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ぬこぬこ麻呂ロン@劉竜

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第1章ガレイ編

第二部・攻防戦 10話

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 ガレイ攻防戦4日目。昨日の早朝とは打って変わって慌ただしいガレイでは、早朝から兵士や傭兵、冒険者たちがせわしなく動き回っていた。

「急げ急げ!やつらはそこまで来てるんだぞ!」

「各隊点呼急げ!足りない場合はそのまま報告しろ!この際、多少の数のずれは気にするな!」

 慌ただしく動き回る兵士たち。なぜ彼らがここまで急いでいるのか。それは、ほんの1時間前まで遡る。
 同日早朝。早朝と言いつつも、わずかに地平線から太陽が顔を出したばかりの頃、西門守備隊隊長ポトゴロフのもとへ1人の兵士が駆け込んできていた。
 その兵士は酷く慌てており、内容も要領を得ない物だったため、兵士を落ち着かせながら報告を受けるポトゴロフ。

「・・・3千、だと?」

「はい、現在の目算ですが、ガレイ西側3キロほどの位置で大量の魔物の群れを確認、先ほど一部兵士が偵察に向かったところ、そのくらいはいるかと」

 ある程度は落ち着いたようだったが、それでも少しばかり早口な兵士の報告を受けたポトゴロフは、即座に司令部へと伝令を走らせる。

「指揮官へ。ガレイ西門側で目算3千の魔物の群れを確認したと伝えろ」

「はは!」

 ポトゴロフの命を受けて即座に司令部へと去って行く兵士。そんな彼の後ろ姿を見送ったポトゴロフは、即座に各隊にも伝令を走らせ、自身は残る兵士たちを起こしにかかっていった。――この彼の判断は、この日のガレイの戦いを大きく左右したと言っても過言ではなかった。

「いいか、我らで時間を稼ぐのだ。我々がここで1秒でも時間を稼げば、100人の市民の命が救えると考えろ」

 ようやく太陽が完全に地平線から姿を現した頃。ポトゴロフ率いる20名余りの西門守備隊の面々には、決死の覚悟が浮かんでいた。おそらく、彼らはこの先の未来を知っている。その上で己が責務を果たさんとその場所にいた。
 だが彼らは、そんなことを感じさせないような勇猛果敢な声を上げ、隊長たるポトゴロフに続いて西門跡を進んでいき、魔物たちの前へと進んでいく。

「さあ、花を咲かせるぞ!」

 ポトゴロフが叫び、いの一番に魔物たちの群れへと切り込んでいく。そうしてガレイ攻防戦4日目の戦いは幕を開けたのだった。



 それから約20分後。ポトゴロフからの報告を受けた各隊の隊長たちは、即座に自隊の兵士たちを叩き起こし準備を始めさせていた。
 甲冑に武器。さらに点呼と、遅々として進まない彼らは、西門で魔物が発見されてから約1時間後にようやく稼働可能となったのである。それは冒険者や傭兵たちも同じだったようで、兵士たちの傍らで大声を上げていた。

「全軍、突撃!味方を助けるのだ!」

 現場指揮官であるジェラードが集結した人々へ声をかける。各門守備隊を除く総勢400名弱の兵士、傭兵、冒険者たちからなる部隊は、我先にと魔物たちの群れへと突撃していく。彼らの目的はただ1つ、決死の覚悟で時間稼ぎをしている西門守備隊の面々を1人でも多く助け出すことだった。
 やがて魔物たちへと戦闘を開始する兵士たち。その背後に続いていたリオ達「大鷲の翼」は、兵士たちが切り込んだ場所とは異なる位置から魔物の群れへと攻撃を加えていた。

「アッガス、右だ、レーベは左!リオとミリーは中央から切り込め!」

 一騎当千ともいえる「大鷲の翼」の面々がリーダーであるジンの命令の元左右へと展開していく。そんな彼らの背後を進む10名余りの冒険者たちは、彼らがつけた傷跡を広げるように魔物たちへと攻撃を加えていく。
 やがて魔物たちの中に唯一立ち上るわずかな砂煙を確認するジン。

「ふぐお、フジミ!お前たちはあの砂煙の場所に向かって走れ!」

 それを確認したジンがその方向を指さしながら、即座に対多数戦闘において最強の2人の名前を呼ぶ。名前を呼ばれたふぐおとフジミは、すぐにジンが指さす場所へ駆けていく。

「リオ、ミリー!お前たちはふぐおたちに続け!中央は俺が受け持つ!」

 ジンの台詞に頷いたリオ達が一瞬のうちに魔物たちを蹴散らすと、すぐにふぐお達の後を追い駆け出す。

「進路をリオ達の方へ変えろ!あそこに孤立している兵士たちがいる!」

 ジンの号令の元、彼の周囲にした冒険者たちはリオ達が向かった方向へと1つの生き物のように進んでいく。やがて少しずつその場所が近づいてくると、彼らの左側面から進撃してくる存在があった。
 その存在は、ガレイ駐屯隊内で最も精強と言われるジェラード率いる第一小隊だった。現場指揮官であるジェラードこそ後方にいるものの、彼から一時的に部隊を預かっているマイセフに率いられ、たった1小隊、しかも他の小隊より10名少ない40名でここまで突破して来ていたのだ。
 まるで弾丸のような勢いはそこらの魔物には止められるものではないようで、彼らはまるで平地を疾走するように西門守備隊の元へと近づいていく。

「ガレイ駐屯隊第一小隊、臨時隊長マイセフ!西門守備隊の兵士たちよ!良くここまで耐え忍んだ!あとは我々に任せよ」

 鼓膜が割れそうなほどの大声と共に、西門守備隊のいる場所への道を切り開いたマイセフ。そんな彼らの眼前にいたのは、わずか4名となっていた西門守備隊の姿だった。わずか4名となっても、互いに背中を合わせ死角をなくすように戦っていた彼らは、唯一生き残っていた隊長格の男性に率いられながら未だに魔物たちを引き付けていたのだった。
 マイセフ達の存在に気づいた西門守備隊の兵士たちは、味方が現れたことに歓喜し、さらに奮い立っていく。

「魔物たちを押し返せ!味方の元まで誰も死ぬな!」

 唯一残った隊長格の男性にげきを飛ばされた兵士たちは、さらに盛り上がった士気を武器に少しずつ第一小隊の元へと向かっていく。そんな彼らを援護するように、彼らの左前方から新たな存在が姿を現す。山吹色の髪をした少年と、漆黒のような黒い体をした5メートルほどの巨大な熊――フジミとふぐおが、彼らを掩護するように周囲の魔物たちを殲滅していく。

「急げ、今だ!」

 西門守備隊の面々は男性の声に弾かれた様に駆け出し、急ぎ第一小隊と合流する。その間も魔物たちは彼らを押し潰さんと迫っていくが、それらは全て第一小隊やふぐお達の手によってもれなく魔力へと帰っていく。
 こうして突然現れた彼らの活躍により、西門守備隊の生き残りたちは辛くも戦場から脱出したのであった。



 それからおよそ4時間後。あの後、参戦した人々の奮戦の甲斐あってかなんとか魔物たちを退けたガレイでは、西門守備隊で生き残った4名に対して拍手喝采を贈っている最中だった。
 同業の兵士たちに加え、冒険者、傭兵、さらには市民たちからも贈られる言葉や眼差しに、西門守備隊の面々は居心地の悪さを覚えていた。――なぜなら、彼らが本当に称えるべき存在は隊長・ポトゴロフや命を落とした兵士たちだと考えていたからである。
 だが市民たちからすれば生き残った西門守備隊の兵士たちは、絶望的な状況の中戦いその激戦を戦い抜いた、いわば「英雄」だからである。決して彼らとて亡くなった兵士たちを軽んじているわけではないのだが、今「目の前にいる」ということはそれだけで彼らにとって――群衆にとっては大きなものなのだ。
 そんな彼らに見送られながら、西門守備隊の面々は司令部であるギルドにいる指揮官・ビロードの元へと向かう。やがてギルドへ到着した彼らに対し、ビロードが口を開く。

「君たちが西門守備隊の生き残りか。・・・まずはよくやったと言っておこう」

 そう口にしながら、彼らの肩へと手を置いていくビロード。それは親しい仲間たちを失った彼らに対する、ビロードなりの気遣いだった。
 そんなビロードの意思を汲んだのか、次第に肩を揺らし始める兵士たち。わずか1時間で上司も、気の許せる友人たちも失った彼らの悲しみと無念は非常に大きいことだろう。その姿を見ていたビロードは、静かにそばにあるガレイの地図へと目を落とした。

(西門守備隊は壊滅。ここに居るのが残る全員と考えると、守備隊の編成を大幅に変えなければならないな・・・)

 地図へと目を落としたビロードは即座に守備隊の再編成案を考え始める。薄情なように思えるが、それが指揮官であり、生きている者の役目なのだから逃れることは出来ない。彼が悲しんだところで死んだ者は戻ってこないし、魔物たちが何処かへ消え去るわけでもないのだから。

「現在、隊の指揮権は誰が握っている?」

 ビロードが顔を上げ4人の兵士たちに現在の指揮官を尋ねると、一番右側にいた兵士が一歩進み出る。

「西門守備隊第二守備隊隊長・ペターです。私以外は兵卒です」

「・・・そうか、なら君がそのまま西門守備隊を指揮しろ」

 その兵士の正体は、初めてガレイが魔物に襲われた日にリオ達と共に見張りをした兵士・ペターだった。彼の報告を聞いたビロードは少し考える素振りを見せると、彼を西門守備隊の新隊長に任命することを告げる。その決定は、下手に別の隊から新しい隊長を任命するよりも、元から西門側の事に詳しい人物を隊長にした方がいろいろと都合がいいというビロードの判断からであった。

「謹んでお受け致します。前隊長の顔に泥を塗らぬよう、誠心誠意務めさせていただきます」

 対するペターはそう口にしながら深々と頭を下げると、すぐにビロードから西門守備隊の再編成の話を持ち掛けられたのだった。
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