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第93話 side景
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部屋の窓際に移動して、空気を入れ替えようと窓を開けて、そのままベランダに出た。
ひんやりと冷たい風が頬を掠めると少しだけ気分は落ち着いたけれど、まだ完全には胸のムカムカは取れなかった。
街のネオンを見下ろしながら、スマホを操作して耳に当てる。
何回かの呼び出し音が鳴った後、相手は陽気な声で電話に出た。
『は~い、もっしー? 景久しぶりじゃん! どしたーん?』
僕は先程と同じように眉根を寄せてスマホを耳から遠ざける。
声色は違えどテンションの高さはさっきの奴とまるで一緒だ。
「もしもし。翔平、今大丈夫?」
『おー、大丈夫大丈夫! 今バイト終わって着替えてまったりしてたとこ。珍しいじゃん、電話してくんの』
「ちょっと訊きたい事があって」
『うん何ー? さとみちゃんの事ー?』
「修介って男が好きなの?」
『ブハッ!』
僕は翔平のボケなんて無視して直球で訊いてみた。
電話口の向こうで何やら咳き込む苦しそうな声が聞こえる。
悟った。どうやら本当のようだ。
『てめー、コーラ噴き出しちまったじゃねーかよ! 何だよいきなり!』
「翔平、やっぱりその事知ってたんだ?」
『……は、はぁ? 何それ? 知らねーけど! つか誰から聞いたんだよそんな事!』
声のトーンが微妙に高くなったから、こいつはきっと知っている。
昔から嘘をつくのは幼稚園児並みに下手だった。
「いま修介の家に泊まりに来てる重村っていう人だよ。高校の同級生で、修介と付き合ってたって言うんだけど、本当?」
『……俺は何も知らね~よ。なんで俺に訊いてくんだよ。修介に直接訊けばいいだろ?』
「もし知ってるんだったら正直に言わないと、さとみちゃんと付き合う前にお前がオッパブにはまって三回通ったっていう事、さとみちゃんにバラすからね」
『はっ!? てめー、消したい過去を!! ……って、そんな脅し文句は通用しねーぜ。さとみちゃんの連絡先なんて知らねーくせに』
「国道沿いのマックの向かいのアパートの101号室に住んでるんでしょ。前の飲み会の時に聞いてないのに自分から話してたよ」
『マジで?! 覚えてねぇ! ……フン! さとみちゃんちに押しかけにでも行くつもりかよっ? そんな事出来るわけねーくせに!』
「翔平が人生初めての彼氏で真面目で純粋なさとみちゃんが、翔平にそんな過去があるなんて知ったらどう思うだろうね」
『お願い、やめてっ! 言います! 正直に言いますから!』
翔平はすんなりと白状した。
瞬とかいう奴はどうやら遊び人だったらしく、何人もの男と同時に付き合うような奴で、その一人が修介だったというわけらしかった。
電話を切った後、しばらく動けなかった。
正直、嫉妬した。
そんなに大事な事、いつも適当でふざけている翔平には話していて、何故僕には言わないのか。
信頼してるって言ってくれたのは嘘だったのか。
モヤモヤを断ち切るようにハンガーからジャケットを勢いよく外して、財布と車のキーを持って家を出た。
ひんやりと冷たい風が頬を掠めると少しだけ気分は落ち着いたけれど、まだ完全には胸のムカムカは取れなかった。
街のネオンを見下ろしながら、スマホを操作して耳に当てる。
何回かの呼び出し音が鳴った後、相手は陽気な声で電話に出た。
『は~い、もっしー? 景久しぶりじゃん! どしたーん?』
僕は先程と同じように眉根を寄せてスマホを耳から遠ざける。
声色は違えどテンションの高さはさっきの奴とまるで一緒だ。
「もしもし。翔平、今大丈夫?」
『おー、大丈夫大丈夫! 今バイト終わって着替えてまったりしてたとこ。珍しいじゃん、電話してくんの』
「ちょっと訊きたい事があって」
『うん何ー? さとみちゃんの事ー?』
「修介って男が好きなの?」
『ブハッ!』
僕は翔平のボケなんて無視して直球で訊いてみた。
電話口の向こうで何やら咳き込む苦しそうな声が聞こえる。
悟った。どうやら本当のようだ。
『てめー、コーラ噴き出しちまったじゃねーかよ! 何だよいきなり!』
「翔平、やっぱりその事知ってたんだ?」
『……は、はぁ? 何それ? 知らねーけど! つか誰から聞いたんだよそんな事!』
声のトーンが微妙に高くなったから、こいつはきっと知っている。
昔から嘘をつくのは幼稚園児並みに下手だった。
「いま修介の家に泊まりに来てる重村っていう人だよ。高校の同級生で、修介と付き合ってたって言うんだけど、本当?」
『……俺は何も知らね~よ。なんで俺に訊いてくんだよ。修介に直接訊けばいいだろ?』
「もし知ってるんだったら正直に言わないと、さとみちゃんと付き合う前にお前がオッパブにはまって三回通ったっていう事、さとみちゃんにバラすからね」
『はっ!? てめー、消したい過去を!! ……って、そんな脅し文句は通用しねーぜ。さとみちゃんの連絡先なんて知らねーくせに』
「国道沿いのマックの向かいのアパートの101号室に住んでるんでしょ。前の飲み会の時に聞いてないのに自分から話してたよ」
『マジで?! 覚えてねぇ! ……フン! さとみちゃんちに押しかけにでも行くつもりかよっ? そんな事出来るわけねーくせに!』
「翔平が人生初めての彼氏で真面目で純粋なさとみちゃんが、翔平にそんな過去があるなんて知ったらどう思うだろうね」
『お願い、やめてっ! 言います! 正直に言いますから!』
翔平はすんなりと白状した。
瞬とかいう奴はどうやら遊び人だったらしく、何人もの男と同時に付き合うような奴で、その一人が修介だったというわけらしかった。
電話を切った後、しばらく動けなかった。
正直、嫉妬した。
そんなに大事な事、いつも適当でふざけている翔平には話していて、何故僕には言わないのか。
信頼してるって言ってくれたのは嘘だったのか。
モヤモヤを断ち切るようにハンガーからジャケットを勢いよく外して、財布と車のキーを持って家を出た。
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