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なんか凌の周りには男が多い気がする。

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ー時は5分前に遡るー

「よいっ、と」

「ナイスパー!」

「おーう」

俺の名前は青崎 悠斗(あおさき ゆうと)。今は放課後。部活に入っている人は皆、部活をしている頃だ。
もちろん俺もその1人で、俺はサッカー部に入っている。
で、今とてつもなくピンチな状況に陥っている。
何がピンチなのかって?
それは………

「ばっかもーん!何考えとんじゃ、お前は!」

「す、すみませ~ん………」

この爺さん(顧問)による、説教だ。
ん?何?「よいっ、と」とか「ナイスパー!」って言ってたと思った?
んなわけないじゃん。だって俺あんまああやって大声出すの苦手だからさぁ、っと、今はとりあえず、この爺さんから逃れる方法考えないとなぁ、

「目を泳がすな!何気まずそうにしとんのじゃ!」

「だっ、だってぇ~」

「「だってぇ~」じゃない!」
「そもそも、なぜわしの大切にしていた、トロフィーを壊したんだ!」

「こ、壊してはいません!誤解です!」

「あぁ、ボール蹴ってたら当たったって?」

「はい、そうです!故意的にやった訳ではありません!」

「ほう、ちなみにボールを蹴ったのは認めるんじゃな?」

「は、はい!」

「ふーん、ちなみにこのトロフィーを飾っていた場所は覚えているか?」

「ば、場所は確か………はっ!」
「え、ええっとぉ……や、やっぱりボール蹴ってなかったかも、かも知れません………」

「おうおう、さっき言ってたのは違ったってことか?」

「はいぃ……」

「まぁなぁ、普通に考えてこのトロフィーが飾られていた、「部室」で、サッカーボールを蹴るアホなんて、居るわけないよなぁ~、この部には~」

「そうですよ!そんな奴居たらぶっ飛ばしますよ、この俺が!」

「ではもし、そういうお前が、そのぶっ飛ばす対象となったら……?」

「えっっとぉ、、、」
「あっ!教室に忘れ物したんで、取りに行ってきまーす!」

「あ!?おい、ちょっと待てー!」
「なんなんだ、忘れた物はー!」

「えっとぉ………」
「あっ!」
「今日配られた、家庭の事情相談のチラシでーす」

「なんだとー!」
「って、お前、そういうのはまず、担任に相談しろよおぉぉぉぉ………」

「うっお、すっげ、めっちゃ「お」伸びてんじゃん」
「にしても、言ったからには、取りに行かねぇとなぁ。まっ、逃げれたからいいけどさぁ、」

「っと、あったあった、」
「にしても、教室の鍵開いとってラッキーだったな、マジで」
「まぁ、帰ってくるの遅かったら、あの爺さんにまた叱られそうだし、さっさと戻るかぁ~、」

トットット……

「ふぅ、靴も履けたし、戻るか~、いや、まだもうちょっとサボれたりするかなぁ?」
「トイレ、行けるよな?」
「よし!トイレ行こう!………って言っても、行くのはここから1番近くの、近くに生徒会室があるとこのトイレだな!」

タッタッタ………

「ふぅ、トイレも終わったし、そろそろ戻りますかなぁ~、」

ドンッ

「んっ?何の音だ?」
「!」
「影見える、、え、この人、もしかして、しゃがんでる!?もしかして具合悪いのか!?」

ドッドッ

「鍵しまってるしぃ………」
「えっとぉ、確か前に翔(かける)が………」





「なぁ翔~、面白い話してよ~」

「悠斗、そんな事言う暇あるんなら、宿題やったら?」
 「僕も一緒に居ることだしさ、」

「別に集中できる場所が欲しかっただけだから、翔は居なくても良かったんだけどなぁ、」

「ん?なら生徒会室閉めるね」

「うそうそ、冗談冗談!」
「翔は、俺の大切な友達だ。俺は翔の冗談を、笑って受け止める。だから、翔!俺の冗談も笑って受けt」

「はいはい、早く宿題やってください、」

「えぇ~、じゃあ面白くなくてもいいから、なんか雑学みたいなん教えてよ~」

「雑学かぁ、あ、知ってる?」

「ん、何が?」

「この学校の生徒会室の隣には生徒指導室があるのは知ってるだろ?」

「ああ、そりゃな」

「元はこの2つの部屋は、繋がってたらしいんだ。」

「へぇ、」

「結構前に大きな工事があったらしくて、その工事の目的の中に、「生徒指導室を追加する」っていうのがあったみたい。」

「ほーん、」

「で、その時に、あまり使われてなかった生徒会室の半分を、生徒指導室として、新しく作り変えたらしいよ。」

「ほーん、」

「ねぇ、聞いてる?」

「うーん、、、」
「雑学飽きたぁ」

「なっ!?」
「はぁ、なら大人しく、宿題やったら?」

「それも嫌なんだよなぁ~」

「何なんだよ!」





「って事があったなぁ…」
「あっ!」
「確か生徒指導室は前は生徒会室の半分だったんだよな、ならもしかして、生徒会室の鍵を使ったら………」

ガチャッ

「ビンゴ!」
「……って、えっ!?凌!?………と、バインダー先生!?」
「なっ、なんでこんなとこ……」
(りょ、凌の服、ボタン外れて、肌見えてる………)

「ゆ、ゆうとぉ…」

「!!」
(か、かわいいーーーーーーーーーー!!!!!半泣き&とろけ顔!優勝!凌がいちばんかわいい!世界一!!)

「た、たすけ、てぇ…」

「!!」
「ごっ、ごめん、フリーズしてた、」
「だ、大丈夫か?」

「う、うんっ……」

キュッ……

「!!!」
(なぁっ、こ、これはまさか、そ、袖掴みぃ!!!女の子にされたらキュンとくる仕草の上位に君臨するやつじゃないか!!!俺、好きな女子とかいなかったし、あんま実感なかったけど、こ、こんなにくるもんなのかー!!!!!!!!!!)

「っ…、ゆうと…」

「!」
「りょ、凌……」
(……これって、状況から見て、先生が、やったんだよなぁ、こ、こういう時って、どうすればいい、んだ……)

「青崎、」

「!」
「せ、先生………」

「はぁ、…俺の教育人生も、ここまでか」

「………」

「ん?どうしたぁ、あおざk」

「先生、あのっ、どうしてこんな事を?」
(先生なら、こんな、凌を傷つけることなんて、絶対、しないのに………)






前の担任(変わったわけでは無いが)、遥先生がいた時、先生は、俺たちの学年の数学を担当していた。
今は遥先生が妊娠した事で、一時的に俺たちの担任になっているだけだ。

先生は、俺たちの担任になったことにより、いつも以上に忙しくなったと言っていた。1クラスの担任&生徒指導の先生&数学の先生、そりゃあ大変だ。

先生が担任になって数週間が過ぎ、先生は数学の担当から外れた。
俺たちと真剣に向き合うためだと言っていた。
まぁ、今でも臨時で数学の授業をする時もちょくちょくあるが。



まぁ、ここまでは、凌やクラスの皆が知っていることだ。

で、ここから先のことは、きっと、俺しか…いや、恐らく遊佐も知っていることだろう。

………先生は、恐らく、いや、ほぼ確定で、「凌のことが好きだ」。それも、友情とか母性とかそういう話では無い。恋愛の話だ。

俺は凌が好きだ。好きだから、目で追ってしまう。好きだから、周りの奴に嫉妬してしまう。

俺と凌が会ったのは、高校1年の時、そう、今から1年前のことだ。

今は友達も、片手で数えきれないくらいにはいる俺だが、1年前は違った。

俺がピアスを開けていることが入学早々に生徒たちにバレて、危険なやつ扱いされ、そのせいでクラスの誰とも馴染めてなかった時、凌が、話しかけてくれた。小刻みに震えた手を前に出して、「よろしく!」って。

その時から俺は、凌のことしか考えられなくなるくらい、凌のことが好きになった。

その日から俺は、凌の周りにいる奴のことを調べるようになっていった。凌に危害を加えそうな奴かどうか、凌に好意を持っているかどうか、とかだ。

だから、最初から見ていた。知っていた。

先生の、凌に対する、溢れ出るような好意のことを。

先生が、凌のどんなところを好きになったかは知らない。
が、先生が凌と会う度に、凌に対する好意が増え続けていたのは知っている。

態度、行動、話し方。俺や他の生徒とは、全然、大違いだ。

大違いといっても、まぁ、他の人にとっては本当に気づかないぐらい小さなことだ。だが、俺にとっては大違いだ。



そのことに気づいた時から、俺はもう、先生のことが嫌いだった。
そりゃ、敵だもの。しかも、だいぶ手強い系の。

俺が今、統計している、危険人物ランキングでも、1位2位を争っているほどだ。

〔ちなみに、その先生と、1位2位争っている相手は、皆おなじみ、遊佐くんだよ!  By 作者〕

「危険人物」というのは、凌のことを俺から奪いそうな奴のことを指している。


先生と1位2位を争っている、遊佐とは、2年になって初めて一緒のクラスになったが、凌と中学が一緒で、すごく仲がいいことと、凌のことが好きだと言わんばかりの言動で、すぐに上位にランクインした。



まぁ、今までの話を簡単にまとめるなら、俺が知っている限り、先生は何があったとしても、「絶対に、凌だけは傷つけない人」だ。
なのになぜ、なんで先生は………






「………」
「青…崎、……すまん、」

「っ!!!」
(これはっ、今の「すまん」は、一体、何に対してなんだ!)
(でも、今はひとまず……)
「凌、立てる?」

「…うん、、」

「ん、なら、隣の、生徒会室で少し休んでて」

「えっ、でも、鍵が…」

「ふっ……」
「凌、俺は、友達の数は遊佐よりも少ないが、親密度に関しては、遊佐が驚くくらい、すげぇんだぞ」

チャリン

「ほらよっと、」

「えっ、これ、生徒会室の…鍵?」

「うん、そうだよ。」
「今日部活が終わったら、書類をまとめる約束を、現生徒会長兼、俺の友達の翔(かける)としていてね。俺の方がいつも部活終わるの早いから、鍵を渡してもらってたんだ。」
「まさか、こんな形で使うとは思わなかったけど」

「あ、ありがとう……」

「ん、」

「え、えっと、悠斗は、どうするの?」
「こ、この後、、この人と………」

(「この人」か………はぁ、嫌われてしまったな、これ)

「大丈夫、心配すんなよ、」
「すぐ終わるから。っていうか、すぐ話終わらせないと、俺まだ部活あるし」

「えっ!ぶ、部活はいいの?」

「いいよいいよ、」
「今はそれどころじゃないし、俺今まで結構、途中で部活サボること多いから、今回もそう思われて終わりだと思うし」

「そ、そうなんだ……」

「まぁ、大人しく待っとけって」
「なっ!」

ニコッ

「う、うん…!」
「ま、待ってる!」

「おう!」

ガラガラガラ

ピシャッ

「「……………」」

「ま、そこにちょうど、2人分のイスありますし、ゆっくり……と言っても、気持ち早めに喋りましょうよ」

「………」
「……はぁ、」
「そうだな、」

(さぁ、どうやって理由聞き出しましょうかねぇ………)
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