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2日ぶり2回目の手合わせ
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それから――正確に言うなら、非常に不本意ながらクラウディオと仲良く鍛錬することになってしまったあの時から――2日後のこと。
私はクラジオを起こして見送って、あまりにも暇だから意味もなく城の中をウロウロしていた。
すると目の前から顔面凶器が歩いてきた。――このあだ名は私が心の中でこっそり呼んでいるもので、性格はクソだが顔が良いのが憎いからと、私が勝手に付けたものだ。天は二物を与えずってのは本当だと確信した瞬間だった――
ヤツはニッコリと胡散臭い笑みを顔に貼り付けてこちらに近寄ってきた。なんとなく嫌な予感がしたので、私は気付かれないうちに離れておこうと思い、ヤツとは反対方向に進む。
――がしかし、どうにもヤツの進行方向はこちららしい。と言っても私の向かう先には使用人のための部屋しかない。
まさか、いやそんなはずは――
「キミ」
やっぱり目的は私だったんですね!?
嫌々ながらも振り返り、「なんでしょう」と訪ねる。本当は何も聞かずにこのままダッシュで立ち去りたいんですけどね!相手は一応腐っても王族ですからね!下手したらクビ飛んじゃいますから!
「ちょっといいかな?」
否、と言わせる気はないんでしょうね分かります。だがそれに従ってすぐに応じるのも私の矜恃が許さない。
「内容によります」
そう言うとクラウディオは胡散臭い笑みはそのままに「いや、また鍛錬に付き合って欲しくてね。ダメかな?」と首を傾げるものだから、もうイケメンオーラがダダ漏れだった。なまじ顔が良いからね!
「……いいですよ。その代わり、わたくしのお気に入りの剣を取りに行き、そのあとひとりで鍛錬場に行きます。それが条件です。この条件が呑めるならお相手いたします」
「いいよ。じゃ僕は先に行ってるね」
ひらひらと手を振りながら、クラウディオはこの場を離れていった。
それを見送り、私は自室に向かった。――不本意だが、あれほど強い相手と剣の手合わせができるのは私としても嬉しいのだ。こちらに来てからは全く会っていないが、リエールにいた頃は何度も刺客が姫様を襲いに来たりしていた。だからその相手をしていたのだが、とにかく相手が弱すぎる。いや、彼らの国の中では強い方なのかもしれない。だが桁外れの強さを持ったアイリスは、そんな彼らをものともしなかった。
だから自分と同等、あるいはそれ以上の相手と手合わせするには、王立騎士団と手合わせすることくらいしかなかったのだ。勿論彼らは忙しいのでなかなかその機会に恵まれず、結果手合わせしたのは数える程しかなかった。
私は細身のレイピアを携えて鍛錬場に向かった。――アイリスがメインにしていた得物はレイピアだったのだ。アイリスの記憶を漁ってみると、得物がレイピアである理由は「なんかレイピア使いのメイドっていいよね」だった。もっとカッコイイ理由を期待してたのにな、なんて。
ともあれ。
私はレイピアを腰に下げ、ここからさほど遠くない鍛錬場に向かう。
その途中、クラジオとすれ違った。無言ですれ違うのもなんかな、と思い「どーも」と声をかけると「あぁ。……随分と楽しそうだな。これからどこに行くんだ?」と尋ねられたので「あなたの兄上のもとに。わたくしがあまりに強いものですから、クラウディオ様直々に手合わせ願われてしまって」と言うと、
「…………そ、そうか。お前は兄上と剣で語り合えるほどの強さなのか、そうか」
と軽く引かれた。眉を顰めるものだから、せっかくのお顔が台無しになっている。「ま、あの時は剣じゃなくてナイフだったんですけどね」と呟くと彼はさらにシワを深く寄せた。「…………じゃ、俺はこのあとすぐ会議あるから」と、人間ではないものを見るかのような目で私を見て去っていった。解せぬ。
ようやく鍛錬場に着いた頃には、クラウディオはいかにも王子ですというオーラを纏った服を脱ぎ、鍛錬用であることを感じさせる質素な――しかし一般市民からしてみれば大変豪華な――服を着ていた。この服装のまま街に出れば良いとこの坊ちゃんだとは思われるだろうが、まさかこの国の第二王子だとは思われないだろう。
「あっ、いた。おーい、こっちこっち!」
そうやってにこやかに手を振ってると、普段の彼から漂っている王子らしさの欠片も感じない。「はいはい、お待たせいたしました」と言いながら彼に駆け寄る。
「……あ、キミってレイピア使うんだ。見た目通りというか、意外性がなくてつまんないね。なんかこう……棍棒とか使いそうじゃん、キミの性格なら」
失礼にも程がある。なんだ、棍棒を使いそうな性格って。初めて聞いたわ。
「レイピアって綺麗でしょう。それに扱いやすくて」
「あぁ、分かる。僕も最初は普通の剣で練習させられてたんだけど、細身の剣が使いやすいなって思ったら普通の剣なんかに戻れなくなっちゃったんだよね」
「ですよね、わたくしもです!」
そんな雑談を少ししてから私たちは2日ぶり2度目の手合わせをした。
手合わせは結構楽しかった。前回はハンデがあったが、今回は自分の得物を使って手合わせしたのだ。楽しくないはずがない。私もクラウディオも、まだ60%くらいの力で手合わせしていたが、それでも十分楽しめるくらいだった。本気でぶつかりあったらどうなるんだろうか……考えただけで震えてくる。だってあまりにも楽しそうだから。
手合わせが終わったあと、思わぬところ――ふたりがレイピアを得物とする理由が同じだったというところだ――で意気投合してしまったので、また雑談に花を咲かせた。
レイピアのここがいい、というレイピア語りから食べ物の好み――どうやらクラウディオは甘いものに目がないらしいのだが、男が甘いものが好きだと露見するのは少し嫌なんだとか――の話まで、話題は尽きなかった。
気付いたらもう日が暮れかけていた。手合わせを始めた時にはまだ空は明るかったはずなのに。
「かなり長いこと話してたんだね。気付かなかった」
「えぇ、わたくしもです」
「こんな時間まで付き合ってくれてありがとう。もしまた機会があればよろしく……いや、機会は作るから、その時もよろしくね」
「ふふっ……一国の王子ともあろう方が何をおっしゃいますやら。いいですよ、またお付き合いさせていただきます」
「あと、僕のことはクラウって呼んでよ。僕もキミのこと、アイリって呼ぶからさ。せっかくここまで意気投合できる相手が見つかったんだ、さらに親交を深めるためにも、まずは呼び方から変えるべきだと思うんだよね」
「はいはい、かしこまりました、クラウ様」
なんて回りくどい言い方だ。素直に「友達になってくれてありがとう!友達だからキミのことはアイリって呼ぶね!」って言えばいいのに。でもまぁ、それが彼の性格なんだ。何も言わないでおいてあげよう。私は優しいからね。
次手合わせする時は街で何かお菓子を持参してきてあげようかな、なんて思いながら私は自室に帰った。
――――まぁ例のごとく、自室に帰って風呂に入って落ち着くなり、「は!?姫様を殺そうとしたヤツと友達!?雑談できる仲ってなに、てかそもそも攻略対象サマと親交深めてどうすんの、恋愛フラグは回避すべきなのに!」と大絶叫したのだが。
私はクラジオを起こして見送って、あまりにも暇だから意味もなく城の中をウロウロしていた。
すると目の前から顔面凶器が歩いてきた。――このあだ名は私が心の中でこっそり呼んでいるもので、性格はクソだが顔が良いのが憎いからと、私が勝手に付けたものだ。天は二物を与えずってのは本当だと確信した瞬間だった――
ヤツはニッコリと胡散臭い笑みを顔に貼り付けてこちらに近寄ってきた。なんとなく嫌な予感がしたので、私は気付かれないうちに離れておこうと思い、ヤツとは反対方向に進む。
――がしかし、どうにもヤツの進行方向はこちららしい。と言っても私の向かう先には使用人のための部屋しかない。
まさか、いやそんなはずは――
「キミ」
やっぱり目的は私だったんですね!?
嫌々ながらも振り返り、「なんでしょう」と訪ねる。本当は何も聞かずにこのままダッシュで立ち去りたいんですけどね!相手は一応腐っても王族ですからね!下手したらクビ飛んじゃいますから!
「ちょっといいかな?」
否、と言わせる気はないんでしょうね分かります。だがそれに従ってすぐに応じるのも私の矜恃が許さない。
「内容によります」
そう言うとクラウディオは胡散臭い笑みはそのままに「いや、また鍛錬に付き合って欲しくてね。ダメかな?」と首を傾げるものだから、もうイケメンオーラがダダ漏れだった。なまじ顔が良いからね!
「……いいですよ。その代わり、わたくしのお気に入りの剣を取りに行き、そのあとひとりで鍛錬場に行きます。それが条件です。この条件が呑めるならお相手いたします」
「いいよ。じゃ僕は先に行ってるね」
ひらひらと手を振りながら、クラウディオはこの場を離れていった。
それを見送り、私は自室に向かった。――不本意だが、あれほど強い相手と剣の手合わせができるのは私としても嬉しいのだ。こちらに来てからは全く会っていないが、リエールにいた頃は何度も刺客が姫様を襲いに来たりしていた。だからその相手をしていたのだが、とにかく相手が弱すぎる。いや、彼らの国の中では強い方なのかもしれない。だが桁外れの強さを持ったアイリスは、そんな彼らをものともしなかった。
だから自分と同等、あるいはそれ以上の相手と手合わせするには、王立騎士団と手合わせすることくらいしかなかったのだ。勿論彼らは忙しいのでなかなかその機会に恵まれず、結果手合わせしたのは数える程しかなかった。
私は細身のレイピアを携えて鍛錬場に向かった。――アイリスがメインにしていた得物はレイピアだったのだ。アイリスの記憶を漁ってみると、得物がレイピアである理由は「なんかレイピア使いのメイドっていいよね」だった。もっとカッコイイ理由を期待してたのにな、なんて。
ともあれ。
私はレイピアを腰に下げ、ここからさほど遠くない鍛錬場に向かう。
その途中、クラジオとすれ違った。無言ですれ違うのもなんかな、と思い「どーも」と声をかけると「あぁ。……随分と楽しそうだな。これからどこに行くんだ?」と尋ねられたので「あなたの兄上のもとに。わたくしがあまりに強いものですから、クラウディオ様直々に手合わせ願われてしまって」と言うと、
「…………そ、そうか。お前は兄上と剣で語り合えるほどの強さなのか、そうか」
と軽く引かれた。眉を顰めるものだから、せっかくのお顔が台無しになっている。「ま、あの時は剣じゃなくてナイフだったんですけどね」と呟くと彼はさらにシワを深く寄せた。「…………じゃ、俺はこのあとすぐ会議あるから」と、人間ではないものを見るかのような目で私を見て去っていった。解せぬ。
ようやく鍛錬場に着いた頃には、クラウディオはいかにも王子ですというオーラを纏った服を脱ぎ、鍛錬用であることを感じさせる質素な――しかし一般市民からしてみれば大変豪華な――服を着ていた。この服装のまま街に出れば良いとこの坊ちゃんだとは思われるだろうが、まさかこの国の第二王子だとは思われないだろう。
「あっ、いた。おーい、こっちこっち!」
そうやってにこやかに手を振ってると、普段の彼から漂っている王子らしさの欠片も感じない。「はいはい、お待たせいたしました」と言いながら彼に駆け寄る。
「……あ、キミってレイピア使うんだ。見た目通りというか、意外性がなくてつまんないね。なんかこう……棍棒とか使いそうじゃん、キミの性格なら」
失礼にも程がある。なんだ、棍棒を使いそうな性格って。初めて聞いたわ。
「レイピアって綺麗でしょう。それに扱いやすくて」
「あぁ、分かる。僕も最初は普通の剣で練習させられてたんだけど、細身の剣が使いやすいなって思ったら普通の剣なんかに戻れなくなっちゃったんだよね」
「ですよね、わたくしもです!」
そんな雑談を少ししてから私たちは2日ぶり2度目の手合わせをした。
手合わせは結構楽しかった。前回はハンデがあったが、今回は自分の得物を使って手合わせしたのだ。楽しくないはずがない。私もクラウディオも、まだ60%くらいの力で手合わせしていたが、それでも十分楽しめるくらいだった。本気でぶつかりあったらどうなるんだろうか……考えただけで震えてくる。だってあまりにも楽しそうだから。
手合わせが終わったあと、思わぬところ――ふたりがレイピアを得物とする理由が同じだったというところだ――で意気投合してしまったので、また雑談に花を咲かせた。
レイピアのここがいい、というレイピア語りから食べ物の好み――どうやらクラウディオは甘いものに目がないらしいのだが、男が甘いものが好きだと露見するのは少し嫌なんだとか――の話まで、話題は尽きなかった。
気付いたらもう日が暮れかけていた。手合わせを始めた時にはまだ空は明るかったはずなのに。
「かなり長いこと話してたんだね。気付かなかった」
「えぇ、わたくしもです」
「こんな時間まで付き合ってくれてありがとう。もしまた機会があればよろしく……いや、機会は作るから、その時もよろしくね」
「ふふっ……一国の王子ともあろう方が何をおっしゃいますやら。いいですよ、またお付き合いさせていただきます」
「あと、僕のことはクラウって呼んでよ。僕もキミのこと、アイリって呼ぶからさ。せっかくここまで意気投合できる相手が見つかったんだ、さらに親交を深めるためにも、まずは呼び方から変えるべきだと思うんだよね」
「はいはい、かしこまりました、クラウ様」
なんて回りくどい言い方だ。素直に「友達になってくれてありがとう!友達だからキミのことはアイリって呼ぶね!」って言えばいいのに。でもまぁ、それが彼の性格なんだ。何も言わないでおいてあげよう。私は優しいからね。
次手合わせする時は街で何かお菓子を持参してきてあげようかな、なんて思いながら私は自室に帰った。
――――まぁ例のごとく、自室に帰って風呂に入って落ち着くなり、「は!?姫様を殺そうとしたヤツと友達!?雑談できる仲ってなに、てかそもそも攻略対象サマと親交深めてどうすんの、恋愛フラグは回避すべきなのに!」と大絶叫したのだが。
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