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第2章王都・エルドラド編
第一部・第7王女 最終話
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(・・・ここは・・・?)
エストラーダ皇国王都・エルドラドに建つ王城。王族しか立ち入れない場所にある、とある部屋に備え付けられてある天蓋付きのベッドで目を覚ました存在があった。
その存在は上体を起こしながら周囲を確認しようとする。だが、後頭部に残る痛みに顔をしかめ、痛みのする部分を手で押さえる。
(そうだ、あの王女様に)
後頭部を手で押さえながら直前の記憶を辿っていくと、記憶が途切れる直前に、ある少女によって押し倒されたことを思い出す。と同時に、今いる場所がどんな場所なのかに見当をつけたようで、すぐにベッドから出る。すると、何の前触れもなく扉が開く音がした。
「あら、お目覚めになられたのですね」
「・・・王女様」
扉が開くと同時に、彼の居る部屋へと光が入ってくる。
その光は扉を開けた人物の黄色い髪を照らし、そのままベッドの傍に立つ人物の髪を青みのある灰色に照らす。
「あら、王女様だなんて他人行儀に呼ばないでくださいまし。私にはアリシアという名前があるのですから」
エストラーダ皇国第7王女・アリシアが呼び方について指摘する。だが、王女のことを一般市民である彼が呼び捨てにするということは不敬罪に値する。
そのため彼はアリシアの指摘に対して困った表情になっていく。すると――
「そう言えば、お名前も聞いていませんでしたわ。といっても、知ってはいるのですけれど、やはり直接お伺いしたいですわ」
アリシアが名前を名乗るように告げる。
「リオ」
そんなアリシアに対して名前だけを口にする彼ことリオ。
「リオ様ですわね。では、私のことは――」
「悪いけど、王女様のことは名前で呼ばないよ」
そうして口を開いたアリシアに対し、何となく嫌な予感がしたリオが先回りをして釘を刺す。
「あら、それは困りましたわね・・・ですが、リオ様の話し方を不敬罪として、無理矢理呼ばせることもできるのですよ?」
「それなら改めさせていただきます、王女様」
「あ・・・」
アリシアが次のカードを切った瞬間に敬語となるリオ。そしてリオの行動に対して自ら墓穴を掘ったことを察したアリシアが小さく声を漏らした。
だが、何としてもリオに名前で呼ばせたい様子のアリシアがさらに策を巡らせる。
「・・・かくなる上は、王女として命じます!」
「それなら、僕は二度とここには来ません」
「な、ならついていきます!」
「それなら「聖騎士団」の人たちに事情を話して国王様に止めてもらいます」
あの手この手を巡らせるアリシアをあしらっていくリオ。だがリオが「国王」というワードを出すと、アリシアが勝ち誇った表情を浮かべる。
「それなら問題はありません。先ほどリオ様に言われた通りに私の思いをお話ししまして。その時にリオ様とお友達になっていいと言われましたの」
アリシアの台詞を聞いたリオは、その次に続くであろう言葉に見当がついた。――いや、ついてしまったのである。
「お友達は名前で呼び合うものでしょう?ですから、リオ様も」
そして次の瞬間、アリシアが口にした台詞に戦慄しながら愕然とするリオ。なぜなら、アリシアの台詞で逃げ道はどこにも無いと悟ったからである。
そうして逃げ道が無いことを悟ったリオが、一番問題なく収まりそうな方法を模索する。
(・・・・・・なんて言ったらその流れになったのかは気になるけど、ここでそれを聞いたら余計話がこじれそうだし、下手をしたら今度は「呼び捨てで!」とか言われそうだから、素直に従おう・・・)
そう考えたリオは、期待を込めた眼差しを向けてくるアリシアに対して口を開く。
「・・・アリシア様」
「はい、なんでしょう?」
リオに名前を呼ばれ、ワクワクした様子でリオのことを見るアリシア。だが待てども待てども何も言ってこないリオに対して口を開く。
「リオ様、まさか呼んだだけ、ということはありませんわよね?」
「えっ!?・・・あ、いや、どんな話がいいか考えていただけです!」
「・・・私、様付けでは納得いきませんわ。ですから――」
慌てて返事を返したリオの言動を不満に思ったのか、アリシアがそう口にする。すると、そんなアリシアに対してリオが話題を振る。
「そ、そうだ!僕はいつになったらここから出られるんですか?――実は、泊まっている宿屋に一緒に旅をしている子がいて」
慌てて思いついた話題を振ったリオ。だがそれによってアリシアからの更なる無茶ぶりは回避できたようで、アリシアがリオの台詞に対して口を開いた。
「それなら場所さえ教えていただければ皆様まとめて王城に――」
「いや、王城まで連れてこないで!?そうじゃなくて、僕をここから返してくれればいいから!」
アリシアの口にした台詞に対して思わず素でツッコんでしまうリオ。だがアリシアの方は特に気に留めた様子もなく言葉を続ける。
「未来の夫たる殿方と一緒に居たいと思うのは当たり前でしょう?それに、王城に居れば宿代もかかりません。まさにウィンウィンではありませんか」
「僕は全くそう思わないんですけど・・・」
「あら、私がウィンウィンであれば問題ありません」
「ウィンウィンとは」と尋ねたくなるようなアリシアの台詞を聞いて、肩を落としながら思わず溜息を零してしまうリオ。
そんなリオに対しアリシアの方はというと、にこにこと笑顔を浮かべながら肩を落とすリオの顔を眺めていた。
それからしばらく、アリシアと会話――もとい、一方的な好意を見せられ続けたリオの元へ、別の人物が現れた。
「いつまで経っても来ないから来てしまったぞ、アリシア」
リオ達の元へと姿を現した人物とは、アリシアの父親である現国王、ヴェルサリア・フォン・エストラーダだった。
リオは直接の面識はないが、王女であるアリシアが「お父様」と呼んだことで国王だと勘づいたリオは、すぐさま跪く。
「あら、お父様。ごめんなさい、リオ様とお話が弾んでしまいまして」
(弾んだ覚えは一切ないんだけど)
はたして「今までの会話の中で会話が弾んだと言えた場面があっただろうか?」と考えたリオは、会話が弾むどころか無茶ぶりを聞いていただけだと感じる。
だが、流石に国王の前で口を開くことは控えたのか、アリシアの台詞に対して内心でツッコむリオ。
「・・・リオ様、今私のことを馬鹿にいたしましたか?」
すると、父親のことを見ていたはずのアリシアがリオに対して尋ねる。
だがここで「その通りです」などと答えれば、どうなるかは火を見るより明らかである。だが、背後にいるはずのリオの心中を言い当てたアリシアに対し、リオは動揺してしまう。
「どうやらその通り――というよりは、何かを考えていていたようだな。・・・してリオ、といったな?」
リオの表情を見たヴェルサリアが、跪いたままのリオの姿を見ながらリオに対して提案を持ちかける。
「そなたが我が娘を王城まで連れて来たことはアリシアの話で分かっている。――その上で聞きたいのだが、今は冒険者か?」
リオの姿を見たまま、ヴェルサリアが確認を取る。
「はい。ほんの数日前に」
「そうか。なら、娘の学びの為に、そなたに同行させては貰えぬだろうか」
リオが冒険者であることを確認したヴェルサリアがそう口にする。
求め方はお願いするようではあるが、現国王からの言葉とあれば、それはもはや「命令」である。それを断ればどうなるかは言うまでもないだろう。
だがリオは国王の言葉に対し、拒否する姿勢を見せる。
「それは――お断りさせていただきます」
庶民に拒否されるとは思っていなかったのか、ヴェルサリアが意外そうな声を上げる。
「ほう・・・。理由を聞こう」
「命を預ける仲間は自分で決める。それが冒険者だからです」
「ふむ、なるほどな。・・・そういう事なら、わしが話した話は忘れてくれ。わしとて、同じ立場ならそう言うと思ったからな」
リオの理由を聞いて納得するヴェルサリア。
冒険者や傭兵は常に死と隣り合わせの職業であり、ただの採取任務であっても、一歩町の外に出ればその瞬間からいつ死んでもおかしくない。
それ故に、仲間となる人間は慎重に選ばなければならない。――もしもの時に狩られるだけの集団であれば、命を落とすだけでなく周囲にまで迷惑をかけるからだ。そのため新規のパーティを結成する際は、それだけの為に実戦による別の試験があるほどである。
「え、リオ様と一緒にいられないのですか・・・?」
リオとヴェルサリアの会話を聞いたアリシアが声を上げると、父親であるヴェルサリアが頷く。
その光景を見たアリシアはというと――
(なら、何としてもリオ様についていきますわ)
次の失踪計画を企んでいたのだった。
「メイン、ふぐお、明日ここを出るよ」
その後ヴェルサリアの計らいにより、速やかに且つ何事もなく宿屋まで戻ることのできたリオは、宿屋の正面でリオの帰りを待っていたメインとふぐおに対し、翌日王都を発つ話をしていた。
切羽詰まった様子のリオに対し、不信感を抱くメイン。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「実は――」
そんなメインに対して今日出会ったアリシアのことを話すリオ。
すると、メインは頬を膨らませながら文句を口にする。
「お兄ちゃん、メインとの約束を破って女の子に会ってたの?」
「いや、あれはほとんど無理矢理――」
「むぅー」
メインの口にした文句に対してリオが言い訳を口にしようとするが、メインがフグのように頬を膨らませたのを見て口を閉じる。
「・・・とにかく、このままだと色々と面倒なことになりそうなんだ」
相変わらず頬を膨らませてご機嫌斜めな様子のメインに対して簡潔に伝えるリオ。するとメインの方は、頬を膨らませたまま頷いた後に口を開く。
「お兄ちゃんが困るってことは、メインも困るってことだよね」
「・・・そうだね」
メインの口にした台詞を聞いて同意するリオ。なぜならリオが足止めを食らうと、彼と共に行動するメインとふぐおも足止めを食うからであった。
「それじゃ、明日出発するね」
「うん」
そうして宿屋に入っていったリオとメインは、翌日の早朝に王都の東門を旅立ったのだった。
エストラーダ皇国王都・エルドラドに建つ王城。王族しか立ち入れない場所にある、とある部屋に備え付けられてある天蓋付きのベッドで目を覚ました存在があった。
その存在は上体を起こしながら周囲を確認しようとする。だが、後頭部に残る痛みに顔をしかめ、痛みのする部分を手で押さえる。
(そうだ、あの王女様に)
後頭部を手で押さえながら直前の記憶を辿っていくと、記憶が途切れる直前に、ある少女によって押し倒されたことを思い出す。と同時に、今いる場所がどんな場所なのかに見当をつけたようで、すぐにベッドから出る。すると、何の前触れもなく扉が開く音がした。
「あら、お目覚めになられたのですね」
「・・・王女様」
扉が開くと同時に、彼の居る部屋へと光が入ってくる。
その光は扉を開けた人物の黄色い髪を照らし、そのままベッドの傍に立つ人物の髪を青みのある灰色に照らす。
「あら、王女様だなんて他人行儀に呼ばないでくださいまし。私にはアリシアという名前があるのですから」
エストラーダ皇国第7王女・アリシアが呼び方について指摘する。だが、王女のことを一般市民である彼が呼び捨てにするということは不敬罪に値する。
そのため彼はアリシアの指摘に対して困った表情になっていく。すると――
「そう言えば、お名前も聞いていませんでしたわ。といっても、知ってはいるのですけれど、やはり直接お伺いしたいですわ」
アリシアが名前を名乗るように告げる。
「リオ」
そんなアリシアに対して名前だけを口にする彼ことリオ。
「リオ様ですわね。では、私のことは――」
「悪いけど、王女様のことは名前で呼ばないよ」
そうして口を開いたアリシアに対し、何となく嫌な予感がしたリオが先回りをして釘を刺す。
「あら、それは困りましたわね・・・ですが、リオ様の話し方を不敬罪として、無理矢理呼ばせることもできるのですよ?」
「それなら改めさせていただきます、王女様」
「あ・・・」
アリシアが次のカードを切った瞬間に敬語となるリオ。そしてリオの行動に対して自ら墓穴を掘ったことを察したアリシアが小さく声を漏らした。
だが、何としてもリオに名前で呼ばせたい様子のアリシアがさらに策を巡らせる。
「・・・かくなる上は、王女として命じます!」
「それなら、僕は二度とここには来ません」
「な、ならついていきます!」
「それなら「聖騎士団」の人たちに事情を話して国王様に止めてもらいます」
あの手この手を巡らせるアリシアをあしらっていくリオ。だがリオが「国王」というワードを出すと、アリシアが勝ち誇った表情を浮かべる。
「それなら問題はありません。先ほどリオ様に言われた通りに私の思いをお話ししまして。その時にリオ様とお友達になっていいと言われましたの」
アリシアの台詞を聞いたリオは、その次に続くであろう言葉に見当がついた。――いや、ついてしまったのである。
「お友達は名前で呼び合うものでしょう?ですから、リオ様も」
そして次の瞬間、アリシアが口にした台詞に戦慄しながら愕然とするリオ。なぜなら、アリシアの台詞で逃げ道はどこにも無いと悟ったからである。
そうして逃げ道が無いことを悟ったリオが、一番問題なく収まりそうな方法を模索する。
(・・・・・・なんて言ったらその流れになったのかは気になるけど、ここでそれを聞いたら余計話がこじれそうだし、下手をしたら今度は「呼び捨てで!」とか言われそうだから、素直に従おう・・・)
そう考えたリオは、期待を込めた眼差しを向けてくるアリシアに対して口を開く。
「・・・アリシア様」
「はい、なんでしょう?」
リオに名前を呼ばれ、ワクワクした様子でリオのことを見るアリシア。だが待てども待てども何も言ってこないリオに対して口を開く。
「リオ様、まさか呼んだだけ、ということはありませんわよね?」
「えっ!?・・・あ、いや、どんな話がいいか考えていただけです!」
「・・・私、様付けでは納得いきませんわ。ですから――」
慌てて返事を返したリオの言動を不満に思ったのか、アリシアがそう口にする。すると、そんなアリシアに対してリオが話題を振る。
「そ、そうだ!僕はいつになったらここから出られるんですか?――実は、泊まっている宿屋に一緒に旅をしている子がいて」
慌てて思いついた話題を振ったリオ。だがそれによってアリシアからの更なる無茶ぶりは回避できたようで、アリシアがリオの台詞に対して口を開いた。
「それなら場所さえ教えていただければ皆様まとめて王城に――」
「いや、王城まで連れてこないで!?そうじゃなくて、僕をここから返してくれればいいから!」
アリシアの口にした台詞に対して思わず素でツッコんでしまうリオ。だがアリシアの方は特に気に留めた様子もなく言葉を続ける。
「未来の夫たる殿方と一緒に居たいと思うのは当たり前でしょう?それに、王城に居れば宿代もかかりません。まさにウィンウィンではありませんか」
「僕は全くそう思わないんですけど・・・」
「あら、私がウィンウィンであれば問題ありません」
「ウィンウィンとは」と尋ねたくなるようなアリシアの台詞を聞いて、肩を落としながら思わず溜息を零してしまうリオ。
そんなリオに対しアリシアの方はというと、にこにこと笑顔を浮かべながら肩を落とすリオの顔を眺めていた。
それからしばらく、アリシアと会話――もとい、一方的な好意を見せられ続けたリオの元へ、別の人物が現れた。
「いつまで経っても来ないから来てしまったぞ、アリシア」
リオ達の元へと姿を現した人物とは、アリシアの父親である現国王、ヴェルサリア・フォン・エストラーダだった。
リオは直接の面識はないが、王女であるアリシアが「お父様」と呼んだことで国王だと勘づいたリオは、すぐさま跪く。
「あら、お父様。ごめんなさい、リオ様とお話が弾んでしまいまして」
(弾んだ覚えは一切ないんだけど)
はたして「今までの会話の中で会話が弾んだと言えた場面があっただろうか?」と考えたリオは、会話が弾むどころか無茶ぶりを聞いていただけだと感じる。
だが、流石に国王の前で口を開くことは控えたのか、アリシアの台詞に対して内心でツッコむリオ。
「・・・リオ様、今私のことを馬鹿にいたしましたか?」
すると、父親のことを見ていたはずのアリシアがリオに対して尋ねる。
だがここで「その通りです」などと答えれば、どうなるかは火を見るより明らかである。だが、背後にいるはずのリオの心中を言い当てたアリシアに対し、リオは動揺してしまう。
「どうやらその通り――というよりは、何かを考えていていたようだな。・・・してリオ、といったな?」
リオの表情を見たヴェルサリアが、跪いたままのリオの姿を見ながらリオに対して提案を持ちかける。
「そなたが我が娘を王城まで連れて来たことはアリシアの話で分かっている。――その上で聞きたいのだが、今は冒険者か?」
リオの姿を見たまま、ヴェルサリアが確認を取る。
「はい。ほんの数日前に」
「そうか。なら、娘の学びの為に、そなたに同行させては貰えぬだろうか」
リオが冒険者であることを確認したヴェルサリアがそう口にする。
求め方はお願いするようではあるが、現国王からの言葉とあれば、それはもはや「命令」である。それを断ればどうなるかは言うまでもないだろう。
だがリオは国王の言葉に対し、拒否する姿勢を見せる。
「それは――お断りさせていただきます」
庶民に拒否されるとは思っていなかったのか、ヴェルサリアが意外そうな声を上げる。
「ほう・・・。理由を聞こう」
「命を預ける仲間は自分で決める。それが冒険者だからです」
「ふむ、なるほどな。・・・そういう事なら、わしが話した話は忘れてくれ。わしとて、同じ立場ならそう言うと思ったからな」
リオの理由を聞いて納得するヴェルサリア。
冒険者や傭兵は常に死と隣り合わせの職業であり、ただの採取任務であっても、一歩町の外に出ればその瞬間からいつ死んでもおかしくない。
それ故に、仲間となる人間は慎重に選ばなければならない。――もしもの時に狩られるだけの集団であれば、命を落とすだけでなく周囲にまで迷惑をかけるからだ。そのため新規のパーティを結成する際は、それだけの為に実戦による別の試験があるほどである。
「え、リオ様と一緒にいられないのですか・・・?」
リオとヴェルサリアの会話を聞いたアリシアが声を上げると、父親であるヴェルサリアが頷く。
その光景を見たアリシアはというと――
(なら、何としてもリオ様についていきますわ)
次の失踪計画を企んでいたのだった。
「メイン、ふぐお、明日ここを出るよ」
その後ヴェルサリアの計らいにより、速やかに且つ何事もなく宿屋まで戻ることのできたリオは、宿屋の正面でリオの帰りを待っていたメインとふぐおに対し、翌日王都を発つ話をしていた。
切羽詰まった様子のリオに対し、不信感を抱くメイン。
「お兄ちゃん、どうしたの?」
「実は――」
そんなメインに対して今日出会ったアリシアのことを話すリオ。
すると、メインは頬を膨らませながら文句を口にする。
「お兄ちゃん、メインとの約束を破って女の子に会ってたの?」
「いや、あれはほとんど無理矢理――」
「むぅー」
メインの口にした文句に対してリオが言い訳を口にしようとするが、メインがフグのように頬を膨らませたのを見て口を閉じる。
「・・・とにかく、このままだと色々と面倒なことになりそうなんだ」
相変わらず頬を膨らませてご機嫌斜めな様子のメインに対して簡潔に伝えるリオ。するとメインの方は、頬を膨らませたまま頷いた後に口を開く。
「お兄ちゃんが困るってことは、メインも困るってことだよね」
「・・・そうだね」
メインの口にした台詞を聞いて同意するリオ。なぜならリオが足止めを食らうと、彼と共に行動するメインとふぐおも足止めを食うからであった。
「それじゃ、明日出発するね」
「うん」
そうして宿屋に入っていったリオとメインは、翌日の早朝に王都の東門を旅立ったのだった。
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ゾロ目やキリのいい数字は崩すもの、ということで感想・お気に入り登録、お願いします!好きなだけ感想とお気に入り登録お願いします♪良ければTwitterもやってますので、そちらもお願いします。更新情報などをいち早くお届け中です♪https://twitter.com/nukomaro_ryuryuアルファポリスでは他に「My Diary」を、小説家になろうで「種族・烏で進む自由な物見生活」を掲載中です!どちらも作者マイページから飛べますので、ぜひ!
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