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犯人は?

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 そしてこの日の夜、私はどうにも寝苦しかったのでなかなか眠りにつけず、ぼんやりと月を眺めていた。
 私の情報処理能力では処理しきれない色々な情報を、前世の記憶と絡ませながら整理しようとしていた。すると、私はとある重要な、重大なことを思い出した。――否、思い出してしまった。

 ここは、乙女ゲームの世界だ。リエールが舞台になっている『ドキドキ!夢の花咲く王宮で』通称『ドキ夢』は、ディラス、クロール、ドドリー、ヴェロールの四人が攻略対象の乙女ゲームだ。
 私は前世、井上紫苑いのうえ しおんとして日本で暮らしていたが、あっけなく事故死。気付いたら私の好きだったこの世界にいたわけだ。
 そして私は最推し(姫様)の幸せを実現させるべく、恋愛フラグを回避するために攻略対象サマから嫌われる努力をしていた、のだが。
 あっけなく私の心は陥落した。前世から姫様の次に好きだった――そして、私の初恋の相手でもあったヴェロールに恋をし、そして彼も私のことが好き……っぽい雰囲気を醸し出している。
 私が幸せハッピーエンドならば、姫様は不幸バッドエンドになるこの世界の運命。
 これを私は知っているから、恋心を閉じ込めて綺麗な思い出にしておこうとしたのに、彼はそれを難なく開け放してしまった。
 恋心を告げるか否か迷っている間に、奇しくも私はアステアに攫われてしまい――――


 そして、ここ、アステアを舞台にした『もっと!ドキドキ!夢の花咲く王宮で』通称『もっとドキ夢』という乙女ゲームの世界が始まった。
 ――だがしかし、私はこれをプレイする前に死んでしまった。事前の告知情報しか私の頭には入っていない。なんてこった!

 攻略対象は三人。クラジオ、ノリア、ルーノ。
 前作『ドキ夢』では、無事攻略対象と結ばれた主人公であったが、『もっとドキ夢』では主人公がアステアに攫われてしまうところから物語が始まる。そして残された攻略対象様は……。

 姫様と誰かのハッピーエンドを迎えたセーブデータを前作と連動した者にだけ贈られる、とある特典――というか、隠しキャラがいるのだ。
 それが、『ドキ夢』のセーブデータの中で、一番最後に攻略したキャラだ。

 前作、つまりリエールの世界で一番最後に攻略したキャラが、アステアに誘拐された主人公のもとに颯爽と助けに来る――わけではなく、アステアの王宮の内部に偽名を使って潜り込み、救うタイミングを見計らいながら、時折主人公とコンタクトを取り……というものだ。

「…………ヴェロールの手紙、なんか……こう、隙を見て助けに来るぜ的な……いやまさか!」

 私が主人公であるはずなんてない。主人公は姫様なのだから。

 でも。

「……攫われたのは私なんだよなぁ。本来なら姫様が攫われて、もっとドキ夢が始まるはずなのに……」

 だが悲しきかな。『もっとドキ夢』は私はプレイしていないが故に、どのようなイベントがあるのか、どんなエンドがあるのかは全く分からない。
 こっちの世界でハッピーエンドを迎える……なんてことはないのだろうが、もしそうなったら姫様はどうなるのだろう。

「…………分っかんないなぁ」

 分からないから、怖い。
 でもここに来てしまった以上、やるしかない。

「……とりあえず、絶対リエールに帰ってやる」

 帰って私はヴェロールに気持ちを伝えるんだ。



 ――――これは死亡フラグではない。断じて。

 ◆◆◆

 そうと決まれば即行動……というわけにもいかないので、私はいつも通りクラジオのメイド兼護衛役をまっとうしようではないか。

「おはようございます、クラジオ様」

 と少し声をかければ彼は起きる。王子として刺客の気配を嗅ぎ取れるようにしたそうなのだが、私はどうも警戒心が上手く働かず、声をかけられなければ気づかないそうだ。褒められてるのか貶されてるのか微妙なラインだ。
 ついこの前はたまたま眠気が酷かったらしく、すんなり起きれなかったのだとか。そうでなければ今日くらいすんなり起きてくれる。ありがたい。

「……あぁ」

 まだ夢うつつといったようなぼんやりした声で反応した彼は、声に反して素早く起き上がるとこちらを向いた。

「今日の予定は」
「8時30分から騎士棟2階会議室で軍事会議、10時から12時まで書類確認。12時から12時30分まで昼食、それから下町へ出て慈善活動。お帰りは18時までに。今日の予定は以上です」
「分かった」

 私は姫様に仕えていた時から……いや、前世から記憶力だけは良いようで、突然予定の確認をされてもパッと答えられる自信がある。

「やはりお前は有能だな」
「はいはい、どうもありがとうございます」
「……」
「なんです?わたくしの顔に何かついてますか?」
「いや……最近のお前から遠慮とか忠誠心とか、そういうのが全く感じられないのだが」
「えぇ、わたくしの心は姫様のもとにありますので。遠慮は……まぁ別にいいかな、と。正直もう面倒くさいですし」
「……俺はそれでいいが、他の者にそんな態度取るなよ。下手したら首が飛ぶぞ」
「ご忠告痛み入ります。……あー、もう本当面倒なんでもっと砕けた感じでもいいですか?」
「…………あぁ」
「ありがとうございます。良かった、クラジオ様が優しい人で。ずっと口調維持するのも大変なんですよ、なんて。メイド失格ですかね」
「……そうだな、よくそんなんで今までメイドなんて仕事できたな」
「姫様にだけ心の底から忠誠を誓ってるんで。姫様に対してなら自然にキッチリした言葉になりますよ」
「…………そうか」

 遠い目をしたクラジオ。……やめて、なんかいたたまれなくなるじゃん。

「……では、行ってくる」

 私の話している間に準備を整えた彼は、姿見の前で自身の姿を確認すると、私の方を振り返った。

「はい、行ってらっしゃ……すみません、ネクタイが少し曲がってます」

 普通の人なら気にならない程度のものだったが、分かる人からすればそれは怠惰。ほんの少し服装が悪かっただけで色々言われる世界なのだ、ここは。
 彼のネクタイを直してやると、「新婚みたいだな」とうっすら笑った。

「あなたみたいな性格クズ……失礼、性格の悪い方とはこちらから願い下げです。では改めて、行ってらっしゃいませ」
「……そろそろ解雇通知叩きつけてやろうか」

 ニッコリと笑みを深め(ただし目元は笑っていない)ドスの効いた声で言い残し、彼は出て行った。
 それを確認し、私はポソリ呟く。

「……さて、情報収集としゃれこみますか」

 ◆◆◆

 唐突な話だが、私はメイド兼護衛である。しかしそれはあくまでクラジオが自室にいる時だけの話で、そこから一歩外に出てしまえば私の預かり知る話ではない。

『会議室まではついてこなくていい。むしろついてくるな。ちゃんとした護衛がいるからそいつに頼む。ルーノとノリアはああ見えて腕の立つ護衛なんだ』
『左様ですか』
『だからお前は俺がこの部屋にいる間だけ護衛をしてくれ。朝俺を起こしてから朝食、見送り。帰宅後の夕食、就寝まで。夜通し護衛しろとは言わない。眠くなったら大人しく眠れ』
『……そんなのでいいんですか?』
『あぁ。お前はあくまで臨時の護衛だからな。……まぁ護衛の数が圧倒的に足りないのは事実なんだが』
『……そういえば、なぜ護衛の数が足りないなんて事態に陥ったんですか?王子の護衛なんて、立候補したい人なんてごろごろいるでしょうに』
『まぁ、な。それについてはまた今度、気が向いたら教えてやる』

 ――――とまぁこんな会話をしていたのだ。
 肝心のところは教えてくれなかったが、やはり何かしら理由があって護衛が足りないという状況になっているんだと確信できただけ良しとしよう。

 そして今日、私は運命とも言える出会いをした。
 それは、クラジオに呼ばれて彼の執務室に出向いた時のことだ。
 いつものように部屋に入る前に一声かけて、「なんですか」と(半ばヤケクソで)言うと、短く「茶」と言われた。えぇえぇ、あなたは性格がクソでも設定上では王子ですもの。私はいちいち腹を立てませんよっと。

「……はああぁぁぁ、だる」

 おっと、口が滑ってしまったか。クラジオは相変わらずだが、彼の隣にいる女性がぎょっとした表情で私を見ていた。……あ、クラジオ以外にも人がいたんだ。ヤバいどうしよう、首飛ばないよね?

「……失礼します」

 一応は従順なメイドを装うことにしよう。まぁ今更遅いのだが。

 彼の言いつけ通り、お茶を用意した。隣にいた女性の分も含めてふたつ。
 それなのに、クラジオの執務室に入ると先までいた女性はいなかった。

「すまんな、アイリス。用意してくれたところだが、どうも俺の婚約者は用事を思い出したらしい」
「つまりわたくしの淹れた紅茶がひとつ無駄になったということですね。……はぁ」

 なんなんだこいつは。この私にわざわざ茶しばかせておいて「やっぱいりません」だぁ?
 ……とグチグチ言いたいのは山々なのだが、まぁさすがにここはブレーキがかかった。ちょっと申し訳なさそうな表情をしながら「わ、悪かった。だがまぁ、せっかく淹れてくれたから俺が飲んでやる」と言って飲んでくれたからまぁいいか、許した。

 ◆◆◆

 クラジオの隣にいた女性は誰なのだろう……と悶々とする日々を過ごし始めて2日後。
 接触は彼女の方からあった。いや、接触と呼べるほど顔は合わせていないが。

 庭で作業をしているといきなりバケツの水をぶっかけようとしてきたのだ。それも、背後から。
 普通は避けられない。後ろからかけられればそれは当たり前だ。――そう、なら。
 私はどうやらその枠組みの中にはないようだ。背後からかけられる水を華麗に、かつ偶然を装って避けた。
 それだけではない。
 私がよく通る道にワックスが塗ってあったのだ。それならまだたまたまかと思うのだが、どうにもワックスの塗り方がアマチュアというか、素人じみている。王宮に勤める人間ならもっと上手く塗るはずなのに。
 影でチラチラこちらを見てくる視線に気がついたので、絶対に転ぶものかと強い意志で、私は体幹をフル活用した。結果、転ばなかった。……これも偶然である。たまたまだ、たまたま。

 それからも何度か接触があったが、私はそれを全てかわした。
 すると、ついに彼女は姿を現した。

「あなた……私がなにを仕掛けてもことごとく避けて!なにか裏があるのでしょう!」

 裏はない。……ただ少しばかり勘が鋭く、身体能力が高いだけだ。

「裏?やだなぁ、何もありませんよ。わたくしはしがないメイドです。たまたまでしょう」

 そう言うと、彼女はくっと悔しそうに唇を噛んだ。そうだよな、たまたまだよな……と一瞬は納得したようだったが、「ってなるか!ありえないじゃない!」と声を荒らげた。「……ですよね、わたくしも思いました」と言うと、私はにっこりと笑った。

「あなた、何がしたいんです?」

 ただクラジオに不敬な態度だったから罰を与えてやろう……というものなら納得なのだが、もしこれが別の個人的な恨みとかだったらどうしようか。そして――もしかしてこの人も転生者なのではないかという疑問がふと浮かんだ。と思っての質問だった。

 ……のだが、この質問は思わぬ方向に受け取られてしまったようだ。
 明らかに怯えた表情を見せながら「……っ、わ、私は……」と震えていた。ごめん、そんなつもりじゃなかったの。

 暗に「お前も前世持ちなんじゃないか」と言いつつ、決して怒っているわけではないと弁明し、「私は『ニホン』という国で生活していた」という旨の話をすると、彼女は目を見開いた。
 突拍子もない話で呆れたのかと思いきや、そうではなかった。それどころか「まさかあなた……『ドキ夢』や『もっとドキ夢』をプレイしたことが……」と言い放った。
 嘘だろ、まさかこんなところで日本人仲間に会えるとは……!しかも彼女――ゲーム名ではアクレシア・フォン・フォルリーア、日本人としては中村あずさというらしい――は『ドキ夢』はおろか、『もっとドキ夢』まで全クリアしたらしい。なんて心強い味方だ。
 私たちは感動の再会に、思わずひしと抱き合った。

 ◆◆◆

「さて。じゃあこの世界についてある程度説明するね」

 私が日本人だと知ったからか、一気に口調を砕けさせたアクレシア――もとい、中村あずさは『もっとドキ夢』の世界について色々教えてくれた。
 この人のルートだと云々――というのは大切だが、それよりも気になったことがあった。

「えっ、クラジオの婚約者……で、悪役令嬢ポジ?」
「そう。私はクラジオと婚約破棄したい悪役令嬢ポジなの、今はね。本当ならクラジオ大好きな悪役令嬢なんだけど。……それで、悪行ばかりすれば婚約破棄できるかなと思ってアイリス……じゃなくて、紫苑しおんに嫌がらせしていたの」
「なるほどね。言えてる」

 お互い令嬢らしからぬ会話をなんの違和感もなく続ける。……そもそも私たちにほんじんからしてみれば令嬢らしい言葉の方が違和感を感じるというものだ。

 しばらくこのゲームについて解説を聞いていると、アクレシアあずさは聞き逃せない一言を放った。

「そういえばヒロイン毒殺されかけたんだって?誰やったか分かってるの?」
「ううん、全く。私はそれを探りに来たの。アクレシアは犯人分かってるの?」
「うん。続編に出てきたもん。姫様毒殺未遂事件って」
「……それで、犯人は?」
「犯人はね……」

 ゴクリと生唾を飲んだ。

「クラジオの兄、クラウディアだよ」
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