リプレイ!

こすもす

文字の大きさ
上 下
95 / 454

第95話

しおりを挟む
「あっ、えっとー、うん、まぁそんな事もあったかなぁ~……? でもほら、大昔の事やしっ!」
「修介は男が好きなんだ?」
「えっ……」

 相変わらず景は不機嫌そうだ。
 なんで? なんでそんなに怒ってるの?
 確かに隠していた事は申し訳無いけど……。

「そ、それはっ」
「翔平や大学の友達は、その事知ってるの?」

 真っ直ぐに見据える景の冷たい視線に耐えられなくて、俺は咄嗟に視線を外して俯いた。

「あ……うん……」

 瞬くんからどこまで聞いたのかは分からないけど、鋭いこの人に嘘はつき通せないと腹を括って頷いた。
 すると景は大袈裟にため息を吐く。

「翔平や大学の友達には言えて、僕には言えないの?」

 あぁ、それで怒っているのか。
 自分だけが知らなかったのが許せないのか。

「ごめん、言おうと思っとったけど、なんかタイミング無くて」
「僕の事信頼してるって言ってくれた事、あれ嘘なんだ?」
「え? いや、そんな事は」
「僕、修介に好きなタイプとか訊いたことあったよね。話合わせてたって事? 僕にずっと嘘を吐いてたって事だよね?」

 好きだから、どう思われるか怖いから景だけには言えなかったのに。
 次から次へと責められる事に戸惑い、つい喧嘩腰になってしまう。

「しょうがないやろ? そんなん簡単に人にペラペラ言えるような事やないんよっ」
「じゃあ翔平には言えてどうして僕には言えないの?」
「だっ、だからそれはっ……」

 俺は言葉に詰まって奥歯をぐっと噛み締めた。
 好きだからだなんて言えるわけない。

「……もうええやろ? 結局分かった事なんやから。友達やからって何でもかんでも話せる訳やないんやし。そんなん直接訊く為にわざわざ東京から来たんか?」

 俺は不貞腐れてそう言うと、景は片眉をピクッと反応させた。

「……君は何にも分かってないね」
「……え?」
「大学で心理学を学んでるわりには、人の気持ちが全く分かってないよ」
「なっ……」
「僕はね、君が女が好きだろうが男が好きだろうが、そんな事はどうでもいいんだよ。問題は別にある」

 ──次の瞬間、景は俺の左手首を掴んで引っ張り、自分の胸の中に体を引き寄せた。
 一瞬だけ俺の頬が景の胸をかすめたけどすぐに離れて、そのまま体を反転された後、車体に押し付けられた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

催眠アプリ(???)

あずき
BL
俺の性癖を詰め込んだバカみたいな小説です() 暖かい目で見てね☆(((殴殴殴

処理中です...