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60. 新生活
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チャペルでの挙式と、レストランでの披露宴を終えて、私と俊介さんは帰宅した。
ふわふわしていて、どこか夢見心地だった幸せな結婚式は、あっという間に終わった。
式の後、市役所の夜間受付に婚姻届を提出してきた。不備がなければ、私は小野彩綺になる。
俊介さんが一人暮らしをしていた家に、そのまま住むことになった。
大家さんへの挨拶も済ませ、荷物も運びこんでいる。
けれど、私は式が終わるまで実家にいた。
何度も遊びにきているし、お泊りもしたけど、けじめをちゃんとつけたかった。
これから、ここが私の家になる。
出掛けて帰ってくる場所で、俊介さんが待っている場所。
俊介さんと待ち合わせをすることなく、一緒に出掛けられて、一緒に帰ってくる場所。
喜びが溢れて、うふふと笑みがこみあげてくる。
「どうしたの?」
お風呂の支度をしてくれた俊介さんがリビングに戻ってきた。
「嬉しさを実感しているの。新生活が始まるんだなあって。どきどきする」
「僕は、改めてどきどきはないかな」
「え? どうして?」
まさか、同じ気持ちじゃないの? と振り返る。
「彩綺さんがこの家にいるのが、もう当たり前になっているからね」
嬉しくて、俊介さーん、と甘えようとしたら、先にハグされた。
むぎゅっと力を込められる。
「だけど、毎日いてくれるのは、僕も嬉しい」
「私だって、めちゃくちゃ嬉しい」
安心する温もりを味わっていると、体が離れた。
「彩綺さん、これからよろしくお願いします」
「こちらこそ。俊介さん、末永くよろしくお願いします」
私たちは夫婦になって、最初のキスを交わした。
Fin
ー・-・-・-・-・-・-・-・--・-・-・-・-・-・-
最後まで読んでくださってありがとうございました。
初恋のドキドキ・じれじれ楽しんで頂けていたら、幸いです。
ほっこり・じんわり大賞8位で終われました。
投票ありがとうございました。心より感謝申し上げます。
お陰様で第7回ほっこりじんわり大賞にて奨励賞を頂きました。
第18回恋愛小説大賞エントリーしました。投票頂けますと、とても嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
番外編のSSは俊介目線です。
ふわふわしていて、どこか夢見心地だった幸せな結婚式は、あっという間に終わった。
式の後、市役所の夜間受付に婚姻届を提出してきた。不備がなければ、私は小野彩綺になる。
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大家さんへの挨拶も済ませ、荷物も運びこんでいる。
けれど、私は式が終わるまで実家にいた。
何度も遊びにきているし、お泊りもしたけど、けじめをちゃんとつけたかった。
これから、ここが私の家になる。
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「どうしたの?」
お風呂の支度をしてくれた俊介さんがリビングに戻ってきた。
「嬉しさを実感しているの。新生活が始まるんだなあって。どきどきする」
「僕は、改めてどきどきはないかな」
「え? どうして?」
まさか、同じ気持ちじゃないの? と振り返る。
「彩綺さんがこの家にいるのが、もう当たり前になっているからね」
嬉しくて、俊介さーん、と甘えようとしたら、先にハグされた。
むぎゅっと力を込められる。
「だけど、毎日いてくれるのは、僕も嬉しい」
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安心する温もりを味わっていると、体が離れた。
「彩綺さん、これからよろしくお願いします」
「こちらこそ。俊介さん、末永くよろしくお願いします」
私たちは夫婦になって、最初のキスを交わした。
Fin
ー・-・-・-・-・-・-・-・--・-・-・-・-・-・-
最後まで読んでくださってありがとうございました。
初恋のドキドキ・じれじれ楽しんで頂けていたら、幸いです。
ほっこり・じんわり大賞8位で終われました。
投票ありがとうございました。心より感謝申し上げます。
お陰様で第7回ほっこりじんわり大賞にて奨励賞を頂きました。
第18回恋愛小説大賞エントリーしました。投票頂けますと、とても嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
番外編のSSは俊介目線です。
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最後まで拝読しました。
優しくて誠実な俊介さんのお人柄が優勝してますね。
お互いを思いやりながら壁を乗り越えていく二人の姿が微笑ましかったです。
彼らの未来にたくさんの幸せがあってほしい……と心から思わせてくれる、あたたかくて素敵な物語でした。
紫音さん、最後まで読んでくださってありがとうございます。
ピュアな恋愛を楽しんで頂けていたら、幸いです。
感想ありがとうございました。
完結お疲れ様でございました!
彩綺と俊介さんの淡い恋が、やがてしっかりとした絆となる過程、楽しませていただきました♪
両思いになってからが大変な二人の恋、少しずつ前進する姿と、それを見守る人々のあたたかさが素敵ですね。
雨になると現れる青年…私も彩綺と一緒にときめきました!
チャペルでの挙式の模様も、友人の目線から見た二人がまた素敵で。印象深いエンディングでした。
拝読させていただきありがとうございます♪
笹目先生、彩綺と俊介の初恋を見守ってくださって、ありがとうございます
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