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第3章 ぼくに降り注ぐのはドキドキとモヤモヤと。

カラコン野郎再び2

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「ねぇ、今のぼくたちの会話、聞こえてたと思う?」
「いや、大丈夫だろう。距離もあるし、踏切の音も鳴ってたし」

 ホッとしたのも束の間、カラコン野郎に声を掛けられた。

「よう」

 この前この人に頭を小突かれた事を思い出し、ぼくは一歩後ろに下がって苦笑う。

「ど、どうも」
「今日は練習しないの?」
「えっ……はい。聖先輩、今日は他の人と練習するみたいで」
「あ、そ」

 素っ気なく言って、カラコン野郎はぼくらの横を通り過ぎた。
 四人の背中を見ながら、ちょっとため息を吐く。
 友達がいたからかな。変に絡まれなくて良かった。

「あの人達、たぶん二年生だよ。あの右から二番目の人、図書委員の二年生と仲良く喋ってたの見たことある」

 乙葉はヒソヒソとぼくに話しながら自転車を押した。
 なるほど、二年生。
 ぼくらは前の四人組と距離が近くならないようにゆっくり歩いた。

「ね、なんかすっごくオシャレにしてるでしょう? 瑠璃色のカラコンなんてしちゃって」
「うん……なんかあの人と、どこかで喋ったことあるような気がするんだよね……」
「え、本当? この学園以外の所でって事?」
「うん、なんだか今初めて喋ったような気がしないんだ……でも気のせいかも。もしかしたらただ芸能人に似てるってだけかもしれない」

 乙葉は難しい顔をしながら思い出そうとしていたけど、結局は分からなかった。
 あんなに目立つ人と話した事があるとすれば記憶に残るだろうから、きっと勘違いだろうと結論付けていた。

「じゃあ雫、次に聖先輩と練習するのは水曜日ってことだよね?」
「え? いや、明日だけど」

 キョトンとしながら応えると、乙葉は「おい」と笑いながらぼくに軽く蹴りを入れる。

「明日は図書委員の仕事だろ。本当、雫は抜けてるな」
「えーっ! そっか、そうだった!」

 完璧に忘れていた。
 どうしよう、聖先輩に明日は大丈夫ですって言っちゃったよーー!

「あぁぁ、絶対怒られる」
「素直に謝れば、許してくれるよ」

 そうだといいけれど。
 明日の朝イチで、先輩に謝ろう……。
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