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最期の贈り物――橘 修(享年55歳)

17. 幕間

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絹代、歩美。
今日はおじさんが来たよぉ。
死んだ自分が家族の前に現れて、家族は戸惑わないだろうかと、心配していたよぉ。
彼がなにより家族を大切に生きてきたことがよくわかる男だったねぇ。
結局、彼は会わない選択を貫いたようだねぇ。
つらいだろうに。
しかし、顔は清々しかったなぁ。
家族のために、満足のいくことをしてやれたのかなぁ。
律儀で真面目な男だったねぇ。
最期が私で良かったんだろうかねぇ。
家族の元に残る道もあったかもしれないのに、成仏を選ぶなんてなぁ。
私なら、二度と手放さないよ。絹代も、歩美も。
あとどれくらい待てば、二人は私のところに帰ってきてくれるんだろうねぇ。
私は信じているよぉ。
いつかきっと、二人が帰ってきてくれると。
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