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第三部 最終話

3 日程調整(ピエール目線)

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 なにやら嬉しそうな様子のディーノの背を見つめていた先生に呼ばれ、ピエールは近くに行った。

「近く、リノさんのところに行きたいんだがな。日程を見てくれんか」

「はい」

 云われて鞄から取り出した手帳を開いて確認する。

「行けなくはないですね。マウロとも相談してみましょう」

「頼む」

 手帳から顔を上げると、先生の視線はディーノを追っていた。

「ディーノですか?」

「ああ。もう八年になるなと思ってな」

「そうですね」

 ディーノはガラスで作られた小さな置物を見ている。と思ったら、別の物に視線をやった。魅力的な物がたくさんで目移りしているようだ。

「ディーノはよくやってる。何か褒美でもと思ってな」

「なるほど。それで嬉しそうだったんですね。長らく帰郷できていませんからね」

「今は、リノとロゼッタさんへの土産に悩んでるようだ」

「良い物が見つかるといいですね」

「親代わりのあの二人なら、ディーノが選んだ物なら何でも喜ぶだろうな」

「そうだと思います」

 ディーノは別の店に行ってしまった。

 先生が公爵夫妻への土産を買うと云うので、ピエールも一緒に選ぶことにした。

 貴族なら珍しい物は誰かから献上されるだろうし、豪華な物も見慣れているだろうし。とこちらもあれやこれや迷ったあげく、王道だがパルディアの特産品である。ガラス工芸を選んだ。

 持ち手に華やかな装飾がされたペアのゴブレットを買い、道中割れないようにと木箱に乾燥させたクローバーをたっぷり敷いてもらった。

 別行動をとっていた一同が合流し、買ったものを片手に一旦宿へ戻った。
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