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第246話 side朝井
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藤澤からの着信に、こいつはなんだか焦っているようだ。
そして画面を凝視したまま、電話に出ようとはしない。
俺の脅しが怖いのだろうか?
こいつ、一緒に過ごしてみて分かったけど、相当子供だな。
頭が切れる藤澤とは真逆のタイプだ。
藤澤はこんな奴のどこがいいんだか。
焦るこいつに、俺は意地悪く言ってやった。
「お前、藤澤に言った?」
「えっ! 言ってません! たまたまですよ!」
「ふーん。じゃ、ちょっと貸して」
「あっ……」
スマホを取り上げると、修介くんは不安気な顔をさせた。
長い事震えが止まらなかったけど、しばらくしてから静かになったから、そのまま電源を落として、修介くんの膝の上に投げた。
邪魔されたくないからね。藤澤が自分から告っちゃうくらい大好きな人との甘ーい時間をね。
「あのっ」
「何?」
「指輪、返してもらってもいいですか? もうデートはしましたから」
「あぁ?」
何言っちゃってんのこいつ。これからが本番だっていうのに。
「はは。まさか、これで終わりじゃねぇよ。腹減っただろ? なんか食いに行こうぜ? そしたら本当にデート終了。そこまで付き合ってくれたら、指輪返してやるよ」
「……本当ですよね?」
こいつは電源が切れたスマホを手でぎゅっと握りしめながら瞳を揺らした。
あ、なんかたまらない。
そういう顔、もっと見せてほしいなぁ。
そう思っていた時だった。
今度は俺のスマホの着信音が車内に響き渡った。
なんとなく嫌な予感がする。
タイミングが合いすぎだろ。こいつの電話のすぐ後に俺のところにも着信があるなんて。
「悪ぃ。仕事の連絡だ。ちょっと電話してくるわ」
「あ、はい」
外に出て、車から離れた。
柱に寄りかかって、ポケットからスマホを取り出す。
見れば、知らない11ケタの番号。
でも分かる。相手が誰なのかって事ぐらい。
これから何を話そう。面白くなってきちゃったなぁ。そう思いながらボタンを押して、「もっしもーし」とふざけた調子で出たのにも関わらず、相手は大真面目な低い声を発した。
『藤澤です』
そして画面を凝視したまま、電話に出ようとはしない。
俺の脅しが怖いのだろうか?
こいつ、一緒に過ごしてみて分かったけど、相当子供だな。
頭が切れる藤澤とは真逆のタイプだ。
藤澤はこんな奴のどこがいいんだか。
焦るこいつに、俺は意地悪く言ってやった。
「お前、藤澤に言った?」
「えっ! 言ってません! たまたまですよ!」
「ふーん。じゃ、ちょっと貸して」
「あっ……」
スマホを取り上げると、修介くんは不安気な顔をさせた。
長い事震えが止まらなかったけど、しばらくしてから静かになったから、そのまま電源を落として、修介くんの膝の上に投げた。
邪魔されたくないからね。藤澤が自分から告っちゃうくらい大好きな人との甘ーい時間をね。
「あのっ」
「何?」
「指輪、返してもらってもいいですか? もうデートはしましたから」
「あぁ?」
何言っちゃってんのこいつ。これからが本番だっていうのに。
「はは。まさか、これで終わりじゃねぇよ。腹減っただろ? なんか食いに行こうぜ? そしたら本当にデート終了。そこまで付き合ってくれたら、指輪返してやるよ」
「……本当ですよね?」
こいつは電源が切れたスマホを手でぎゅっと握りしめながら瞳を揺らした。
あ、なんかたまらない。
そういう顔、もっと見せてほしいなぁ。
そう思っていた時だった。
今度は俺のスマホの着信音が車内に響き渡った。
なんとなく嫌な予感がする。
タイミングが合いすぎだろ。こいつの電話のすぐ後に俺のところにも着信があるなんて。
「悪ぃ。仕事の連絡だ。ちょっと電話してくるわ」
「あ、はい」
外に出て、車から離れた。
柱に寄りかかって、ポケットからスマホを取り出す。
見れば、知らない11ケタの番号。
でも分かる。相手が誰なのかって事ぐらい。
これから何を話そう。面白くなってきちゃったなぁ。そう思いながらボタンを押して、「もっしもーし」とふざけた調子で出たのにも関わらず、相手は大真面目な低い声を発した。
『藤澤です』
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