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第3章 ぼくに降り注ぐのはドキドキとモヤモヤと。

学校でいけないことしちゃダメです7

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 ドアから顔を出し、注意深くキョロキョロと左右を見渡してから書庫室を出て、聖先輩とはそこで別れた。
 図書室に帰ると乙葉に心配されたのだが、先生に用事を頼まれたのだと言い訳をすると、疑いもせずに納得してくれてほっとした。

 作業を終えて昇降口へ向かうと、何食わぬ顔して「よっ」と手を上げる聖先輩がいたので吹き出しそうになった。
 乙葉は聖先輩に挨拶をした後、ぼくにこそこそと言った。

「わざわざ待っててくれるだなんて、優しいじゃん。雫、歩太先輩は諦めて、もうこのまま聖先輩と付き合っていけば?」
「もうっ、乙葉までそんな」

 乙葉はぼくらに気を遣うようにそそくさと帰っていった。あぁ、乙葉に隠れてあんな事をしてしまって今さら罪悪感に苛まれる……。
 ぼくは聖先輩と二人、並んで歩く。

「ダメですからね、もう、学校であんなことしちゃ」
「学校じゃなかったらいいってこと?」
「そ、そういう事じゃ」

 そういえば聖先輩は吐精しなかったけど、大丈夫なのかな……ちらっと先輩の顔を伺う。我慢しているのか、それとも本当に平気なのか、いつもと変わらない眠そうな垂れ目の先輩だ。

「聖先輩って……ぼくのこと本当に好きですよね」
「何いきなり」

 馬鹿か、と言って冷たい目でぼくを見つめる。
 聖先輩の「馬鹿か」は照れ隠しだってことに最近気付いたので、ぼくはふふっと笑う。

 ふと、数メートル先を歩く生徒の髪が夕焼けに照らされて綺麗で見ていたのだが……あれって!

 そう、一人でポケットに手を突っ込んで歩いているそいつはカラコン野郎だった。
 ぼくはここぞとばかりに先輩の裾を引っ張った。

「先輩、あの人ですよ、前言ってた瑠璃色のカラコンの人」
「ん? あぁ、あそこにいる奴?」
「そうです。知り合いですか?」
「後ろ姿だから何とも言えないけど、たぶん知らない」

 やはり聖先輩とカラコン野郎は仲良しではないらしい。だったらどこで聖先輩を……
 というかなぜ今、あいつがぼくたちと同じタイミングで通学路を歩いているの?

 ……もしかして、さっき書庫室で先輩とイケナイ事をしていたのがバレている?!
 無性に胸の奥がザワついた。

「せっ先輩、もう一度お願いしますけど、学校ではもうさっきみたいなことは禁止ですからね」
?」
「もうっ、だからそういう事じゃないんですってばー!」

 キーキーと言うぼくを見て、聖先輩はちょっと嬉しそう。
 僕らの前を歩くカラコン野郎が不気味な笑みを浮かべていたことには二人とも気付かなかった。
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