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第1章 優しい先輩と不機嫌な先輩
はじめての…!
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「俺が四歳になる前に亡くなったから、正直あんまり覚えてないし、悲しいっていう感情はないよ。大変だねっていう親戚もいるけど、父と二人で暮らすっていうのは俺にとっては普通で当たり前だったし」
「けど、今はお父さんもいないんですよね? 一人で暮らしてるって事ですか?」
「気楽だよ。自由にできるし」
大きめな窓に視線を移すと、もう雨は上がっていて、うっすらと光が差し込んで来ていた。
こんな広い家に一人きりだなんて、もしもぼくだったら耐えられるのかなと考え込んだ。
ぼくはおじいちゃん、おばあちゃんも含めて今は五人で暮らしている。みんな仲良くて、毎日誰かとは会話するのに、先輩はこの家にずっと一人なんだと思うと、なんだか不憫に思えてしまいじんわりと涙が滲んだ。
「え、もしかして泣いてんの?」
「なっ泣いてませんよ」
「涙目になってる」
「だからっなってないですっ」
ちゅ、と音が聞こえたと思った時には、聖先輩が口の端をあげて悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
聖先輩の唇が、ぼくの頬に触れたみたいだ。
熱の塊を押し当てられたのかと思うくらいにジンジンとそこが熱くて、手のひらでそこを冷ました。
聖先輩はぼくの後頭部に手を回してから目を閉じて、今度はゆっくりと顔を傾けた。
まつ毛長くて綺麗……と思いながら見ていると、唇がぷにゅ、と柔らかいもので押し当てられた。
何が起こったのか脳みそがついて行かない。
目の前には、さっき余裕の笑みで茶化していた男の姿はどこにもいなくて、かわりに顔をほんのりピンク色に染めた聖先輩がいた。
照れてる。やっぱりこの人った意外と照れ屋さんなんだなぁってぽーっと思ったのもつかの間、ぼくはようやく大変な事をしてしまった事に気付いた。
ぼくのっ、ファーストキスがっ!!
「けど、今はお父さんもいないんですよね? 一人で暮らしてるって事ですか?」
「気楽だよ。自由にできるし」
大きめな窓に視線を移すと、もう雨は上がっていて、うっすらと光が差し込んで来ていた。
こんな広い家に一人きりだなんて、もしもぼくだったら耐えられるのかなと考え込んだ。
ぼくはおじいちゃん、おばあちゃんも含めて今は五人で暮らしている。みんな仲良くて、毎日誰かとは会話するのに、先輩はこの家にずっと一人なんだと思うと、なんだか不憫に思えてしまいじんわりと涙が滲んだ。
「え、もしかして泣いてんの?」
「なっ泣いてませんよ」
「涙目になってる」
「だからっなってないですっ」
ちゅ、と音が聞こえたと思った時には、聖先輩が口の端をあげて悪戯っぽい笑みを浮かべていた。
聖先輩の唇が、ぼくの頬に触れたみたいだ。
熱の塊を押し当てられたのかと思うくらいにジンジンとそこが熱くて、手のひらでそこを冷ました。
聖先輩はぼくの後頭部に手を回してから目を閉じて、今度はゆっくりと顔を傾けた。
まつ毛長くて綺麗……と思いながら見ていると、唇がぷにゅ、と柔らかいもので押し当てられた。
何が起こったのか脳みそがついて行かない。
目の前には、さっき余裕の笑みで茶化していた男の姿はどこにもいなくて、かわりに顔をほんのりピンク色に染めた聖先輩がいた。
照れてる。やっぱりこの人った意外と照れ屋さんなんだなぁってぽーっと思ったのもつかの間、ぼくはようやく大変な事をしてしまった事に気付いた。
ぼくのっ、ファーストキスがっ!!
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