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子オオカミと二匹の子ブタ
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オオカミのミコちゃんには推しがいます。
となりのクラスの双子姉妹、子ブタのポーちゃんとルコちゃんです。
ちっちゃくて、つやつやでピンク色のきれいな肌をしていて、細いしっぽがかわいいのです。
ミコちゃんはかわいいものが大好きなので、見ているときゅんとしてしまいます。
ミコちゃんは、自分に自信がありません。
人と話すのが苦手だし、男子よりも体が大きいのが恥ずかしいのです。特に太いしっぽが大嫌い。ぜんぜんかわいくないからです。
姉妹はいつも一緒で、仲がとても良くて、
「いいなあ~」
と思って見つめています。
姉妹はきれい好きで、お掃除がとても上手。
お掃除ありがとう、と伝えたいのに、ミコちゃんは双子姉妹に話しかけられません。
同学年なのに、憧れているせいで、いつもより緊張してしまうのです。
子ブタの双子には推しがします。
クラスメイトのオオカミのミコちゃんです。
運動が得意で、いじわるな男子に負けない大きな体。ふさふさの立派なしっぽ。
それにミコちゃんはとても優しいのです。
手が届かない棚の本を取ってあげているのを、図書館で見たことがあります。
話す声も穏やかで、柔らかくて、姉妹は癒されるのです。
ミコちゃんは人前に出るのが苦手みたいで、よくもじもじしています。
「そこがかわいいのよね」
「ねえ」
ミコちゃんについて二人でよく話します。
お友達になりたいのに、話しかけようとすると、ミコちゃんは顔を真っ赤にして逃げてしまうのです。
足が速いので、運動が苦手な双子姉妹には追いつけません。
小学校でお泊り会がありました。
近くの川で水遊びをして、上級生が作ってくれたカレーを食べて、校庭でキャンプファイヤーをしました。
体育館でふとんをしいて、みんな好きな場所で寝ます。
興奮していてみんななかなか眠らなかったけれど、一日たっぷり遊んだので、騒いでいた声は静かになっていきました。
たまに寝ぼけた声で、もっと食べる、遊ぶの、などの声が聞こえてきますが、ほとんどの子供が、寝ています。
「眠れないね」
「お家に帰りたいよ」
双子姉妹は心細くなってしまいました。ひとつのふとんで一緒に横になっています。おうちと同じように。
「パパー」
ポーちゃんが呼ぶと、
「ママ―」
ルコちゃんもさびしくなって、呼んでしまいました。
今日は、一緒に寝ているパパとママはいません。
ポーちゃんがしくしくと泣きだしてしまいました。
すると、ルコちゃんもしくしくと泣き始めました。
ふとんをかぶって、体を寄せ合い、泣いています。
「眠れないの?」
小声で誰かが話しかけてきました。
ゆっくりとふとんをめくると、暗闇に慣れた目に、クラスメイトの姿がうつりました。
姉妹のとなりで眠っていたのは、オオカミのミコちゃんでした。
「大丈夫?」
いつものミコちゃんの優しい話し方に、姉妹は安心して泣き止みました。
「いつも、ママとパパと一緒だから」
「二人だと寂しいの」
姉妹が答えると、ミコちゃんが、
「え?! 双子ちゃん?!」
なぜだか、慌てだしました。
お互い、誰がとなりにいるのか知らなかったのです。
「ミコちゃんは平気なの?」
「ひとりは、寂しくないの?」
姉妹に質問されて、ミコちゃんは、
「へ……平気……だよ」
と、人前でもじもじしている時の話し方になっていました。
「わたし、いつも、ひとりで寝てるから」
「ミコちゃん、すごおい」
「ね、すごおい」
「そそそ……そんなこと、ないよ」
姉妹に褒められて、ミコちゃんはもっと慌てています。
「ねえ、ミコちゃん。お願いがあるの」
「ミコちゃんのしっぽ、気持ちよさそうだから、触らせて欲しいの」
ポーちゃんとルコちゃんは、いつも二人で話していることを、ミコちゃんにお願いしてみました。
「えええ! しっぽ? 私のしっぽなんて、気持ちよくないよ」
姉妹はミコちゃんのしっぽを心から褒めます。
「ぜったい気持ちいいよ」
「ふさふさしてるもん。わたしたちと違って」
「双子ちゃんのしっぽの方が、かわいいよ。肌もとてもきれいだし」
「ミコちゃんだってステキよ」
「ステキよ」
暗闇のおかげなのか、お互いに本音を伝えあっていました。
「じゃあ、いいよ。気持ちよくなかったらごめんね」
姉妹の思いが通じて、ミコちゃんは願いをきいてくれました。
ぽふっとやってきたしっぽに、姉妹はふれます。
「気持ちいい」
「あったかあい」
姉妹が想像していた以上に、ミコちゃんのしっぽは柔らかくてもふもふしていました。
「そ、そうかな……じゃあ、眠れるまでしっぽにくるまっていていいよ」
「いいの!?」
「うれしい」
ミコちゃんの提案が嬉しくて、姉妹はしっぽにくるまりました。
パパやママと違う感触。それなのに、とても落ち着きます。
双子姉妹は寂しくなくなって、安心すると眠くなってきました。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
小さくあくびをした姉妹とミコちゃんは眠りにつきました。
翌日から、三人は仲良くなり、お友達になりました。
となりのクラスの双子姉妹、子ブタのポーちゃんとルコちゃんです。
ちっちゃくて、つやつやでピンク色のきれいな肌をしていて、細いしっぽがかわいいのです。
ミコちゃんはかわいいものが大好きなので、見ているときゅんとしてしまいます。
ミコちゃんは、自分に自信がありません。
人と話すのが苦手だし、男子よりも体が大きいのが恥ずかしいのです。特に太いしっぽが大嫌い。ぜんぜんかわいくないからです。
姉妹はいつも一緒で、仲がとても良くて、
「いいなあ~」
と思って見つめています。
姉妹はきれい好きで、お掃除がとても上手。
お掃除ありがとう、と伝えたいのに、ミコちゃんは双子姉妹に話しかけられません。
同学年なのに、憧れているせいで、いつもより緊張してしまうのです。
子ブタの双子には推しがします。
クラスメイトのオオカミのミコちゃんです。
運動が得意で、いじわるな男子に負けない大きな体。ふさふさの立派なしっぽ。
それにミコちゃんはとても優しいのです。
手が届かない棚の本を取ってあげているのを、図書館で見たことがあります。
話す声も穏やかで、柔らかくて、姉妹は癒されるのです。
ミコちゃんは人前に出るのが苦手みたいで、よくもじもじしています。
「そこがかわいいのよね」
「ねえ」
ミコちゃんについて二人でよく話します。
お友達になりたいのに、話しかけようとすると、ミコちゃんは顔を真っ赤にして逃げてしまうのです。
足が速いので、運動が苦手な双子姉妹には追いつけません。
小学校でお泊り会がありました。
近くの川で水遊びをして、上級生が作ってくれたカレーを食べて、校庭でキャンプファイヤーをしました。
体育館でふとんをしいて、みんな好きな場所で寝ます。
興奮していてみんななかなか眠らなかったけれど、一日たっぷり遊んだので、騒いでいた声は静かになっていきました。
たまに寝ぼけた声で、もっと食べる、遊ぶの、などの声が聞こえてきますが、ほとんどの子供が、寝ています。
「眠れないね」
「お家に帰りたいよ」
双子姉妹は心細くなってしまいました。ひとつのふとんで一緒に横になっています。おうちと同じように。
「パパー」
ポーちゃんが呼ぶと、
「ママ―」
ルコちゃんもさびしくなって、呼んでしまいました。
今日は、一緒に寝ているパパとママはいません。
ポーちゃんがしくしくと泣きだしてしまいました。
すると、ルコちゃんもしくしくと泣き始めました。
ふとんをかぶって、体を寄せ合い、泣いています。
「眠れないの?」
小声で誰かが話しかけてきました。
ゆっくりとふとんをめくると、暗闇に慣れた目に、クラスメイトの姿がうつりました。
姉妹のとなりで眠っていたのは、オオカミのミコちゃんでした。
「大丈夫?」
いつものミコちゃんの優しい話し方に、姉妹は安心して泣き止みました。
「いつも、ママとパパと一緒だから」
「二人だと寂しいの」
姉妹が答えると、ミコちゃんが、
「え?! 双子ちゃん?!」
なぜだか、慌てだしました。
お互い、誰がとなりにいるのか知らなかったのです。
「ミコちゃんは平気なの?」
「ひとりは、寂しくないの?」
姉妹に質問されて、ミコちゃんは、
「へ……平気……だよ」
と、人前でもじもじしている時の話し方になっていました。
「わたし、いつも、ひとりで寝てるから」
「ミコちゃん、すごおい」
「ね、すごおい」
「そそそ……そんなこと、ないよ」
姉妹に褒められて、ミコちゃんはもっと慌てています。
「ねえ、ミコちゃん。お願いがあるの」
「ミコちゃんのしっぽ、気持ちよさそうだから、触らせて欲しいの」
ポーちゃんとルコちゃんは、いつも二人で話していることを、ミコちゃんにお願いしてみました。
「えええ! しっぽ? 私のしっぽなんて、気持ちよくないよ」
姉妹はミコちゃんのしっぽを心から褒めます。
「ぜったい気持ちいいよ」
「ふさふさしてるもん。わたしたちと違って」
「双子ちゃんのしっぽの方が、かわいいよ。肌もとてもきれいだし」
「ミコちゃんだってステキよ」
「ステキよ」
暗闇のおかげなのか、お互いに本音を伝えあっていました。
「じゃあ、いいよ。気持ちよくなかったらごめんね」
姉妹の思いが通じて、ミコちゃんは願いをきいてくれました。
ぽふっとやってきたしっぽに、姉妹はふれます。
「気持ちいい」
「あったかあい」
姉妹が想像していた以上に、ミコちゃんのしっぽは柔らかくてもふもふしていました。
「そ、そうかな……じゃあ、眠れるまでしっぽにくるまっていていいよ」
「いいの!?」
「うれしい」
ミコちゃんの提案が嬉しくて、姉妹はしっぽにくるまりました。
パパやママと違う感触。それなのに、とても落ち着きます。
双子姉妹は寂しくなくなって、安心すると眠くなってきました。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
小さくあくびをした姉妹とミコちゃんは眠りにつきました。
翌日から、三人は仲良くなり、お友達になりました。
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