかしくなって、僕はわざと視線を逸らした。
0
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる