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第14話
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翔平は相変わらず、馬鹿な話ばっかりしている。
この前バイト先の店長と喧嘩しただの、可愛い女の子の条件はだの、酔いが回って饒舌になっているから、俺は笑ってばかりいた。
飲み始めてから一時間もすれば人が集まり、残すところは藤澤 景だけとなった。
初めの頃とはずいぶん違って、全体が陽気な声でますますガヤガヤとし出した。
顔を真っ赤にして話している人もいる。
俺はなかなか酒が進まなかった。初めての場所と人で、緊張しているのかもしれない。
「で、修介! そこんところどう思う?!」
「えっ?」
赤い顔をした翔平に声を掛けられたけど、全く聞いていなかった。
「ご、ごめん何が?」
「だから~、景の事! あいつ、南と付き合ってるんだぜ? あんな美人とさ、超羨ましい! あ、でも俺はさとみちゃん一筋だけど」
そうだ。
確か最近、藤澤 景とモデルの南がタクシーから一緒に降りてくる写真がネットにのっていた。お互いの事務所も公認の付き合いだと。
藤澤 景も顔面偏差値高いけど、対する南も今女子高生がなりたい顔No.1とかで、数々のファッション誌に引っ張りだこの女性だ。
誰がどう見ても美男美女のカップルで、何もかもが完璧だと思う。
「ええんちゃう? お似合いのカップルで」
「はぁ、俺もモデルと付き合ってみたいなー。どんな気持ちなんだろ、モデルと付き合うって。あ、でも俺はさとみちゃん一筋……」
また翔平の恋愛話が始まって、うんうんと適当に頷いて聞いていたり聞いていなかったりしていた時。
急に引き戸が勢いよくガラッと開いて、一斉にみんながそちらに注目した。
「ごめん、遅くなって」
その人は、藤澤 景だった。
サングラスをして帽子も被っていたけれど、それらでも隠せないほどの全身から漂うオーラ。
黒髪で、短髪なんだけどフワッと柔らかそうな髪。黒いTシャツを着て、すらりと伸びる長くて細い脚。
首と指には、趣味なのか、シルクカラーのゴツゴツしたアクセサリーが見えていた。
俺は、彼という存在から目が離せなくなってしまった。
「おぉ! 景!」
久し振り、元気にしてた?
痩せたんじゃないか?
そんな言葉が行き交っていた。何人かが景の元へ駆け寄り、一緒に笑い合う。
俺は彼のサングラスを取る姿、帽子を取る仕草、表情、全てをジッと目で追っていた。
(凄い……生の藤澤 景や。やっぱ芸能人って一般人と全然違うんやな……)
「修介? しゅーすけっ?」
景にボーッと見蕩れていた俺は、翔平に声を掛けられていた事に今更気づいてハッとなった。
「あっ、ごめん、何?」
「ビックリした? みんな、あいつを初めて見るとそんな反応だよ。後で修介の事紹介するから。待ってて」
そう言うと、翔平も景の元へ駆け寄った。
「景、ひっさしぶりー!」
「この前会わなかったっけ?」
「それ、半年前じゃん!」
なんだか不思議な光景だった。
翔平は一般人だけど、話している相手は芸能人の藤澤 景で。
自分は翔平とは近い存在だけど、その翔平の隣にいる人は雲の上の人で。
翔平は話しながら景の首に腕を回したり、体を肘で突いたりしていた。
翔平だって十分背が高いのに、それを上回る程の景の身長。
景は翔平に小突かれて迷惑そうな顔をしながらも、笑っていてどこか嬉しそうだった。
それを見て、本当に幼馴染で仲がいいんだなって、ようやくそう思えた。
この前バイト先の店長と喧嘩しただの、可愛い女の子の条件はだの、酔いが回って饒舌になっているから、俺は笑ってばかりいた。
飲み始めてから一時間もすれば人が集まり、残すところは藤澤 景だけとなった。
初めの頃とはずいぶん違って、全体が陽気な声でますますガヤガヤとし出した。
顔を真っ赤にして話している人もいる。
俺はなかなか酒が進まなかった。初めての場所と人で、緊張しているのかもしれない。
「で、修介! そこんところどう思う?!」
「えっ?」
赤い顔をした翔平に声を掛けられたけど、全く聞いていなかった。
「ご、ごめん何が?」
「だから~、景の事! あいつ、南と付き合ってるんだぜ? あんな美人とさ、超羨ましい! あ、でも俺はさとみちゃん一筋だけど」
そうだ。
確か最近、藤澤 景とモデルの南がタクシーから一緒に降りてくる写真がネットにのっていた。お互いの事務所も公認の付き合いだと。
藤澤 景も顔面偏差値高いけど、対する南も今女子高生がなりたい顔No.1とかで、数々のファッション誌に引っ張りだこの女性だ。
誰がどう見ても美男美女のカップルで、何もかもが完璧だと思う。
「ええんちゃう? お似合いのカップルで」
「はぁ、俺もモデルと付き合ってみたいなー。どんな気持ちなんだろ、モデルと付き合うって。あ、でも俺はさとみちゃん一筋……」
また翔平の恋愛話が始まって、うんうんと適当に頷いて聞いていたり聞いていなかったりしていた時。
急に引き戸が勢いよくガラッと開いて、一斉にみんながそちらに注目した。
「ごめん、遅くなって」
その人は、藤澤 景だった。
サングラスをして帽子も被っていたけれど、それらでも隠せないほどの全身から漂うオーラ。
黒髪で、短髪なんだけどフワッと柔らかそうな髪。黒いTシャツを着て、すらりと伸びる長くて細い脚。
首と指には、趣味なのか、シルクカラーのゴツゴツしたアクセサリーが見えていた。
俺は、彼という存在から目が離せなくなってしまった。
「おぉ! 景!」
久し振り、元気にしてた?
痩せたんじゃないか?
そんな言葉が行き交っていた。何人かが景の元へ駆け寄り、一緒に笑い合う。
俺は彼のサングラスを取る姿、帽子を取る仕草、表情、全てをジッと目で追っていた。
(凄い……生の藤澤 景や。やっぱ芸能人って一般人と全然違うんやな……)
「修介? しゅーすけっ?」
景にボーッと見蕩れていた俺は、翔平に声を掛けられていた事に今更気づいてハッとなった。
「あっ、ごめん、何?」
「ビックリした? みんな、あいつを初めて見るとそんな反応だよ。後で修介の事紹介するから。待ってて」
そう言うと、翔平も景の元へ駆け寄った。
「景、ひっさしぶりー!」
「この前会わなかったっけ?」
「それ、半年前じゃん!」
なんだか不思議な光景だった。
翔平は一般人だけど、話している相手は芸能人の藤澤 景で。
自分は翔平とは近い存在だけど、その翔平の隣にいる人は雲の上の人で。
翔平は話しながら景の首に腕を回したり、体を肘で突いたりしていた。
翔平だって十分背が高いのに、それを上回る程の景の身長。
景は翔平に小突かれて迷惑そうな顔をしながらも、笑っていてどこか嬉しそうだった。
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