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第一部
31 里心
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翌朝はあの強風と豪雨がなかったかのようにすっかり晴れ渡り、雨の名残は地面に水が溜まっていることぐらいだった。
狭い寝台で眠ったディーノとイレーネは、鶏の鳴き声とともに起きた。
イレーネは気恥ずかしそうに、しかし嬉しそうな様子で部屋を後にした。
ディーノは朝方うとうととしたものの、結局はほとんど眠ることができなかった。しょぼしょぼする目をこすり、ふあぁぁと大きな口を開ける。体勢を変えることができなかったせいか、身体が少し固まっていた。肩を上下に動かしてから、身支度を整えるため寝台から下りた。
長袖シャツの上にリノのお下がりのオーバーオールという普段着に着替え、家を出た。
村の中央に井戸があり、住人が水を汲みにきていた。朝の早い年寄り数人と、ふくよかで力自慢の女性と、小さい身体で早起きをしてお手伝いをしている兄弟と、「昨夜の雨は激しかったね」と挨拶を交わす。「家が飛んじゃうって思った」と興奮気味に話す弟に、「飛ぶわけないだろ」と冷静な兄。井戸端に笑いが起こり和やかな雰囲気に包まれる。
両手に桶を持って家に戻ると、イレーネも普段着に着替えて台所にいた。顔を洗い、二人で仲良く溜まっていた洗濯物をこすり、外に干す。今日もいつものように薪割りや木の実拾いなど、生活のための仕事が待っている。
その夜もイレーネは部屋にやってきた。頬を染め、「里心ついちゃったみたい」と甘えて擦り寄ってくる。
ディーノにはまたも眠れぬ夜となりそうだったが、くっついて眠ることに少しは慣れたのか、先に眠ってしまうイレーネの顔を見つめながら灯りをおとし瞼を閉じると、やがて眠ってしまった。
狭い寝台で眠ったディーノとイレーネは、鶏の鳴き声とともに起きた。
イレーネは気恥ずかしそうに、しかし嬉しそうな様子で部屋を後にした。
ディーノは朝方うとうととしたものの、結局はほとんど眠ることができなかった。しょぼしょぼする目をこすり、ふあぁぁと大きな口を開ける。体勢を変えることができなかったせいか、身体が少し固まっていた。肩を上下に動かしてから、身支度を整えるため寝台から下りた。
長袖シャツの上にリノのお下がりのオーバーオールという普段着に着替え、家を出た。
村の中央に井戸があり、住人が水を汲みにきていた。朝の早い年寄り数人と、ふくよかで力自慢の女性と、小さい身体で早起きをしてお手伝いをしている兄弟と、「昨夜の雨は激しかったね」と挨拶を交わす。「家が飛んじゃうって思った」と興奮気味に話す弟に、「飛ぶわけないだろ」と冷静な兄。井戸端に笑いが起こり和やかな雰囲気に包まれる。
両手に桶を持って家に戻ると、イレーネも普段着に着替えて台所にいた。顔を洗い、二人で仲良く溜まっていた洗濯物をこすり、外に干す。今日もいつものように薪割りや木の実拾いなど、生活のための仕事が待っている。
その夜もイレーネは部屋にやってきた。頬を染め、「里心ついちゃったみたい」と甘えて擦り寄ってくる。
ディーノにはまたも眠れぬ夜となりそうだったが、くっついて眠ることに少しは慣れたのか、先に眠ってしまうイレーネの顔を見つめながら灯りをおとし瞼を閉じると、やがて眠ってしまった。
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