上 下
80 / 90
◇第7章◇優しくて大好きなひと

80 おやすみ*

しおりを挟む
 前からされると、情けない泣き顔を見られることになる。それに、僕の隠しようのない濡れそぼった屹立も。
 動きや熱量は衰えるどころか、余計に勢いに拍車がかかったような気がする。
 ひときわ強く奥まで入れられて腰を引くと、また両手で腰を掴まれて固定された。

 僕は上気した顔で律を見上げ、首をふるふると横に振る。
 本当に無理。
 そう伝えたつもりなのに、律は僕の目の縁に溜まっていた涙を指先で拭った。

「とろとろだね、千紘。俺はきみが可愛くてしょうがないです」

 愛おしそうに律が緩く笑う。
 顔が振ってきたので、目を閉じて唇を受け止める。
 夢中で唇を絡めあって、繋がっている部分はどんどん曖昧になって。

「律……っ、」

 好きで、大好きで、どうにかなってしまいそうだ。

 さっきよりも抜き差しの加減が弱くなったのに、律への想いで胸がいっぱいになった途端、絶頂が訪れた。
 堪えようと思う間もなく、白濁の液を散らしてしまう。

「──────あ……っん……!」

 自分の手の甲を口に当てて、ビクンビクンと腰を跳ねさせた。
 全てを出し切ると、荒い息遣いが残る。

 目を閉じて程よい気だるさに浸っていると、前触れなく腰の動きを再開されて、目を見開いた。

「あっ、だめ……っ、動いちゃ……もうイったからぁ……っ」
「うん、ごめん。俺はまだイってないから」
「やっ嘘……っ」
「もう少しだけ付き合ってね、千紘」

 甘く優しい声だけど、反論は許されないらしい。

 律はイったばかりの僕のものをきゅっと握って、上下に扱き始めた。
 敏感になっているそれはあっという間に勃ちあがり、後ろも深いところまで抉られて、何も考えられなくなった。

「ぁ、やだ……っ、おかしく、なる……っ」
「……なってくれたら、嬉しいです」

 喉を鳴らして、律の首に腕を回して抱き付いたのは覚えているが、その後はおぼろげだ。

 最奥が灼けるように熱くなったのを感じ、弛緩した律の身体の重みを受け止めたような気がする。




 ぼんやりと律の首筋のホクロを見つめながら、しばらく腕の中にいた。
 まるでぷかぷかと海に浮いているような感覚で気持ちよくて、充溢感でいっぱいだった。

「おやすみ」

 何も心配はないよと言うように、強く優しく抱きしめられた僕の意識は白く薄れて、溶けていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

恋した貴方はαなロミオ

須藤慎弥
BL
Ω性の凛太が恋したのは、ロミオに扮したα性の結城先輩でした。 Ω性に引け目を感じている凛太。 凛太を運命の番だと信じているα性の結城。 すれ違う二人を引き寄せたヒート。 ほんわか現代BLオメガバース♡ ※二人それぞれの視点が交互に展開します ※R 18要素はほとんどありませんが、表現と受け取り方に個人差があるものと判断しレーティングマークを付けさせていただきますm(*_ _)m ※fujossy様にて行われました「コスプレ」をテーマにした短編コンテスト出品作です

執着攻めと平凡受けの短編集

松本いさ
BL
執着攻めが平凡受けに執着し溺愛する、似たり寄ったりな話ばかり。 疲れたときに、さくっと読める安心安全のハッピーエンド設計です。 基本的に一話完結で、しばらくは毎週金曜の夜または土曜の朝に更新を予定しています(全20作)

離したくない、離して欲しくない

mahiro
BL
自宅と家の往復を繰り返していた所に飲み会の誘いが入った。 久しぶりに友達や学生の頃の先輩方とも会いたかったが、その日も仕事が夜中まで入っていたため断った。 そんなある日、社内で女性社員が芸能人が来ると話しているのを耳にした。 テレビなんて観ていないからどうせ名前を聞いたところで誰か分からないだろ、と思いあまり気にしなかった。 翌日の夜、外での仕事を終えて社内に戻って来るといつものように誰もいなかった。 そんな所に『すみません』と言う声が聞こえた。

十七歳の心模様

須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない… ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん 柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、 葵は初めての恋に溺れていた。 付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。 告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、 その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。 ※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。

あなたの隣で初めての恋を知る

ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。 その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。 そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。 一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。 初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。 表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

僕の追憶と運命の人-【消えない思い】スピンオフ

樹木緑
BL
【消えない思い】スピンオフ ーオメガバース ーあの日の記憶がいつまでも僕を追いかけるー 消えない思いをまだ読んでおられない方は 、 続きではありませんが、消えない思いから読むことをお勧めします。 消えない思いで何時も番の居るΩに恋をしていた矢野浩二が 高校の後輩に初めての本気の恋をしてその恋に破れ、 それでもあきらめきれない中で、 自分の運命の番を探し求めるお話。 消えない思いに比べると、 更新はゆっくりになると思いますが、 またまた宜しくお願い致します。

処理中です...