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第234話
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「あっ、修介。やっと帰ってきた。大丈夫かよ?」
戻って来た俺にタケさんが声を掛けてくれる。
景と桜理さんも席に座っていた。
フラフラと景の横に腰を下ろして、手を見られないように膝の上でグッと拳を作った。
「大丈夫? 遅いから様子見に行こうかなと思ってたんだ。なんだかいつも以上に顔白いような気がするけど、具合悪いの?」
「あぁ、うん、大丈夫」
「本当かよ? 酔ってんじゃねぇ? 修介って酒弱いの?」
桜理さんは身を乗り出して俯く俺の顔を覗き込む。
「いや、強い方だし、これくらいの量じゃ酔わないはずだけど……気持ち悪い?」
何も発さない俺に変わって景が代弁してくれた。
酔ってはいないけど、まるで酔ってるみたいに頭がぐるぐるとしていた。
どうしようか相談したくても、できない。
もし言ったら景と俺の事、バラされてしまう。
胸が不安で一杯になって、一刻も早くここから出たかった。
「あ、景、ごめん。なんか人に酔ったみたいやから、もう帰ろうかな」
「うん。大丈夫? 僕の家に行こうか」
「いやっ、ええよ! 俺ん家でゆっくり休みたいし、明日も朝から大学で用事あるから」
「そっか。分かった。じゃあとりあえず外に出よう」
「うん」
景に腕を取られて立ち上がり、タケさんと桜理さんに挨拶をしてから出口へ向かった。
その途中、ふと視線を感じたから顔を上げると、遠くからこちらをじっと見て微笑する朝井さんと目が合ってしまい、ゾクッとして、慌てて視線を逸らした。
景は朝井さんの視線には気付かなかったようだった。
店を出て、エレベーターに乗りこむ。
「ごめんね、修介の事、ちゃんと見ておけば良かった。途中で席立っちゃって……」
その時、景の手が俺の右手を掴んだ。
一瞬ビクッと体を反応させた俺を見逃さなかったようで、景は俺の顔をじっと凝視してから、指を絡ませてきた。
「どうしたの? ……あれ、修介、今日指輪してなかったっけ?」
き、気付いたーーーー‼︎
どうしよ……俺。落ち着け、俺。
「あっ、ううん、今日してきてへんよ? 緊張して、するの忘れてしもうて」
「あ、そうだったっけ。僕の勘違いか」
いつもだったらもっと突っ込んでくるのに、今日はあっさり引いてくれたからホッとした。
そういえば景、少し鼻声で頬が赤い。
きっとアルコールが回ってるんだろう。
「ごめん、修介の家まで送ってあげたいんだけど」
「ええんよ! ホンマに大丈夫やから! じゃあ、また連絡するから!」
「えっ、修介?」
俺はエレベーターのドアが開いた瞬間、勢いよく外に飛び出して走った。
帰宅してからスマホを見ると、景から電話が何回か掛かってきていた。
でも、折り返しの電話は出来なかった。
あの声を聞いてしまうと、全て白状してしまいたくなる。
それは絶対にダメだ。
俺は『大丈夫。今日はもう寝るね。おやすみ』とだけメッセージを送った。
景は『おやすみ』と返信してくれて、その後の電話はピタリとやんだからホッとして、布団を頭からすっぽり被った。
とにかく、明日。
明日、朝井さんに電話をして、大事な指輪をちゃんと返してもらわないと。
戻って来た俺にタケさんが声を掛けてくれる。
景と桜理さんも席に座っていた。
フラフラと景の横に腰を下ろして、手を見られないように膝の上でグッと拳を作った。
「大丈夫? 遅いから様子見に行こうかなと思ってたんだ。なんだかいつも以上に顔白いような気がするけど、具合悪いの?」
「あぁ、うん、大丈夫」
「本当かよ? 酔ってんじゃねぇ? 修介って酒弱いの?」
桜理さんは身を乗り出して俯く俺の顔を覗き込む。
「いや、強い方だし、これくらいの量じゃ酔わないはずだけど……気持ち悪い?」
何も発さない俺に変わって景が代弁してくれた。
酔ってはいないけど、まるで酔ってるみたいに頭がぐるぐるとしていた。
どうしようか相談したくても、できない。
もし言ったら景と俺の事、バラされてしまう。
胸が不安で一杯になって、一刻も早くここから出たかった。
「あ、景、ごめん。なんか人に酔ったみたいやから、もう帰ろうかな」
「うん。大丈夫? 僕の家に行こうか」
「いやっ、ええよ! 俺ん家でゆっくり休みたいし、明日も朝から大学で用事あるから」
「そっか。分かった。じゃあとりあえず外に出よう」
「うん」
景に腕を取られて立ち上がり、タケさんと桜理さんに挨拶をしてから出口へ向かった。
その途中、ふと視線を感じたから顔を上げると、遠くからこちらをじっと見て微笑する朝井さんと目が合ってしまい、ゾクッとして、慌てて視線を逸らした。
景は朝井さんの視線には気付かなかったようだった。
店を出て、エレベーターに乗りこむ。
「ごめんね、修介の事、ちゃんと見ておけば良かった。途中で席立っちゃって……」
その時、景の手が俺の右手を掴んだ。
一瞬ビクッと体を反応させた俺を見逃さなかったようで、景は俺の顔をじっと凝視してから、指を絡ませてきた。
「どうしたの? ……あれ、修介、今日指輪してなかったっけ?」
き、気付いたーーーー‼︎
どうしよ……俺。落ち着け、俺。
「あっ、ううん、今日してきてへんよ? 緊張して、するの忘れてしもうて」
「あ、そうだったっけ。僕の勘違いか」
いつもだったらもっと突っ込んでくるのに、今日はあっさり引いてくれたからホッとした。
そういえば景、少し鼻声で頬が赤い。
きっとアルコールが回ってるんだろう。
「ごめん、修介の家まで送ってあげたいんだけど」
「ええんよ! ホンマに大丈夫やから! じゃあ、また連絡するから!」
「えっ、修介?」
俺はエレベーターのドアが開いた瞬間、勢いよく外に飛び出して走った。
帰宅してからスマホを見ると、景から電話が何回か掛かってきていた。
でも、折り返しの電話は出来なかった。
あの声を聞いてしまうと、全て白状してしまいたくなる。
それは絶対にダメだ。
俺は『大丈夫。今日はもう寝るね。おやすみ』とだけメッセージを送った。
景は『おやすみ』と返信してくれて、その後の電話はピタリとやんだからホッとして、布団を頭からすっぽり被った。
とにかく、明日。
明日、朝井さんに電話をして、大事な指輪をちゃんと返してもらわないと。
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