171 / 454
第171話*
しおりを挟む
「脱がしてもいい?」
「……うん」
景は、俺の着ているシャツのボタンを一つずつゆっくりと外していく。
俺はその光景を、顔から火が出るような思いで凝視する。
景の細くて長い指の動きも、布のこすれる音も、すごくいやらしくて。
ほんとに、最後まで持つんだろうか、俺の心臓。
景は緊張を和らげようとしてくれているのか、優しく話しかけた。
「これ、イギリスのブランドのシャツだね。僕も好きで何枚か持ってる。修介がこういう色着てるの、珍しいよね? なんだか新鮮」
「あ、ホンマ? これ、古着屋で瞬くんが選んでくれたんよー。ちょっと高かったんやけど、いろんな人が似合うって言うてくれて」
「……へぇ……」
景の表情が冷たくなって目が細まったから、ここでようやくハッと気付いて、ヘラヘラしていた顔を引き締めた。
ヤバイ!
何故俺はよりにもよってこんな日に元カレが選んだシャツなんか着て来てしまったのか。
気に入っているからついいつもの調子で無意識に袖を通してしまった。
「あっ! すいません! もう着ません! ていうかフリマで売ります!」
「別に、いいけどさ……」
景はしぶしぶと言った様子で止めていた指先を再度動かしてボタンを外していった。
五個目のボタンを外し終えて、シャツを左右に開かれる。
中にインナー用のTシャツも着ているから、それも脱がせようと俺の腰の下に手を回して身体を浮かせて、上へと捲し上げていき、徐々に肌を露わにさせていく。
俺は羞恥で爆発しそうなのを誤魔化す為にわざとふざけた調子で言った。
「エ、エッロ……」
「こんなので恥ずかしがってちゃ、この先もたないよ」
こちらの気持ちはお見通しという風に言われて、気がつけばTシャツが首元まで捲られて、上半身を見下ろされていた。
「うーん。思ってたよりも随分細いね。でも、綺麗だよ」
俺の胸の中心にはポツンとホクロがある。
それを指先で軽く押されて、脇腹とおへその中間のあたりでこしょこしょと動かされたから、くすぐったくて。
「景っ、くすぐったいっ!」
「あ、ごめん」
クスクスと笑い合ったのも束の間、景の右手の指が俺の胸の方まで伸びてきて、指先で軽く一点を触った。
「……うん」
景は、俺の着ているシャツのボタンを一つずつゆっくりと外していく。
俺はその光景を、顔から火が出るような思いで凝視する。
景の細くて長い指の動きも、布のこすれる音も、すごくいやらしくて。
ほんとに、最後まで持つんだろうか、俺の心臓。
景は緊張を和らげようとしてくれているのか、優しく話しかけた。
「これ、イギリスのブランドのシャツだね。僕も好きで何枚か持ってる。修介がこういう色着てるの、珍しいよね? なんだか新鮮」
「あ、ホンマ? これ、古着屋で瞬くんが選んでくれたんよー。ちょっと高かったんやけど、いろんな人が似合うって言うてくれて」
「……へぇ……」
景の表情が冷たくなって目が細まったから、ここでようやくハッと気付いて、ヘラヘラしていた顔を引き締めた。
ヤバイ!
何故俺はよりにもよってこんな日に元カレが選んだシャツなんか着て来てしまったのか。
気に入っているからついいつもの調子で無意識に袖を通してしまった。
「あっ! すいません! もう着ません! ていうかフリマで売ります!」
「別に、いいけどさ……」
景はしぶしぶと言った様子で止めていた指先を再度動かしてボタンを外していった。
五個目のボタンを外し終えて、シャツを左右に開かれる。
中にインナー用のTシャツも着ているから、それも脱がせようと俺の腰の下に手を回して身体を浮かせて、上へと捲し上げていき、徐々に肌を露わにさせていく。
俺は羞恥で爆発しそうなのを誤魔化す為にわざとふざけた調子で言った。
「エ、エッロ……」
「こんなので恥ずかしがってちゃ、この先もたないよ」
こちらの気持ちはお見通しという風に言われて、気がつけばTシャツが首元まで捲られて、上半身を見下ろされていた。
「うーん。思ってたよりも随分細いね。でも、綺麗だよ」
俺の胸の中心にはポツンとホクロがある。
それを指先で軽く押されて、脇腹とおへその中間のあたりでこしょこしょと動かされたから、くすぐったくて。
「景っ、くすぐったいっ!」
「あ、ごめん」
クスクスと笑い合ったのも束の間、景の右手の指が俺の胸の方まで伸びてきて、指先で軽く一点を触った。
0
お気に入りに追加
221
あなたにおすすめの小説

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる