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第一部
本物と偽物
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本物のヤンキーこと、僕をパシってくる金づるは正直今どっちの敵なのか分からないので、イキリヒューマンにコイツ金持ってますよ! とジェスチャーをしようとした。
しかし、イキリヒューマンはそれどころではなさそうだった。ヤンキーの鋭い目つきに絡め取られたかのように、一切動くことができずにいた。
わずかにガクガクと揺れる足がもの寂しさを感じさせる。これがワビサビかもしれない。
「オイ」
「は、ハイッ」
無駄に背が高いのと顔が整っているのもあって、威圧感が強い。僕絶対あそこの位置にいたくない。
どんどんイキリヒューマンの足のブレが大きくなっている。とうとう足が4本あるように見えてきた。タコ足も目指せるかもしれない。
どうだ? いけるか!?
タコ足が達成できる前に、イキリヒューマンはぱたりと倒れた。一体何が起きたんだ……?
「……忘れモン」
殴り合いもなく終わってしまった。そんなヤンキーの次の標的は僕のようだ。握りこぶしを僕に真っ直ぐ向けてくる。
な、なんだ……? 衝撃波か……?
ジリリと後ろに下がる。
この拳はなんなんだ? 殴るにも届かない距離。警戒心が高まる。
いや待てよ。今ヤンキーは忘れ物だと言った。僕が忘れた物をわざわざ持ってきてくれたのか?
だけど拳に入る忘れ物ってなんだ。消しゴムか?
消しゴム届けに学校の外まで来るって馬鹿じゃない?
「うだうだしてねぇで早く受けとれ」
ヤンキーに急かされて、僕は拳をヤンキーの拳に合わせた。アツい青春物のワンシーンができた。
「……いや、それは違うだろ……違くないのか? いいのか……?」
ブツブツとヤンキーが呟く。
これでいいんだよ。知らんけど。
しかし、イキリヒューマンはそれどころではなさそうだった。ヤンキーの鋭い目つきに絡め取られたかのように、一切動くことができずにいた。
わずかにガクガクと揺れる足がもの寂しさを感じさせる。これがワビサビかもしれない。
「オイ」
「は、ハイッ」
無駄に背が高いのと顔が整っているのもあって、威圧感が強い。僕絶対あそこの位置にいたくない。
どんどんイキリヒューマンの足のブレが大きくなっている。とうとう足が4本あるように見えてきた。タコ足も目指せるかもしれない。
どうだ? いけるか!?
タコ足が達成できる前に、イキリヒューマンはぱたりと倒れた。一体何が起きたんだ……?
「……忘れモン」
殴り合いもなく終わってしまった。そんなヤンキーの次の標的は僕のようだ。握りこぶしを僕に真っ直ぐ向けてくる。
な、なんだ……? 衝撃波か……?
ジリリと後ろに下がる。
この拳はなんなんだ? 殴るにも届かない距離。警戒心が高まる。
いや待てよ。今ヤンキーは忘れ物だと言った。僕が忘れた物をわざわざ持ってきてくれたのか?
だけど拳に入る忘れ物ってなんだ。消しゴムか?
消しゴム届けに学校の外まで来るって馬鹿じゃない?
「うだうだしてねぇで早く受けとれ」
ヤンキーに急かされて、僕は拳をヤンキーの拳に合わせた。アツい青春物のワンシーンができた。
「……いや、それは違うだろ……違くないのか? いいのか……?」
ブツブツとヤンキーが呟く。
これでいいんだよ。知らんけど。
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